2019年2月5日(火)19:00
20年ぶりの「XYZ」、北条司が考える“あの頃のまま”の「シティーハンター」
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1987年のアニメ化以降、テレビシリーズ、テレビスペシャル、映画で展開されてきた「シティーハンター」が、20年ぶりの新作「劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ」として帰ってきた。神谷明、伊倉一恵らメインキャスト、総監督のこだま兼嗣とサンライズ、そしてエンディングテーマの「Get Wild」と、当時の顔ぶれそのままにオリジナルストーリーが映像化される。原作者の北条司氏に、新たに劇場版が製作されることになった経緯や、“あの頃のまま”の「シティーハンター」をアニメーションでよみがえらせることへの思いを聞いた。(取材・構成:五所光太郎/アニメハック編集部)
――「シティーハンター」が劇場版としてつくられることになった経緯を聞かせください。
北条:前々から「アニメの30周年には何かをやろうよ」と「シティーハンター」のプロデューサーに話していたんですよ。僕の腹積もりとしては、かつてやっていた「金曜ロードショー」枠でのテレビスペシャルを単発でやろうと、ずっと説得し続けていたのですが、のらりくらりとかわされて、そうこうしているうちに30周年をすぎてしまいまして。「しょうがねえなあ、あのヤロー」とか思っていたら(笑)、いきなり「決まりました、映画です」と。「え、いきなり映画なんですか?」とビックリしました。
――今のお話にでたプロデューサーとは、「名探偵コナン」なども手がけられている読売テレビの諏訪(道彦)さんのことですね。
北条:はい、諏訪氏です。彼とは同い年で長い付き合いですから、「あのヤロー」呼ばわりしてしまいますけれど(笑)。
――当初は、テレビスペシャルでやりたいとのご希望があったのですね。
北条:いきなり映画はリスクが高すぎるだろうと思いましたから。
――原作者の方が、そこを心配されるのですね。
北条:いやあ、原作者だからこそです。怖いですよ、やっぱり。テレビなら1日我慢して、「視聴率はこれぐらいでした」と言われて、「ああ、よかったね」か「残念だったね」と答えればいいですが、映画は何週間も公開が続いて毎週興行収入の順位がどうのこうのとでてくるじゃないですか。映画が公開されたら絶対にそういうサイトは見ないぞとまわりには言っています(笑)。
――なぜ劇場版でやることになったのでしょうか。
北条:アニプレックスさんも含めて、いろいろな組み合わせを考えてくださったようですが、いちばんリスクが高そうな形態を選んだのはなぜなんでしょうね(笑)。
――今回の劇場版の特徴は、キャスト、スタッフともにメインどころの方が続投していることです。これだけ間が空いていると、すべてを一新するパターンもあると思います。
北条:最初から、それありきだったんですよ。神谷さんと伊倉さんもそうですし、「監督は、こだまさんしかいないですよ」って。当時の「シティーハンター」をつくれるのは、こだまさんしかいませんから。
今でも「キャッツ・アイ」など再アニメ化の企画をいただくことがあるのですが、企画書を見ると「ここまで変えると『キャッツ・アイ』ではないのでは?」というぐらい設定が大きく変わっていることが多いんですよ。こだまさんには「シティーハンター」のイメージがガシッとあるので、そうした小細工はしないでしょうし、こだまさんならば往年のファンの方もきっと納得してくださるでしょう。今の若いファンの方がどう思われるかは分かりませんが、「これが『シティーハンター』の世界だ」ということは提示できると思ったんです。
――今のお話にも関連しますが、北条先生は公式サイトに、アニメーションなら“あの頃のまま”の「シティーハンター」がつくれるのではないかとコメントされていました。なぜそう思われたのか、もう少しくわしく聞かせてください。
北条:「シティーハンター」の世界は、本当に若い人でないとつくれないんですよ。僕自身はずっと漫画家をやってきたなかで、考え方や表現の方法などいろいろなものが変わってきていて、もうあの世界には戻れません。でも、かつてつくられたアニメのフォーマットに沿ったものならば、あの頃に近い「シティーハンター」ができるのではないかと思ったんですよね。実際、今回の映画は本当になんにも変わらないものになりました。
――そうなのですか。
北条:ええ。もう面白いぐらい、なんにも変えていません(笑)。
――今回の劇場版はオリジナルストーリーですが、シナリオにはどれぐらい関わられているのでしょうか。
北条:プロットやシナリオには、だいぶ関わりました。最初のプロットは完全に変えることになって、そこから19稿ぐらい稿を重ねています。といっても毎回打ち合わせに出席したわけではなく、こだまさん、脚本の加藤(陽一)さん、プロデューサーの小形(尚弘)さん、若林(豪)さんが僕の仕事場まできてくれて、3回ぐらい話し合ったぐらいですけれど。あまり口出しするのもあれですから、「ここら辺はどうにかなりませんか」というところだけ直してもらって、「ここまでなら大丈夫だろう」というところで脚本はOKになりました。
――変えることになった最初のプロットとは、どんなものだったのでしょうか。
北条:最初のプロットは、作中の時間軸が“(原作漫画の)連載後”のストーリーになっていたんですよ。「シティーハンター」は原作の全てがアニメ化されているわけではありませんから、そうなるとアニメにでていないキャラクターもすべて過去のことになりますよね。いきなり「こういう人がいました」と話をはじめても原作を知らない人は困るでしょうから、“最初のテレビシリーズが終わった時点”からはじめてもらうことになりました。
――ちなみに、最初のテレビアニメ化のときには、どれぐらい関わられていたのでしょうか。連載中で大変お忙しかったと思いますが。
北条:こだまさんと作画監督の方と一度会食をしたぐらいで、ほとんど関わっていないですね。上がってくるデザインやシナリオ、絵コンテなどをチェックしたぐらいで、こちらから希望を言うことはほぼなかったと思います。
ストーリーについてもお任せでした。アニメ版はオリジナルストーリーが多いのですが、おそらくプロデューサーの諏訪氏がそうした意向をもっていたのでしょうね。オリジナルできちんとやりたいというのが、あの人のやり方だと思いますので。
――さきほど言われたように、「シティーハンター」のアニメでつくられたフォーマットがしっかりしているから、いろいろな物語がのせられたのかなと思います。
北条:オリジナルストーリーのなかには、自由すぎるものもちょくちょくありましたけどね(笑)。そうした、いい意味でのゆるさもアニメ版の魅力だったと思います。
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裏社会ナンバーワンの腕をもつシティーハンター冴羽獠は、普段は新宿に事務所を構え、相棒の槇村香と様々な依頼を受けている。そこに、何者かに襲われたモデル・進藤亜衣がボディーガードを依頼にやってきた。...
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