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インタビュー 2019年2月5日(火)19:00

20年ぶりの「XYZ」、北条司が考える“あの頃のまま”の「シティーハンター」 (2)

(C) 北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会

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――今回の劇場版でもエンディングをかざる「Get Wild」は、アニメ版「シティーハンター」の代名詞のひとつとしても親しまれています。当時はTM NETWORKがブレイクする前だったと思いますが、最初のテレビシリーズで「Get Wild」がエンディングに決まったときのことを覚えておられるでしょうか。

北条:ええ。「これがエンディングです」とカセットテープがきたので聴いてみたとき、最初はどうもピンとこなかったんですよ。この音楽でどうなるんだろうなと思ったのを覚えています。
 その後、完成した映像こみで見たときに「あ、なるほど!」と思ったんですよ。あのイントロが物語の終わり頃から流れてエンディングに入っていくのを見て、映像と音楽がマッチするってこういうことなんだなと。曲単体で聴いたときはイメージがつかめない感じがあったのですが、これなら納得できるなと思いました。

――「Get Wild」は、テレビスペシャルの途中からエンディング曲として復活しました。これは北条先生からの希望があったからだそうですね。

北条:いいフォーマットがあるのに、変える必要が僕にはよく分からなかったんですよ。ちょうど最初のテレビシリーズぐらいから、主題歌やエンディングテーマがクールごとに変わるようになってきて、それまであった「あの番組だったら、こういう音楽だよね」というイメージが崩壊していった時期でもありました。いろいろな事情あってのことだと思いますが、その流れにのって作品のイメージがブレることを避けたかったんです。
 「作品の音」が絶対にあるべきだというのが僕の中にあったので、今回の劇場版でも「Get Wild」復活を強く主張しようと思っていたのですが、僕が言うまでもなく「Get Wild」でと皆さんの間で決められていました(笑)。

――本作のアフレコに同席されたさい、オリジナルキャストの方々のご様子はいかがでしたか。

北条:皆さん大ベテランですから演技についてはまったく心配ありませんでした。ご本人たちが気にされていたのはお年のことで、みんな年をとりましたから(笑)。僕らや往年のファンの方は、聴けばあの声だとすぐ分かるはずですが、はじめてのファンの方にとって(冴羽)リョウや香の声が年相応に聞こえるかどうか気を配られていた印象です。たしかにそこは不安といえば不安ですが、そこもふくめて昔から変わっていないと思いたいです。

――素朴な質問ですが、タイトルの「シティーハンター」はどのような経緯でつけられたのでしょうか。いろいろな候補があるなかから、担当編集の方と話し合って決めたのではないかと思うのですが。

北条:いえ、特に他の候補はなかったです。「街のハンター」「シティーハンター」――はい、終わりぐらいの、そんな単純な発想でした。

――担当編集の方と話しあわれなかったのですか。

北条:ネームのときに「タイトルどうする?」と聞かれて、「『シティーハンター』でどうすか?」「ああ、いいね」みたいなやりとりがあったぐらいだと思います。最初は読みきり作品で連載ではありませんでしたし、そんなに深く考えずつけちゃったんですよ(笑)。
 考えたといえば、冴羽リョウの名前がなかなか決まらなかったというのはありました。「冴羽」という苗字が先にできて、ハンターだから「猟(りょう)」だろうと、どの漢字にするか探したとき、たまたま親父が学生の頃に使っていた古い辞書を引いたんですよ。それで「りょう」を引いたら、あの漢字(※けものへんに寮)がでてきたんですよ。

――それで、あの難しい「リョウ」になったのですね。

北条:けものへんでかっこいいし、「あ、これがふさわしい」と思って、古い字だけどまあいいかと(笑)。

――「シティーハンター」の舞台は新宿で、本作にも「新宿プライベート・アイズ」との副題がついています。連載開始から30年以上たって、新宿という街に変化を感じることはあるでしょうか。

北条:昔のものと今のものがそれぞれちゃんと息づいていて、あらためて見ると不思議な街ですよね。歌舞伎町の入り口の看板も昔のままですし、花園神社も変わらずあって、ゴールデン街もほぼ昔のまま残っています。一方、新しい建物もどんどんできていて、昔のものと今のものが乖離しつつも同居している。あの街で、今でも酉の市をやっているとは思えないですよね。市のときは歩道に屋台がずらーっと並んで、昔のお祭りのように変身してしまいますから。そうした違和感がたまらなくて、僕としては昔よりも魅力的な街になってきているんじゃないかと思っています。

――最後に、20年ぶりの新作を楽しみにしているファンの方に一言お願いします。

北条:細かい設定など本当に変えていませんので、昔から知っている方は失望することなく見ていただけるのではないかと思っています。……新しい方には、「シティーハンター」の世界観はどう映るのでしょうね。セクハラだのパワハラだの厳しく言われているこの時代に、もろセクハラ・パワハラの主人公とヒロインですから(笑)。

――予告編で、香がそこを突っ込んでいるのが面白かったです。

北条:「時代の空気読まんかい」と言っているお前がパワハラしているじゃないかっていうね(笑)。お父さんやお母さんが「シティーハンター」世代で、家族一緒に見にいく方もいると思いますが、「お父さん、こんなアニメを見ていたの?」なんて言われるかもしれません(笑)。映画を見たことをきっかけに親子の壁みたいなものが消えて、いろいろ話すきっかけになるとうれしいですね。

作品情報

劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ

劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ 11

裏社会ナンバーワンの腕をもつシティーハンター冴羽獠は、普段は新宿に事務所を構え、相棒の槇村香と様々な依頼を受けている。そこに、何者かに襲われたモデル・進藤亜衣がボディーガードを依頼にやってきた。...

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