2019年3月13日(水)19:00
小野大輔「おそ松さん」映画化に噛み締める思い「幸せな時がまだ続くんだ」 (2)
分厚い台本を前に「無理だ! のどが裂ける!」
――劇場版では完全新作ストーリーが展開されますが、台本の印象を教えてください。
(C) 赤塚不二夫/えいがのおそ松さん製作委員会 2019
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CMを抜かせば、テレビシリーズ1本は20分強くらいだと思います。そこに凝縮して叩き込んでいたテンポやテンションを長尺でできるのかという不安はありました。映画は108分あるので台本がすごく厚くて、1冊では収まらず、2冊ありました。だから、最初に台本を読んだ時は、「無理だ! のどが裂ける!」「俺たちは壊れる!」と思いました(笑)。
――大ボリュームの台本だったのですね(笑)。そんななか、実際のアフレコはいかがでしたか?
尺がテレビシリーズの5倍強あるので、ペース配分をしなくてはと思っていましたが、ふたを開けたら、そんなの無理でした。全部でHパートまであるのですが、Bパートの時点で(体力を)ほぼ使いきっていました。アフレコ1日目でCパートまでいって、(台本全体の)半分いったかいかないかくらいでしたが、しんどかったですね。そもそもペース配分をするということは、余力をとっておくということですから。それだと、絵のテンションとセリフのテンションに追いつかない。実際、誰も休んでいませんでした。
劇場版のアフレコで一番顕著だったのが、Aパートあたりではすごく盛り上がっていたのに、C、Dパートあたりになると、みんな疲れて(私語を)しゃべらなくなるんです。「長尺ってだんだん無口になるんだな」というのが面白かったですね。(6つ子役のキャストは)みんな20年選手ばかり。皆さん、素晴らしい技術、素晴らしいフィジカル、素晴らしいメンタルをお持ちです(笑)。そんな人たちですら、2パートやったら燃え尽きているということは、そりゃあ俺だって燃え尽きる。「そりゃあみんな燃え尽きるわ!(笑)」という、テンションで乗りきった感じです(笑)。
18歳の6つ子は「ちゃんとしてる」
――今作の最大のポイントは、18歳の6つ子が登場する点かと思います。今とはキャラクター設定が異なるそうですが、「思春期の6つ子」に対しどのような印象を抱きましたか。
「ちゃんとしてる」と思いました。ちゃんとした青春時代を送っている、ちゃんとした高校生だなと。例えば十四松がグレているなど、今とキャラクターが違うことにもちゃんと意味があるんです。
18歳という多感な時期にキャラクターが変化することはよくあるじゃないですか。それって、その年頃にとって普通の心の動きだと思うんです。だから、ちゃんと10代の男の子を描いてくれているなと思いました。今の彼らのバックボーンとなる部分、今の彼らができた理由を知ることができるので、本当にうれしかったですし、ぜひ注目してほしいです。
それって普通の18歳の心の動きだと思う。だから、ちゃんと10代の男の子を描いてくれているなと思いました。今の彼らのバックボーンとなる部分、今の彼らができた理由を知ることができたのは、本当にうれしかったです。
――18歳の十四松と大人の十四松、演じ分けは意識されたのでしょうか。
最初に18歳の十四松のビジュアルを見て、台本を読んだ時に、まったく違和感がなく「こういう若い時、あるよな」と納得できました。だから、演じ分けることを意識したことはなくて。
――先ほどの「ちゃんと10代の男の子を描いている」という話とつながってきますね。
(C) 赤塚不二夫/えいがのおそ松さん製作委員会 2019
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彼らは6つ子であることを普通だと思っていたのに、周りとの認識の差に気付きはじめたことをきっかけに、自意識過剰になっていく。周りの目を気にするって思春期の男の子の自然な摂理だと思うんですよね。だから、この時だったら十四松が何を考えているかがわかる。今(大人の十四松)はわからないですが(笑)。そういった意味で演じやすかったです。「ひとりの若者を演じよう」と思って演じました。
作品情報
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