「ちはやふる3」 綾瀬千早役・瀬戸麻沙美が語る、変わらぬ作品の魅力と“先生役”の継承 (2)

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――第3期からは新キャラクターである猪熊遥が登場します。坂本真綾さんが演じられると発表されましたが、もうお話はされましたか。

瀬戸：はい。真綾さんが現場にいらっしゃったときに「『ちはやふる』って面白いね」と感想をお話してくださいました。これまで千早役として深く大切にかかわってきた作品に対して、そう言っていただけたことがとてもうれしかったです。競技かるたが激しいスポーツであることに驚いたことも伝えてくださいました。語句の読み方も、かるた特有のアクセントやルールがあるので、確認するために私や宮野さんに声をかけてくださっていました。
　ほかにも、私が「現場で髪の毛を一本に結ぶ仕草が、千早みたいだった」とおっしゃってくれて、それもうれしい言葉でした。私はこの作品の第1期で初主演を務めさせていただいたのですが、当時は千早と年齢が近いこともあって、「千早と似てるところは……」と（インタビューなどで）よく聞かれていたんです。こうやって長く一緒にいると、似ている部分が出てくるのかなと思って、照れくさいながらもうれしさがありました。

――第3期では宮内先生と原田先生役が、先年死去された藤田淑子さん、石塚運昇さんから、鳳芳野さんと三宅健太さんに引き継がれました。現場での変化や、ご自身の今の心境など伺えますでしょうか。

瀬戸：役柄としても先生であり師匠でしたが、私たち自身にとっても役者としての大先輩でした。そのお芝居を間近に見られるというのは、本当にありがたいことだったと思います。
　トコさん（編注：藤田淑子の愛称）とは、現場でお会いできたのが「ちはやふる」だけでしたので、宮内先生としての思い出が、とても色濃く残っています。第2期だったと思いますが、みんなで私のお誕生日会をやってくれたことがあったんです。そのとき、笑顔で声をかけてくれました。一緒に撮ったツーショット写真があって、それを見ると強く思い出しますね。
　運昇さんは、私にとっては特別大好きな先輩でした。どの現場に行っても、「瀬戸、お前はどこにでもいるな」なんておっしゃって。「違います、運昇さんがどこにでもいるんです」って返したりとか（笑）。自分が主演の海外ドラマでも、ご一緒させていただきました。こちらの作品も6年近く続いている作品なので、「ちはやふる」の現場とともに、本当にずっと見守っていただいていたと思えます。

――やはり、おふたりの影響は大きかったんですね。

瀬戸：亡くなられたときのショックはすごく大きかったです。3期からは、鳳さんと三宅さんが宮内先生と原田先生役を引き継いでいらっしゃいます。
　鳳さんは、宮内先生の優しさや生徒への愛だけでなく、不器用さまで表現されていて、すごいなと思います。理系だからかるたを覚えるのが苦手なのですが、部員のためにたすきや、ハチマキを作ってくれる。そういう不器用さと愛情の表現がほんとうに素敵です。鳳さんのお芝居を見ていると、私たちがかるた部として活動できているのは、先生がいるからだなと思えます。それは、鳳さんの背中からも感じています。
　三宅さんも、とても力強いお芝居に満ちていて原田先生の役どころもあいまって、まるで熊のようです（笑）。三宅さん自身のお人柄は柔らかいんですけど、ひとたび役に入られると、とてつもない爆発力と表現力が解き放たれるんです。とくに今回は原田先生の若いころも描かますので、現在との演じわけもふくめて、見どころがいっぱいだと思います。千早の師匠として、私たちが付いていくべき先生として、三宅さんの背中からも力をもらっています。

――最後に、瀬戸さんが思う本作の魅力を語っていただけますか。

瀬戸：「ちはやふる」は、言葉の宝庫なんです。キャラクターたちのセリフひとつひとつが人生の教科書のように刺さってくる。主人公たちだけではなくて、すべてのキャラクターにスポットがあてられていて、ていねいに生きざまやバックボーンが描かれています。だから、言葉に重みや納得感があるのかなと思います。まっすぐすぎて、ときどき目を背けたくなるシーンもありますが、それは彼らの物語を真摯に描いているからこそです。必ず心に残るものがあると思いますので、ぜひご覧いただければと思います。

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