2019年12月5日(木)19:00
近づくクライマックス――梶裕貴「PSYCHO-PASS サイコパス」への憧れと新主人公として見た“景色”
テレビシリーズとしては実に5年ぶり――待望の第三期「PSYCHO-PASS サイコパス 3」が最終話へと近づいている。1話60分、全8話で構成される今作。主人公は、テレビシリーズ一、二期を担ってきた常守朱から新人監視官・慎導灼(しんどう・あらた)と炯(けい)・ミハイル・イグナトフへと受け継がれ、公安局刑事課一係のメンバーも新たな顔ぶれに。そして日本が開国し、海外からの入国者を受け入れることになった結果、絶対的な存在であるシビュラシステムの在り方が再び問われようとしている。過去最大ともいうべき変化を遂げた今作を、新主人公のひとり、灼を演じる梶裕貴はどうとらえているのか。梶が語る、いちファンとしての「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズへの思い、新主人公として見た“景色”とは。(取材・文/編集部)
「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズの挑戦と変化
――ここまで演じてきて、作品に対してどのような印象を抱いていますか。
今期は一係が新編成に
(C)サイコパス製作委員会
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第一期の「PSYCHO-PASS サイコパス」、そこから志向を変えた第二期「PSYCHO-PASS サイコパス 2」があったうえでの、今作「PSYCHO-PASS サイコパス 3」ですが、それぞれ見せ方が異なります。同じ世界観のなかで、シビュラシステムという“ひとつのキー”となる要素を使って物語を描いているという点は共通していますが、今作はより刑事ドラマ色が強くなったという印象を受けています。
――今作と過去作の最大の違いはどこだと思われますか。
それぞれの良さがあるので比較するのは難しいのですが、第一期は詩編や文学、哲学を引用しながら、現代社会に生きる僕らにも共通するものをどこかアーティスティックな形で表現していました。そして第二期では、そこから一歩外に出て、シビュラシステムの外側で事件が起きた時にどうなるのかということが描かれていたように思います。その後、間に劇場版をはさみ、開国政策という大きな変化があったうえで第三期を迎えました。今作では日本が移民を受け入れた結果、他国の文化や宗教が沢山入ってきます。「絡み合う人間関係が変わると、作品に対する印象もここまで大きく変わるのか」と感じています。また第二期もそうでしたが、今作はシビュラシステムが存在する社会のなかで“新たな問題”を提起しています。
――過去作との違いといえば、今作は1話60分という新たな試みをしていますよね。
そもそもノイタミナという放送枠自体が、アニメの概念を壊していくような、挑戦的な意図を持って作品を作っていると思いますが、今回は“放送時間”という制約を超えて、しかもテレビシリーズとして毎週お届けするという挑戦には、キャストとしても刺激を受けています。
慎導灼は「監視官であるべき人」
アフレコが進み、役への印象はどう変わった?
――作品に関する多くの情報が、キャストに伏せられていることもあり、当初は担当キャラクターの灼に対して「つかみどころのない男」とコメントされていましたが、現段階では灼はどういう人物だと考えていますか。
灼の印象は「自分の声が出そうな顔をしているな(笑)」
(C)サイコパス製作委員会
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表面的なことを言えば、「自分の声が出そうな顔をしているな」と(笑)。そういった親近感からはじまりました。だからこそ、「声を作る」ことを考えずに、お芝居だけで勝負させてもらえる役柄だと感じています。
灼の人柄については、まだ僕も知らされていない部分もあるのかも知れませんが、かなり共感できる人物だなと。第3話で灼がドミネーターの執行命令を無視した場面で、廿六木(とどろき)さんに「さっきはなんで(相手を撃つのを)止めた。ドミネーターは、執行しろって言ってたろうが」と問われた灼が、「それを決めるのは、人間であるべきです。そのために、ドミネーターには引き金が、ついてるんですから」と言っていました。そういった点も含めて、まさに監視官であるべき人だと思います。とても人間らしくて、演じていて楽しいです。
――灼のパートナー、炯の印象はいかがですか。
灼と炯は「これ以上ないほどのバディ」
(C)サイコパス製作委員会
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これ以上ないほどのバディ、兄弟のような、家族のような、そんなかけがえのない存在だと思います。セリフのなかにも出てきますが、シビュラシステムはこの2人がバディを組むことは勧めていないんですよね。でも、そんなことを微塵(みじん)も感じさせない2人。同じ方向を向いていて、ともに目指す場所や絆があり、何にも代え難い共通項をもっているからこそ、一緒にいられるんじゃないかなと思います。お互いの弱点を補い、フォローし合える2人だと思います。
――2人はバディとして第1話から完成されていますよね。
新人監視官が主役だと、一期の朱ちゃんのように、ピュアな人間がシビュラシステムに立ち向かい、酸いも甘いも経験しながら問題を乗り越えていくという構図が浮かびがちですが、灼と炯は最初からどこか達観しているというか。それぞれの場所で、それぞれの壁に立ち向かってきたという過去があったうえで、バディを組んでいる。その状態から物語がスタートするので、演じるうえで「得体の知れない2人だけど、頼りになりそう。強そう」と思わせるような部分が必要、「そこに説得力を持たせないと、周りの人もついてこない」ということは意識していましたね。
作品情報
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「正義」は、新たな世界を切り開く。魂を数値化する巨大監視ネットワーク・シビュラシステムが人々の治安を維持している近未来。シビュラシステムの導入後、日本は海外との交流を断ち、長らく事実上の鎖国状態...
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