2020年2月17日(月)19:00
花江夏樹と坂本千夏が振り返る「デジモンアドベンチャー」の20年 劇場で「Butter-Fly」を聴くのが楽しみ
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液晶ゲームをルーツとした「デジモン」シリーズの20年以上におよぶ人気の火付け役となった、アニメ「デジモンアドベンチャー」。その最新作「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」の公開が、2月21日に迫る。今作では、1999年放送の初代「デジモンアドベンチャー」、2000年放送の「デジモンアドベンチャー02」、15年制作の「デジモンアドベンチャー tri.」と続いてきた、主人公の八神太一と、その相棒であるアグモンの物語が、ついに完結を迎える。故・藤田淑子さんから太一役を引き継いだ花江夏樹と、初代からアグモンを演じ続けてきたシリーズの顔ともいうべき坂本千夏に、世代を超えた全「デジモン」ファンからの期待が集まる「最後の物語」について聞いた。(取材・文/黒峰澄一)
――「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」は、「太一とアグモンたちの最後の物語」と銘打たれています。制作決定を知ったときの心境はいかがでしたか。
坂本:ついにその日が来たなという感じでした。いつまでも、このままではいられないのだろうなという予感がありましたから。初代「デジモンアドベンチャー」が終了した時には、こうして「デジモンアドベンチャー tri.」以降の展開があるなんて、夢にも思っていませんでしたが……。
花江:僕は「tri.」で、太一の「デジモンアドベンチャー」が完結したと思っていたので、もう1本映画が作られることが決まったときは驚きました。「デジモンアドベンチャー02」の最終回につながる物語ということで、「LAST EVOLUTION 絆」からあの最終回までの間には長い年月が横たわっており、まだまだ語られていないエピソードもあるのかなとは思うのですが、大人になった太一のお話はこれでおしまい、ということで気合を入れて収録に臨みました。
――15年にスタートした「tri.」では“選ばれし子どもたち”のキャストが一新されました。花江さんも同作からの参加ですね。
花江:当時は、とても大きなプレッシャーを感じていました。第1章「再会」は本当に手探り状態だったのですが、そこから5年という長い年月をかけて、「初代」で藤田淑子さんが演じた太一像をもとにしながらも、成長した新しい太一像を固めていけたことは、とてもいい経験になりました。「LAST EVOLUTION 絆」まで演じきった今、あらためて振り返ってみると、太一と一緒に成長していくことができたかなと思っています。
――一方で、アグモンは「初代」から「LAST EVOLUTION 絆」まで、ずっと変わりませんね。
坂本:自分は変わらないまま、成長していくみんなを見ている、というのがアグモンの立ち位置です。きっと、アグモンには「大人になる」ということが、いったいどういうことなのか、ちゃんとわかってはいないんです。でも、何かしら感じるところがあるんでしょうね。「みんな大人になっているんだなあ」と、俯瞰で見ているようところがあります。
――いつも子どものように無邪気ですが、どこか懐の深さも感じさせる、不思議な存在です。
坂本:そうなんですよね。久しぶりに会った、田舎の親戚みたいなところがあるかもしれません(笑)。
――今作の脚本をご覧になっての感想はいかがでしたか。
坂本:読んだ段階で、ウルっときてしまいましたね。けれど、アグモンとしては、それを微塵も出してはいけないんです。何かを予感させるようでもダメなので、お芝居のときはフラットに徹しています。
花江:まだ完成した映像を見られていないので、印象は大きく変わると思うのですが、それでも涙しそうになりました。「初代」を思わせる場面もいくつかあって、僕が楽しみに見ていた当時を思い出しました。「太一とアグモンの最後の物語」にふさわしいお話だと思います。
坂本:画が完成していない状態での収録だったので、ところどころ不明点もありました。でも、田口智久監督のト書きから、私たちに、監督の頭の中にある画を少しでも伝えたい、という思いが伝わってくるようでした。
(C) 本郷あきよし・東映アニメーション
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花江:心情が細かく記されていましたね。
坂本:たとえば「太一もどうしようもなく、必死なのだ」などと書いてありました。「太一が○○をする」だけでも、私たち役者は、そこから心情を読み解くものですが、「どうしても伝えたい思いがある」という作品への愛がビンビン感じられました。大丈夫、伝わるよ! って。かわいらしかったですね(笑)。
――今作で、特に気に入っているシーンはありますか。
花江:やはりラストシーンですね。なんでもない日常会話なのですが、そのひとことひとことが、とても大切なんだと感じるシーンでした。いつもどおりの太一とアグモンが、とても切ないんです。
坂本:淡々と、いつもどおりの2人。それでも、そのときは迫ってくる。だからこそ、いつも以上にいつものように、何かを予感させるようなことはひとかけらもないようにと、心がけて演じました。ほかには、アグモンが太一のお部屋におじゃまするシーンも好きですね。テレビ番組の「お部屋拝見」みたいな気持ちで、若い男の子のお部屋を覗かせていただきました。狭いながらも、けっこう小ギレイにしているじゃないのって(笑)。
――収録現場の雰囲気はいかがでしたか。
坂本:片山福十郎くんを筆頭とした、新規キャストぞろいの「デジモンアドベンチャー02」組が本当に楽しそうでした。ワクワクドキドキが伝わってくるくらい。
花江:「02」組の登場シーンは、ワイワイと明るく賑やかでしたしね。
坂本:彼らは前もって親睦会を開いて団結を深め、満を持して「tri.」組に乗り込んできたんですよ。道場破りみたいに(笑)。私たち「パートナーデジモン」組も、毎回の収録後にはみんなで打ち上げをするのが恒例になっているのですが、今回もみなさん日本酒をたくさん飲んでいました。
――アグモン役として「デジモンアドベンチャー」シリーズに参加し続けてきた坂本さんは、収録現場の20年間の変遷をどのように見ていますか。
坂本:20年前に「初代」を収録していた頃は、「この現場が初めて」という方も多く、収録開始からしばらくの間は「しっかりしろよ!」と思ってしまうくらい、スタジオがバタついていたんです。ところが「tri.」で再会したときは、みんなおばちゃんに……(笑)。歳をとったぶん落ち着きが出たのかなと思いもするのですが、新たな“選ばれし子どもたち”のみんなを見るにつけ、「フレッシュさを失わないって素敵なことね」と思うこともありました。そんななか、こんなに時間が経っても、またパートナーデジモンたちを演じることができる喜びを、みんなが感じていたでしょうね。本当に、ほとんどありえないようなご縁ですから。
だからこそ私たちは、新しい“選ばれし子どもたち”キャストのみんなとも、お互いにわかり合いたいと思っていたんです。実際、収録ブースでも、パートナー同士寄り添っていく姿が見られました。みんな積極的に隣に座ろうとしたりしていたんです。とても素敵な関係性だと思います。
作品情報
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太一とアグモンたちが出会い、デジタルワールドを冒険した夏から10年以上が経過した2010年。世界中の“選ばれし子どもたち”は次第にその存在を認知され、現実世界にデジモンがいる風景も珍しくなくなっ...
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