2021年4月2日(金)19:00
「フルーツバスケット」ついにThe Final――石見舞菜香に多くを与えた、大切な出会い
TVアニメ「フルーツバスケット」がついにThe Finalを迎える。「原作漫画の全編アニメ化」に挑んだ今作。主人公・本田透を演じた石見舞菜香に話を聞くと、キャストとして作品に携わったということ以上の大きな思いを抱えていた。今回はリモート取材となったが、画面の向こうで「人生において大きな作品です」とほほ笑む姿が印象的だった――。役者としてのみならず、心や生活までも豊かにしてくれたという「フルーツバスケット」。キャラクター、キャスト、スタッフなど、作品がもたらした多くの“であい”を振り返ってもらった。(取材・文/編集部)
原作は、高屋奈月氏が1998年~2006年に「花とゆめ」(白泉社刊)で連載していた人気漫画。天涯孤独になった少女・本田透が、異性に抱きつかれると動物になってしまう“十二支の物の怪憑き”である草摩家に渦巻く因縁と対峙していく姿を描く。2度目のアニメ化となる今作は、19年4月~9月に「1st season」、20年4月~9月に「2nd season」が放送され、4月5日スタートの「The Final」で完結を迎える。
本田透との“出合い”
The Finalは「全てをとっぱらったひとりの女の子になる」
――最後の収録が終わった瞬間はいかがでしたか?
(C)高屋奈月・白泉社/フルーツバスケット製作委員会
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本当に実感がなくて。物語が終わったことは理解できるのですが、全然実感がわかなくて。いつも通り(収録ブースを)出たら、皆さんが拍手してくださって。「お疲れ様」と言われた瞬間に実感がわいて、ロビーで号泣でした。えんえん泣いちゃって……。終わりたくなかったです。だから、現場の皆さんへの差し入れに感謝のメッセージを書きました。本当に温かい現場でした。
――そしてThe Finalが放送間近となりましたが心境は?
ついにきてしまったという気持ちです。「終わってしまうんだな」という寂しい気持ちと、「最後まで見ていただけるんだな」といううれしい気持ちと、少し複雑な思いです。
――ここまで透と一緒に歩んできて、キャラクターの印象はいかがですか? どこまでも真っすぐで思いやりにあふれた女の子だからこそ、理解に苦労することもあったのでは?
難しかったですが、透くんに共感できる部分も多かったので、透くんと同じように相手を思って泣けたし、(セリフを)言えたし、会話ができました。私自身も草摩家の皆さんを大切に思っていたし、透くん以外のキャラクターも本当に素敵な人ばかりなので、素直に透くんの気持ちがわかった感じがしました。
(C)高屋奈月・白泉社/フルーツバスケット製作委員会
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――透への共感は、1st seasonの頃から強かったのでしょうか。
いえ、オーディションを受けた時は、透くんが“素晴らしい人”すぎて尊敬の意が大きかったです。演じることが決まってからも「どうしたら自分が透くんになれるか」と迷走しましたが、スタッフさんやキャストの皆さんが「そのままでいいんだよ」と言ってくださり、「もしかしたら自分のなかに透くんに通じる気持ちがあるのかもしれない」という見方をするようになりました。
――一番大きなディレクションが「そのままで」だったんですね。
そうですね。1回目の収録時に、私が変に作っていってしまったこともあって。何回かやるうちに「自然体でいいんだよ」と言われました。音響監督の明田川(仁)さんは、私が業界に入ったころからお世話になっているので、私の人となりをわかっていて、そういう言葉をくださったのかもしれません。また島崎信長さん(崎はたつさきが正式表記)も、デビュー当時からお世話になっている先輩なので「それでいいんだよ」とか「そのままでいいんだよ」と言葉をかけてくださいました。だから「透くんの言葉は、素直な言葉だから相手に届くんだろうな。自分も変に考えるんじゃなく、感じたまま透くんになって、言葉をかけるのが正解なんだな」と思って演じるようになりました。
(C)高屋奈月・白泉社/フルーツバスケット製作委員会
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――The Finalでは透の葛藤も描かれますが、印象に変化はありましたか。
The Finalの透くんは、今までで一番人間味がある気がします。今まで人間味がなかったというわけではないのですが、透くんがめちゃくちゃ悩んで、葛藤している姿が印象的でした。そして、透くんがずっと閉じていた心の蓋を開けるのがThe Finalでもあります。透くんは、敬語で話すことが多かったですが、The Finalは敬語じゃないセリフが多かったり、気が動転して敬語じゃなくなるシーンが多いんです。そういったところから、全てをとっぱらったひとりの女の子になる瞬間が多かったように思います。
作品情報
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