2025年3月6日(木)19:00
【「殿と犬」4人の殿インタビュー】杉田智和が大切にした“犬ファースト”の姿勢 何度もよぎった愛犬・直司の存在
放送中のテレビアニメ「殿と犬」のメインキャラクター・殿を演じるキャスト4人のインタビュー、第2弾は杉田智和が登場!
作品全体やキャラクター、アフレコについて質問を投げかけると、杉田の答えに共通していたことは「犬を第一に考える」ということ。アフレコで苦労を強いられようとも「犬を第一に置くことによって、大抵のことは許せてしまう」。なにより大切にしたのは「犬が魅力的に映っている」ことであり、視聴者に向けて「難しいことを考えなくていいんです。犬を見て、かわいい、癒やされる。それでいいじゃないですか」とメッセージを寄せてくれた。
そしてもうひとつ、たくさんの話をしてくれたのが、実家で飼っていた亡き愛犬・直司について。「殿と犬」という作品は、犬と過ごす日常を細かく描いているからこそ収録中に何度も直司のことを思い出し、また「直司と一緒にいた日々が、芝居にものすごく役立っている」とも語っていた。
作品に臨む姿勢、そして愛犬のことを語る姿からは“犬ファースト”の思いがひしひしと伝わってきた。(取材・文/編集部)
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■大切にしたのは「基準が犬」であること その側にあった「直司との思い出」

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――ここまで収録してきて、殿をどのような人物と捉えていらっしゃいますか? 最初の頃と比べて、気づきや新たな発見はありましたか?
殿というキャラクターのバックボーンはあまり考えないようにしています。これからどう生きていくのかということよりは、全ての行動の根本にあるのが犬、基準が犬だと考えています。犬に対して「かわいいな」とか、「一緒にいたいな」とか、「放っておけないな」という感情が大事なんですね。だから、どうやったら犬と一緒にいられるだろう、犬があのなかで暮らしていけるだろうということばかり考えています。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――「犬を基準」にということですが、後半まで収録してきて、改めてどういった思いで犬というキャラクターを見ていらっしゃいますか。
収録していると、かつて実家で飼っていた柴犬の直司のことが何度も頭をよぎりました。本編の中に柴犬の親子が出てくるのですが、その度に思い出してしまって、「この子は直司じゃない。そうだ『殿と犬』を演じなきゃ」と現実に引き戻されることがありました。でも、直司と一緒にいた日々は芝居にものすごく役立っています。犬が好きな人はこれぐらい視点を下げるよなーとか、しゃべり方ひとつとってもそうです。
あと、「殿と犬」は犬メインの作品ではありますが、猫作品でもあります。
――同じ長屋に住んでる猫たちですね。
猫の登場シーンでは、「実家の近所の猫は、直司が亡くなった後も実家を散歩のコースにしていたので、『なぜ(直司は)いないんだろう』というような目で見ていたな」ということを思い出して、少しだけ寂しくなりました。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――直司は猫と仲が良かったんですか?
いえ、ものすごく悪かったです。直司は猫が大嫌いだったので、いつも怯えてました。
――猫嫌いなのに、猫の散歩コースになってしまったんですね(笑)
僕が猫大好きなので、その猫と遊んでいたら、猫が散歩のコースに入れちゃったんです。でも多分、直司は大反対だったと思います。「なんで猫!?」という反応でした。
――直司の楽しいエピソードがたくさん出てきますね(笑)
犬とか猫が題材の作品に触れると、こういう話がずっと頭の中から離れないんです。ずっと感謝してます、たぶん一生。
■振り回されても許しちゃう 殿との共通点は犬への「許容」の気持ち

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――殿を演じるうえで心がけたことはありますか?
「殿と犬」はテンポがすごく速い作品なので、セリフをためたり、句読点を打つ余裕もないことがありますが、その時に「速いな、大変だな」ではなく「なぜ速いのかな」という方に頭を切り替えました。
あと最初にお話ししたように、犬を第一に置くことによって、大抵のことは許せてしまう。「すごくきついけれど、犬がかわいいからいいか」とか「犬の動きのために、絵の尺を取らなきゃいけないもんな」って。犬のためなら致し方なし。大抵のことは納得できます。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――まさに「犬が最優先」ですね。そういったお話から、作品と真摯に向き合う姿勢はもちろん、犬への愛情も強く感じます。そんな杉田さんからみて、作中で殿が犬に対してとった行動で共感した瞬間はありましたか?
犬のすることを許容するところです。例えば、雨の日に外に出るとびちゃびちゃになるし、毛が散らばる。そういえば、犬にTシャツを着せる飼い主さんもいらっしゃいますが、実家で飼っていた直司は「マッスルボマー」のオルテガみたいに「うおー!」ってTシャツを引き裂いて……すみません、マッスルボマーのオルテガだと強力な注釈が必要ですね。正しくは、プロレスラーのようにTシャツを引き裂いていました。
――(笑)
あと、噛み癖をなくすために口につける器具があるのですが、直司はそれも相当嫌だったんでしょうね。次の日ズタズタになってました。
――(笑)。そういったことも許容できるわけですね。
(頷きながら)「そうだよね、そうなるよね。人間が悪かったわ」と。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――殿の行動のなかで「犬を飼ってる人あるある」を感じた瞬間はありますか?
犬を愛でる自分の姿って、他の人には結構恥ずかしい姿に映ってるんだろうなということです。犬に語りかける人もよくいますが、そういう姿も本人は見えてないんだろうなと思いました。
――杉田さんは直司に話しかけていましたか?
しょっちゅうですね。うれしかったのが、自分が都会で1人暮らしをするようになって、実家を離れてしまったので「直司、忘れてないかな?」と思っていたら、そんなことなかったんです。晩年まで、テレビで僕の声が流れてくると直司がピクッとなって、「どこかにいるの?」というように辺りを見回すんですよ。両親は未だに息子の声を覚えないというのに、直司だけは最後まで覚えていてくれました。あれは本当にうれしかったですね。直司とは、最後の最後まで一緒にいたかったのですが、それは叶わなかったので、今でも後悔しています。
■殿役が4人と知った時の心境は?「ある日、武内駿輔くんから…」

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――話題が変わりますが、本作のアニメが発表された際は、殿役のキャストが4人(大塚明夫、杉田智和、相葉雅紀、武内駿輔)いることに驚きました。4人で演じることは、出演決定時から知っていたのでしょうか?
最初に殿役は他に3人いますと言われて、そのこと自体は気にはならなかったです。でも、4人の殿役を比較するようなことはせず、同一に扱ってほしいとはお伝えしました。
――自分以外の3人のキャストが誰なのかは気になりましたか?
そこは特に気にならなかったです。ある日、武内駿輔くんから連絡が来て、「(モノマネしながら)『殿と犬』という作品、杉田さんもいるんですよね」と言われて、「そうだな。よろしく」と。それで駿くんが出ていることを知りました。
ただ、殿役同士は収録の都合で共演する機会がなく、現場が一緒になることがないので、それは若干寂しい気がします。
■見どころは「犬が映ってるところは全部」 アフレコでは“モデル犬”にも挨拶

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――再びアニメ本編の話題に戻りますが、後半の収録まで終えられて、特に印象に残っているエピソードはありますか?
殿が出てこない回でもいいんです。犬が単体で、それこそシロちゃんとか、猫たちと会話してるシーンとか。自分が(殿が)出てる出てないは関係なく、やっぱり犬が魅力的に映っているシーン、基本犬が映ってるところは全部です。これはそういうアニメです。
――犬の全部が見どころのなかで、杉田さんが個人的にグッときた「犬の行動や仕草」はありますか? ちなみに、私も犬を飼っているのですが「うちの子と同じだ!」と興奮する場面がたびたびありました。例えば寝る場面で、最初は自分の寝床にいた犬が、起きたら飼い主(殿)の布団のど真ん中を陣取っているシーンは「わかる! かわいい!」と大興奮でした(笑)。
確かにそういう感覚はあると思います。食事中と寝てる時って個体差が出ますよね。「殿と犬」の犬は、美味しそうにご飯を食べるんですよ。それで、直司もそうだったなと思い出しました。直司は、カスピ海ヨーグルトにはまった母親から(ヨーグルトが入った)パックを奪い取って、顔を突っ込んで食べて、顔がべちゃべちゃになってました。ヨーグルトがめちゃめちゃ好きでした。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――作中の犬の仕草や行動を見ているだけで、実際の犬との思い出がたくさん浮かんできますよね。
そうですね。この作品は犬の挙動をとても細かく描いていますから、西田(理英)先生が実際に飼われてるコーギーちゃんが本当にモデルになってるんだなとわかります。先ほど、先生と一緒にコーギーもZoomで収録を見ていたのですが……
――西田先生がZoomで収録の様子をご覧になったのですか?
見てくださいました。収録の最後に先生に挨拶したら、Zoomの画面にコーギーが映ったので、「(コーギーに対して)そうだったか! 収録を見てくれたんだね」と。
――モデルになったコーギーに画面越しで会えたんですね!
コーギーが動こうとするので先生が押さえてました。ひとつの場所に留まれないんでしょうね。押さえていないと、すぐにどこかに行こうとする姿を見て「あるある!」と思いました。
■殿と犬――そして犬と家族「直司の存在はすごく大きかった」

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――今回のインタビューでは、「殿と犬」という作品にどのような思いで向き合ったのか、それと同時に犬への愛情、直司への思いをたくさん語っていただき、ありがとうございました。最後に、改めて「殿と犬」に関わるなかで思い出した、直司との印象的なエピソードは何かありますか?
「殿と犬」という作品においてもそうですが、「犬の行動の基準がなんなのか」向き合う、「直司の欲が何に向いているのか」を把握することは大事なことだったなと思い出しました。今はお腹が空いているんだなとか、眠いんだろうなとか。犬は寝る時に寝床を作るのですが、本作はそういう動きもちゃんと描いていて、ちゃんと犬のお気に入りの場所があるんです。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――直司は、寝る時のルーティーンはありましたか?
いつも寝床を作りだすんです。あとは、こたつが寝るのが大好きでした。なんでこたつかと言うと、みんなが入る場所だから。家族の情報が集まってることを喜んでくれるのは嬉しかったです。
――ワンちゃんがいると家族のつながりが増しますよね。
気づかないうちに家族をつなぎ止めていましたね。直司の存在はすごく大きかったです。こたつといえば、ある日、家に帰ったら、祖父がこたつから頭を出して寝ていて、こたつの反対側で直司が寝ていたことがありました。じいさんも直司も同じ顔で寝ていたので、新種のクリーチャーかと思いました。
【「殿と犬」他のキャストのインタビューも掲載!】
■大塚明夫が語る「味わいの違う殿」 亡き愛猫との“一夜の思い出”も告白
■相葉雅紀インタビュー/3月7日午後7時掲載
■武内駿輔インタビュー/3月8日午後7時掲載
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