2020年9月22日(火)19:00
【明田川進の「音物語」】第41回 「ぼのぼの」の沖縄風音楽、「ゴールデンカムイ」大塚芳忠さんの芝居
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「ぼのぼの」(※1995~96年放送のテレビアニメ第1作)は、僕がグループ・タックを離れてしばらくしたあと、田代(敦巳)氏が声をかけてくれて音響監督を担当した作品です(https://anime.eiga.com/news/column/aketagawa_oto/107610/ )。1993年公開の映画からキャスティングが変更されていますが、どういう経緯があったのか記憶がありません。もしかしたら、キャスティングが決まったあとに僕は入ったのかもしれません。
ぼのぼのを演じた渡辺久美子さんは、変に演技をしない自然体のスタイルがとても印象的です。そこにシマリスくん役の吉田小奈美さんやアライグマくん役の藤原啓治さんの声が面白く入っていって、すごくバランスがよかった気がします。
僕にとって「ぼのぼの」は音楽のイメージが強くて、毎回選曲が楽しみでした。沖縄の島歌のような楽曲がこの作品にはあうんじゃないかという話を監督の難波(日登志)さん、プロデューサーの松崎(澄夫)さんとして、沖縄出身の三宅一徳さんがいろいろつくってくれました。また、映像のなかでいろいろな説明をしているときに、ここに問題の箇所があるんだよという矢印がでてくるのですが、その矢印に面白い効果音をつけていくのも楽しみでした。
「ぼのぼの」はやすみ(哲夫)さんの構成がよくて、難波さんの描こうとする世界観も面白かったです。難波さんはグループ・タックの作品では「3丁目のタマ」(テレビアニメ第1期シリーズコーディネイション、1993年公開「3丁目のタマ おねがい!モモちゃんを捜して!!」)の監督もされていて、どちらも子ども向けでありつつエスプリのある作品になっているなと感じていました。
最近、難波さんは「ゴールデンカムイ」を監督されていて久しぶりにお会いしました。仁(※音響監督の明田川仁氏)が音響監督を担当していますが、あの作品はキャストがみんな面白いですよね。主演の小林(親弘)さんはもちろんのこと、僕は(大塚)芳忠さんがこれまでの格好よさとは違うところでキャラクターをつくっているところがすごいなと思いながら見ていました(※鶴見中尉役)。
昔、玄田(哲章)さんが「女性の役もやらせてくださいよ」とよく話していたことがありました。玄田さんは格好よくて太い声のイメージがあって、そうした声をイメージして起用されることが多いので、「自分には別のこともできるからやらせてほしい」というお気持ちがあったのだと思います。「ゴールデンカムイ」の芳忠さんのお芝居にも同じようなものが感じられて、やっぱりそういうのは面白いですよね。
明田川進の「音物語」
[筆者紹介]
明田川 進(アケタガワ ススム) マジックカプセル代表取締役社長、日本音声製作者連盟理事。日本のアニメ黎明期から音の現場に携わり続け、音響監督を手がけた作品は「リボンの騎士」「AKIRA」「銀河英雄伝説」「カスミン」など多数。
作品情報
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