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特集・コラム 2024年12月29日(日)19:00

【明田川進の「音物語」】第80回 同人誌即売会「コミックワールド」を手伝った話

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コミックマーケット(略称コミケ)には、板橋区の板橋産業連合会館で開催されていた初期の頃から見にいっていました。当時、虫プロで働いていた僕は、どんな絵を描く人がいるのだろうという気持ちで足を運んでいて、まだ大手の出版社などではコミケは駄目だと言われていた頃です。でも、実際に足を運んでみたら、出版関係の人でも知っている人がきていて、「内緒なんだけど、作家さんを見にちょっとね」なんて言っていました。作家さんのなかでも、自分の作品がパロディにされることを嫌がる人がいたり、それが作品の人気のバロメーターになるからという人もいたりと様々でした。

そんなコミケで、漫画のトーンを売っているコーナーがあると思います。今はどうなっているか分かりませんが、僕は1980年代後半から1990年代ぐらいにかけて、毎回その売り場を手伝っていました。僕の大学の後輩に金子寛一さんという人がいて、彼が経営するエスイー(現・デリーター)という会社が漫画用のトーンを扱っていたんです。もともとはプリント用の基盤をつくる会社で、その技術を応用してトーンをつくることになったそうです。パソコンで漫画を描く人が増えた今、トーンを使う人は少なくなってきましたが、当時は漫画を描く人には必ず必要なもので、どこででも買えるものでもありませんでしたから、夏と冬のコミケで会社の1年の売り上げが成り立ってしまうぐらい売れていたと聞きました。

その後、彼の会社エスイー自らコミケのような同人誌即売会をやろうということになり、1996年に「コミックワールド」というイベントをはじめました。東京ではメッセ昭島という施設でよく行われていて、僕はそこで行われる声優さんのイベントなどで協力し、渡辺美佐さんに毎回雑誌の原稿 をお願いしていたのを覚えています。エスイーは「コミックテクノ」という雑誌もだしていて、渡辺さんはそこでエッセイも書いていました。せっかくだから会場にお店を出そうと、ケータリングをできる会社に話をして食事ができるスペースを設けるなど、僕自身、面白がりながら手伝っていました。

「コミックワールド」は東京以外でも多く開催され、海外にも展開していきました。台湾、香港、韓国などで催され、アメリカで開催されたときは、僕がサンリオ時代に知っている人を紹介しました。その後、「コミックワールド」は開催されなくなり、息子さんに会社を譲った金子寛一さんは昨年2023年に亡くなっています。

明田川 進

明田川進の「音物語」

[筆者紹介]
明田川 進(アケタガワ ススム)
マジックカプセル代表取締役社長、日本音声製作者連盟理事。日本のアニメ黎明期から音の現場に携わり続け、音響監督を手がけた作品は「リボンの騎士」「AKIRA」「銀河英雄伝説」「カスミン」など多数。

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