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特集・コラム 2021年3月18日(木)19:00

【編集Gのサブカル本棚】第4回 22人の寮生たちに自然と愛着がわく「ツイステ」

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昨年(2020年)8月頃から、スマホ向けゲーム「ディズニー ツイステッドワンダーランド」(以下「ツイステ」)をプレイしている。20年の春頃からグッズが飛ぶように売れるほどの人気だと聞いていて、CloverWorks制作のアニメCM第1弾が公開されたのをきっかけに(https://anime.eiga.com/news/111574/ )、話のタネに少しだけ触っておこうぐらいの気持ちではじめた。なんだかんだでハマって、今は主人公の相棒グリムの魔法レベルをあげるためにツナ缶をせっせと集めている(3月18日現在、累計ログイン223日目)。

「ツイステ」のキャラクターは、ディズニー作品に登場する「ヴィランズ(悪役・敵役)」をモチーフにつくられており、原案・メインシナリオ・キャラクターデザインを「黒執事」で知られる漫画家の枢やな氏が手がけている。プレイヤーがあやつる主人公は、異世界からツイステッドワンダーランドに召喚された魔法の使えないユウ(初期設定のプレイヤーネーム)。ユウはオンボロ寮の監督生として、名門魔法士養成学校「ナイトレイブンカレッジ」の寮生たちと学園生活を送りながら、元の世界に戻る方法を探す。

本作には、7つの寮に所属する22人のメインキャラクターがいる。最初にキャラクターを選ぶとき、こんなにキャラクターがいても覚えきれないな……と思っていたが、Live2Dで生き生きと動くキャラクター絵や授業中にコミカルに動くデフォルメ絵が楽しく、各寮にスポットをあてたメインストーリーを進めていくと自然にキャラクターの名前と特徴を覚えてしまう。Instagramを思わせるSNS「マジカメ」映えに目がないケイト、学園内にカフェをつくる商売上手のアズール、興奮すると青森弁のような訛りがでるエペル、「私、優しいので」が口癖の学園長クロウリーなど、とにかく皆キャラが立っていて、彼らの話をもっと読みたいと普段買わないコミックアンソロジーまで買ってしまった。個人的に、「くふふ」と笑う年齢不詳のリリアが気になっていて、先のシナリオでフィーチャーされるのを楽しみにしている。

メインストーリーでは、ディズニー作品へのオマージュに満ちた寮に体験入寮するような感覚でじっくりと寮生たちのドラマが描かれ、キャラクターカードを入手すると読めるパーソナルストーリーでは主に寮生同士の関係性を描く話が楽しめる。ゲーム内のバトルにも「バディ」というシステムがあり、縁の深いキャラクター同士をパーティに入れることで戦力を強化することができる。また、基本無料のスマホ向けゲームの生命線である「ガチャ」のために新規のキャラクターを増やすことが多いなか、「ツイステ」ではキャラクターの種類を増やすのではなく、既存キャラクターの衣装違いのカードが実装されている。ゲーム内のあらゆる要素を使って、料理をコトコトと煮込むようにキャラクターを大事に掘り下げている印象だ。

「公式ガイド+設定資料集」収録のインタビューで、枢氏はキャラクターづくりについて“誰からも愛される”ことを目標にせず、ストーリー展開こみで良い子になりすぎないことを大事にしていると語っている。インタビューを読むと、原案・メインシナリオ・キャラクターデザインという肩書き以上に枢氏が深く作品にコミットしていることがうかがえ、そうしたこだわりがキャラクターの魅力や世界観の統一感に繋がっているのだと思う。

メインストーリーで残っている寮はあと2つ。主人公の秘密や鏡の向こう側にいるミッキーマウスとの関係など、大枠の物語はそこで一区切りつくものと思われる。ゲーム本編のコミカライズが「月刊Gファンタジー」4月号(3月18日発売)からスタートし、今後のメディアミックス展開も楽しみだ。

五所 光太郎

編集Gのサブカル本棚

[筆者紹介]
五所 光太郎(ゴショ コウタロウ)
映画.com「アニメハック」編集部員。1975年生まれ、埼玉県出身。1990年代に太田出版やデータハウスなどから出版されたサブカル本が大好き。個人的に、SF作家・式貴士の研究サイト「虹星人」を運営しています。

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