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特集・コラム 2020年12月21日(月)19:00

2020年フィギュア状況まとめ エヴァワンフェスに見る2021年イベントのあり方

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年末の更新ということで、ホビー・フィギュア的に2020年を振り返ってみたいと思いますが、他のエンタテインメントジャンルと同じく、新型コロナウイルスの影響がとてつもなく大きなことになった年でした。ということでざっくりその状況をまとめて、21年の予想も少し付け加えてみましょう。

まずは、フィギュアそのものの生産や流通から。
 20年初頭、中国で新型コロナウイルスの流行がおこった頃いちばん不安視されていたのは工場の稼働そのものでした。工場が閉鎖される、工員が罹患するといった直接的な影響だけではなく、ちょうど旧正月の時期にあたったために地元に帰省した工員がなかなか帰ってこないために生産が遅れたという話もありました。そして中国である程度落ち着いた状況になると、今度は日本からスタッフが中国の工場に入れないということが大きな問題となってきます。フィギュアの生産では基本的に現場で修正指示を入れてクオリティを上げていくのですが、現場でそれができないとなるとメール頼りになります。そうすると現場で5分あれば修整できることが、指示メールのやりとりのために数日がかりになってしまうこともあるのです。さらに慣れてないメーカーが現場で確認できてなかったために、最終的な商品がかなりひどいことになって返金騒ぎがおこったという例もありました。
 現在、工場は比較的通常運営になっているそうですが、春先に生産が遅れたフィギュアが玉突きで後のフィギュアの販売スケジュールに影響を与えているので、かなりのフィギュアのスケジュールが狂っています。そこに加えて、今度はコンテナが足りないので、できあがったフィギュアが送れないという状況もおこっているのです。全世界的にコンテナが足りなくなっているというのは最近のニュースでも伝えられていましたが、これはかなり深刻な問題になっているようです。先日はコンテナ船の積み荷が崩れたという事故もありましたが……。あれこれの影響でフィギュアの発売が半年単位で延期になっているというのも珍しくありません。
 なお、価格に関しては相変わらず上昇中。そろそろ標準価格が2万円になりそうな勢いです。市場に関していうと、中国市場の規模が大きくなり続け、重要度はますます増しているのです。中国ではベースがジオラマ的に大きい作品が好まれるとのことで、日本のメーカーのフィギュアでもそのあたりを意識したものが増えていますし、さらに中国オリジナルのアニメやマンガ、ゲームからのフィギュア化がかなり増えています。現状リアルな大規模ホビーイベントは中国でしか開けない状態ですが、そのレポートを見ているとグッドスマイルカンパニーやBANDAI SPIRITSなどから中国オリジナル作品が多数出ていることに驚かされます。知らないタイトルだなぁと思ったらほぼ間違いなく中国IP作品という感じ。工場だけではなく市場も中国抜きでフィギュアは回らなくなってきていると言えるかも。ただ、当然その他の国への展開も考えているでしょうし、価格に関してもあれこれトライが増えそうです。

続いてホビーイベント。
 20年2月にワンダーフェスティバル2020[冬]は開催されましたが、大型イベントとしてはそれが今年最後になりました。2月のワンフェス時点でもわりと危うい状況で、ディーラーや参加者で新型コロナウイルス対策のために欠席した人もいたのですが、その後状況が急激に悪化。このワンフェスも1週間か2週間後だと開催できなかったかもしれません。
 その後、軒並みホビーイベントは中止。他ジャンル同様にオンラインで開催されるイベントが多くなってきました。VRなどを組み合わせてイベント会場の雰囲気を再現しようとしたり、動画でゲストトークや最新情報を流したり、さまざまな工夫を行っていました。ただ、やはり立体は自分の目で見てあちこちからのぞき込んでこそ。写真ではどうしてもその魅力を伝えきることはできません。
 オンラインイベントと並行してリアルイベントも8月あたりから開催されるようになりました。グッドスマイルカンパニーのワンホビギャラリーだったり、造形イベントのAK-GARDENだったり。いずれも小規模で入場制限等かなり気を遣った仕様でしたが、久しぶりにフィギュアなどがずらりと並んでいるのを見ると、やっぱり実物は良いなぁと思えるものでした。
 当日版権フィギュアに関してもトレジャーフェスタ・オンラインやC3AFA TOKYO ONLINEではオンラインでの販売が行われました。当日版権というその日1日だけの販売で個数も限られている特殊な販売形式は、オンラインとはなかなか相性が悪いところ。C3のほうはキャラアニという大手オンライン販売サイトをバックにして、アクセス過多などもある種無難に乗り切ったというかんじでしたが、トレフェスオンラインはなかなか大変でした。このオンラインイベントはもともとコロナ以前から実行するとして告知されていたのが、いよいよ開催となったのですが、初の試みだけあってトラブル続き。結局9月の初日はまともに接続できず。2日目の開催を延期して11月としたのですが、その日も最初ろくにアクセスできず、これはイベントとして終わったなぁなどとも言われていたのですが、おこっていたトラブルを解決できたということで、午後2時過ぎから急激にアクセス状況が改善。普通に買い物もできるようになっていました。終わり良ければというか、最初からこれができていればというか、最終的にはまあまあの好印象を残したと言えるかもしれません。とはいえいろいろ問題点は残っているイベントですが、2回目、3回目のスケジュールも発表済み。その様子によって評価は定まることになりそうです。

そして12月には中規模のリアルイベントがついに開催されました。それが[エヴァンゲリオンワンフェス」。メーカーやステージだけではなく当日版権もあるホビーイベントでその名の通り「エヴァンゲリオン」のみのワンダーフェスティバル。12月6日に幕張メッセの8ホール1つだけ使って開催されたのですが、久々の本格的なホビーイベントで、参加人数もそこそこ。この規模だからこそ全体をゆっくり見て回れるし久しぶりに会った人とあれこれ話もできる、さらに高橋洋子さんの生ライブ! 参加した人の反応も良いイベントだったという声も多く上々の評判でした。イベント規模や交流の仕方など、最初期のワンフェスのような雰囲気だったという声も。
 個人的にも幕張メッセに行ったのは2月のワンフェス以来! こんな長期間メッセに行ってないのは初めて。

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ディーラー出品では、最近のCMで明らかになったばかりのアスカの白いプラグスーツをT's system.の宮川武氏が早くも立体化! エヴァのアマチュア版権システムだからこそできた最速の初フィギュア化となりましたが、ポーズのおもしろさも含めてアマチュア版権ならではなのです。もちろん当日は朝一から行列ができてあっという間に完売になっていました。このあたりも初期ワンフェスっぽい状況でした。
 21年2月には1年ぶりのワンダーフェスティバルが開催予定になっていますが、今回のエヴァワンフェスはそのための試金石にもなっています。ソーシャルディスタンスや入場制限、会場の換気、さらにマスク専用ゴミ箱まで、現在のイベントで必要になるであろうさまざまなトライが行われていましたし、これを2月のワンフェス本番でも参考にするはず。状況はまだまだ予断を許さないですが、1年ぶりの大型ホビーイベントを楽しみにし、無事開催されることを願いたいと思います。

島谷 光弘

ホビー&フィギュア トレンド

[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ)
フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。

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