2021年11月1日(月)19:00
イベント状況・中国工場の動向など変動の多い最新フィギュア事情まとめ
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前回記事掲載時点から、ホビー・フィギュア関係でかなりいろいろ変動があったので、今回はそのあたりをまとめてみましょう。
まずはワンダーフェスティバル。結局9月の秋ワンフェス開催は見送りとなり、代わりにオンライン開催となりました。オンラインでも一部当日版権に対応し、通販も行われました。330ブースが出展して当日版権申請商品の総取引数は7300件を超えたという公式のレポートも出ています。
ざっくりと定番の人気作の当日版権の状況を手作業で調べたところ、「Fate」シリーズは36ディーラー(71アイテム)、「艦隊これくしょん -艦これ-」は21ディーラー(47アイテム)、「ウルトラ」シリーズは16ディーラー(64アイテム)、「アイドルマスター」シリーズは8ディーラー(19アイテム)、「アリス・ギア・アイギス」は7ディーラー(15アイテム)、イベント外の個人による通販も認められている「アズールレーン」は8ディーラー(12アイテム)。そして今回の最注目「ウマ娘」は22ディーラー(31アイテム)。なお、人気キャラクターのライスシャワーは8体ありました。数え間違えてるかもしれないので、参考までに。
リアルイベントの開催中止からオンラインイベント開催までの期間も短く、ワンフェスとしては当日版権の通販をともなうのは初めて。金銭の授受や商品の発送などはディーラー側で行わなければいけなかったり、無断キャンセルが出るのを避けることがむずかしかったり、システム的な課題はあったものの、まずはワンフェスとしてオンライン開催ができたことは良しとすべきでしょう。
なお、秋ワンフェスの中止にともない、2022年2月の冬ワンフェスについても一部状況が変わりました。まず告知されていた2日間の開催が従来通りの1日開催に。当日版権ディーラーの再募集も行われ、既ディーラー含めて当日版権申請自体も延長されて10月18日締め切りとなりました。この結果、前回の記事で間に合わないと書いた「FGO」新水着サーヴァントも申請が可能になっています。この他にも最近急激に注目度が高まっている「ブルーアーカイブ」アスナのバニーガールもどうなっているかも気になるところ(ただし、「ブルーアーカイブ」自体は当日版権でなくとも、ファン活動の一環としてフィギュアの販売が可能)。
他に10月はグッドスマイルカンパニーとマックスファクトリーが主催する「ワンホビ34」も2~10日に開催、多数の新作フィギュアが発表・展示されています。全体のラインナップの基本的な傾向は変わらず、ねんどろいどやfigmaといった人気シリーズ、プラモデルやスケールフィギュアが並んでいます。価格帯的な2分化の状況はこれまで同様で、一般的なスケールフィギュアの価格は2万円くらいになり、その一方でPOP UP PARADEやHELLO! GOODSMILEといった低価格帯フィギュアシリーズの展開も積極的に行われています。いくつか気になったものをピックアップしましょう。
大物フィギュアで目をひいたものとしては、FREEingが発表した「鬼滅の刃」煉󠄁獄杏寿郎(原型:さと、彩色:myu)。1/4スケールというのも破格ですが、周辺のエフェクトパーツは全高約70センチ! 価格未定ですが置く場所の確保にもかなりの覚悟が必要そうなものになっていました。
※煉獄杏寿郎の”れん”の漢字は「火」に「東」が正しい表記となります。
グッドスマイルカンパニーはイラストレーターとのコラボで展開する「イラストレーション レベーレーション」シリーズで、前回展示では未塗装原型だった荼壹氏のイラストを立体化した「月季嗚珂(ユエジーメイカ)」(原型:藤造型、彩色:えこし)の塗装見本を発表。パーツの細さや彩色の細かさなど、商品化でどのように再現するのか気になるところです。
POP UP PARADEやHELLO! GOODSMILE、ねんどろいどSwacchao!など低価格帯のフィギュアは引き続きさまざまな作品からフィギュア化が進んでいます。今後の若いフィギュアファン層の確保や広がりに大きな意味を持つ分野だけに、その動向は最も気になるところです。
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キャラクターでは、ホロライブのVTuberの立体化が多数進行中。ファンの忠誠度が高いジャンルだけに、フィギュアとの相性の良さもあり、これからまだまだ人気が出そうです。
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マックスファクトリーはイラストレーターのあふ黒氏、千値練とともに新たな可動フィギュア「少女発動機」の展開を発表。figmaとはまた異なるラインであり、要注目のシリーズです。
他にもまだまだ気になるフィギュアはあるのですが、切りがないのでこのあたりで。
ワンホビと同じく10月2~3日は秋葉原UDXで東京フィギュアの展示も行われていました。
MIMEYOI「アズールレーン」バッチ、TOKYO OTAKU MODE「初音ミク」LAMロックシンガーVer.(原型:宮嶋克佳、製作協力:株式会社ストロンガー)、アニプレックス「Fate/Grand Order」キャスター/アルトリア・キャスター 第三再臨(原型:宮嶋克佳、製作協力:株式会社ストロンガー)、スタースペース「エヴァンゲリオン」式波・アスカ・ラングレー、綾波レイ(原型:宮川武)など様々なフィギュアを展示。低価格帯のフィギュアではアワートレジャーが展開する水着フィギュアSummer Queensが多数並べられていました。このフィギュアは塗装済み未組立の「アッセンブルヒロインズ」としてより低価格で提供されているというのもポイント。
会場としてはUDXのデッキ部分だけを使用しているため、時間帯によっては直射日光が塗装見本品を直撃するというなかなか怖い環境になっていたりもしましたが(笑)、ワンホビと日程を併せて気軽にフィギュアを見ることができるイベントになっていました。
このように新作発表は続いているのですが、一方でフィギュアをめぐる状況はなかなか難しいことになっています。
まず中国の工場の状態。他の製造業でも話が出ていましたが、電力不足などにより中国の工場の稼働日の制限が政府から指示されているようです。通常の土日の休みだけではなく、平日も週何日か閉鎖させられるのです。当然フィギュアの生産はさらに遅れることになり、発売日の大幅な遅れもすでに発生しています。またフィギュアの材料の確保もかなり難しくなっているという話も伝わってきています。さらに、中国のフィギュアメーカーの大ヒット作の影響で、日本のフィギュアの受注を受けない工場も出ているとか。
そして、このところ中国で起こっているアニメやゲームなどに対しての締め付け。どこまで今後影響が出るのかは不明ですが、これがフィギュア関係に波及してこないとは言いきれません。むしろこういう場合、特に美少女フィギュアはターゲットにされやすいのです。最悪の場合、中国というフィギュアにとって大きな市場がなくなり、生産を支え続けてきた中国の工場が使えなくなる可能性もゼロではないのです。
いろいろ極論ではあるものの、この先工場も市場もどうなるか予断を許しません。状況は常に追っかけておきたいと思っています。
最後に宣伝も少し。
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「月刊ホビージャパン」で連載していた、美少女フィギュアの歴史についてのインタビュー記事がまとまって「フィギュアJAPANマニアックス 美少女フィギュア35年史」という単行本になりました。
ワンフェスを立ち上げたゼネラルプロダクツや、現在のワンフェスの主催社である海洋堂、美少女フィギュアという概念を生み出したOFF、レジンキットの生産を行っているRCベルグという、それぞれフィギュアの基礎を作ってきた各社。「美少女戦士セーラームーン」「新世紀エヴァンゲリオン」という、フィギュアの歴史の中でも特に大きな意味を持つ作品の関係者(「セーラームーン」はこれまであまり語られていなかったアニメ化にいたる経緯も)。竜人さん、智恵理さん、宮川武さん、浅井真紀さんといったその後に大きな影響を与えた原型師。フィギュアをさらに発展させていったマックスファクトリー、コトブキヤ、ユージン、メガハウス。それぞれのキーマンへのインタビューで、フィギュアの歴史とこれからを点描しようという本です。
タイトルからフィギュアの写真がいっぱい載ってると勘違いされそうですが、中身はほとんど文章だけ。ただ、内容的にはかなり興味深いものになっていると思います。
電子書籍でも発売中なので、よろしくお願いします!
ホビー&フィギュア トレンド
[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ) フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。
作品情報
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人類がその制海権を失ってしまった世界。海を蹂躙する脅威、それが「深海棲艦」。その脅威に対抗できるのは、「艦娘」と呼ばれる在りし日の艦艇の魂を持つ娘たちだけ――。
深海棲艦に対抗する艦隊の拠点、...
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