2022年6月17日(金)19:00
フィギュアの価格あれこれ 上昇する価格、アートの領域の超高額フィギュアまで
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他ジャンルと同様に、5月あたりからホビージャンルでも様々なリアルイベントが開催されるようになっています。静岡ホビーショー、ワンホビ、エロホビ、プライズフェア、ホビーラウンド、となりの模型フェスティバル、AK-GARDEN、東京おもちゃショーなどなど。やはり立体は生で見るのがいちばん、久しぶりに会った顔との雑談にも花が咲きました。
そして来月、7月24日にはワンダーフェスティバルも開催されます。ディーラー情報がサイトにあがっていたので、ざっくりチェックしてみましたが、総ディーラー数は1420と前回と同じ。いちばん詰めこんだときは2000を超えていたので、通路、スペース等に余裕をもたせた配置はそのままキープされているようです。当日版権申請ディーラー数では、これも前回と同じく「ウマ娘」がトップで94(前回は95)、2位に「Fate」シリーズで87(前回は92)。その他の作品もだいたい前回と同じ傾向で大きく変動した感じはありません。チェックしたなかでは唯一「ブルーアーカイブ」がアスナ人気のためか前回の10から18に増えていたのが目立つ程度。
企業ディーラーも前回と同様。第1ホールが飲食スペースとイベントスペースになり、グッドスマイルカンパニー&マックスファクトリーや、バンダイ系は不参加です。グッスマは独自のイベント「スマイルフェス 2022」を開催すると発表済み。ただ、今後ワンフェスに参加しないというのではなく、来年冬はまたワンフェスに参加予定という告知も同時に行われています。
ちなみに7月24日のワンフェス、その翌週7月30、31日はFGOフェス、更にその翌週8月6、7日がスマイルフェスという3週連続のなかなかハードな日程(スマイルフェスのみ新宿で、残り2つは幕張)。
なお、海外では7月1日からAnime Expoも開催。ただし、日本からのゲストはかなり少なめです。今年は無理でしたが、また来年か再来年あたりには様子を見に行きたいところ(この手のイベントは実際に行かないと分からないことが多いのです)。
というところで、ここから本題。フィギュアの価格関係の話です。
人件費やら材料費の高騰で、インフレ・デフレ関係なく近年上がり続けているフィギュアの価格。最近はもう2万円台があたりまえ、ちょっと凝ったものなら3万円超えも普通という雰囲気になってきています。FREEingの1/4バニーフィギュア「B-style アズールレーン ニュージャージー リッピング・ステッピング!」では単体フィギュアにも関わらず6万6000円という価格も出ています。さらにジオラマ的にベースなども凝ったフィギュアなら10万円台も珍しくない状態。
ここから先、さらに昨今の円安の影響が大きく出てくるはずなので、価格の上昇はまだまだ続くはず。
超高価なフィギュアということでは最近話題になった2つのフィギュアが実際に展示されているというので見にいきました。
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まず「スクウェア・エニックス マスターライン ファイナルファンタジーVI 1/6スケール」。六本木の森美術館ミュージアムショップで展示されています。
価格は148万5000円。全世界600個限定(当初日本割り当ては150個という記述がありましたが、現在はなくなっているようです)で、6月26日が受注期限です。
大型スタチュー製作では定評があるプライム1スタジオが手掛けていますが、実際に目にすると驚かされるのは何よりもそのボリュームとディテール。全高78センチというのはこのタイプのフィギュアだと珍しくはないのですが、奥行きと幅も同等のボリューム。さらに、各所のパーツ構成やディテールが非常に細かい! この価格も宜なるかなというところです。ただ、置く場所を確保するのはかなり大変そう。
置く場所の確保でもっと大変なのが、パルコが「1/ ONE SLASH」として展開している「ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~」主人公ソフィーの等身大フィギュア。
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こちらは渋谷パルコのアートフィギュアギャラリー「1/ ONE SLASH」で展示されています。写真は1個限定・抽選販売の背景付きで、価格は605万円。フィギュア単体の通常版は429万円です。
製作は、これまでいくつもの等身大フィギュアを自前の国内工場でつくってきていて、このジャンルでも非常に定評の高いデザインココ。小さなフィギュアとは違う、等身大としてのバランスやディテールの調整を加えたものになっています。以前100万円前後で売られていた等身大フィギュアは3Dプリンターで出力したものをそのまま使っているものがありましたが(耐久性等、圧倒的に劣ります)、こちらはデザインココがしっかりつくりあげたもの。手間等も考えるとこの価格でも安いくらいなのです。
いずれのフィギュアも単にホビー商品というのではなく、商品的にも価格面でもアートの領域にあるもの。海外市場の傾向を考えると、今後こういったアートとしてのフィギュアの存在感はますます強くなっていきそうです。国内、海外でどういったアイテムが出てくるか楽しみなところ。
アートに比較的近いコレクションというジャンルでもフィギュア関係でちょっとした驚きのニュースがありました。
日本以外ではとても大きなフィギュアジャンルとなっているFUNKOのPOP!ですが、コレクター間の取引で2体セットのものが10万ドル(約1350万円!)の値が付いたというのです。
もともとPOP!は1体10ドルちょっと。年間で2000種近く新作が発表され、これまで出たシリーズは1万3000種以上。ハイペースで様々なキャラクターが出るというのが特徴で、ショップ限定やイベント限定も多いのですが、この10万ドルの値が付いたのはその中でもさらに特殊なもの。FUNKOが2016年サンディエゴコミックコンベンションに参加したさいに配っていたチョコレートの中に入っていたゴールデンチケットを手に入れた人だけが買えたもの。そう、映画「チャーリーとチョコレート工場」の物語導入をそのままイベントでやったものなのです。
写真はPOP PRICE GUIDE(https://www.poppriceguide.com)から。
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この金色のウィリー・ウォンカとウンパ・ルンパのセットは10個限定で、そのうちゴールデンチケットで売られたのは4個(チケットは実際には設定通り5枚あったけど1枚は気づかずに捨てられてしまったか、限定数通り10枚あって6枚捨てられたか)。
アメリカでは昔からさまざまなジャンルの実勢価格をまとめたコレクター向けのカタログがあったり、オークションでの取扱いがあったり、コレクター市場がカッチリ成り立っています。コミックやテレビゲーム、ポケモンカードなどでこんなプレミアが付いたというニュースもよく流れてきます。今回の取引は、そういった大きなコレクター市場のひとつにPOP!がなってきているという証左でもあるのです。
アートだったりコレクターズアイテムだったり、フィギュアのいろいろな側面と可能性はまだまだ広がる余地がありそうです。
ホビー&フィギュア トレンド
[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ) フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。
イベント情報・チケット情報
- ワンダーフェスティバル2022[夏]
-
- 開催日
- 2022年7月24日(日)
- 時間
- 10:00開始
- 場所
- 幕張メッセ(千葉県)
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