【この2.5次元がすごい】圧巻のパフォーマンスにも注目　リアルすぎるLIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく！」

(C) はまじあき／芳文社・アニプレックス
(C) LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく！」製作委員会

イメージを拡大

4コマ漫画が原作で、アニメ化も大きな話題を集めた「ぼっち・ざ・ろっく！」が現在舞台でもLIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく！」として上演中です。これはバンドに憧れつつもひとりでギターを弾いていた超人見知りで陰キャの高校生、ぼっちこと後藤ひとりが「結束バンド」のメンバーとして成長していく物語。学生時代はそれなりに楽しかったものの、特にキラキラしていなかった私にとってはぼっちちゃんの妄想や不器用な性格がリアルに感じられ、お気に入りの作品のひとつです。大人になった今だからこそ、応援したくなるぼっちちゃん。そんな彼女の青春を目撃しようと、劇場である新宿・THEATER MILANO-Zaに向かいました。

ぼっちちゃんの心を表現するのは「ぼっち～ず」を上手く使った演出

「ぼっち・ざ・ろっく！」の面白さには、ぼっちちゃんが突然自分の世界に入り込んだり、陽キャのパワーにあてられデフォルメされた姿になってしまったりとコミカルな演出が強くなる点にもあります。4コマ漫画を原作にもつ作品ならではの緩急はアニメでも楽しく描かれていたので、舞台ではどう表現されるのか楽しみにしていました。

(C) はまじあき／芳文社・アニプレックス
(C) LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく！」製作委員会

イメージを拡大

注目したいのはやはり、ぼっちちゃんの脳内にいるイマジナリーフレンズ「ぼっち～ず」たち。黒子のようなぼっちちゃんたちが舞台に登場するのですが、これは彼女にしか見えていません。ぼっちちゃんの妄想を叶えたり、心情を群舞で表現したり、さりげなく小道具を持ってきたりと大活躍でした。たとえばスターになる妄想をするときは、舞台に出てきたぼっち～ずたちがファンとして拍手をするなど、舞台らしい演出は作品の魅力ともぴったりハマり、客席から笑い声もおこっていました。また、バンドを組みたい、有名になりたいという願望はありつつも自分の殻に閉じこもっていたぼっちちゃんが、徐々に外に踏み出して行く様子もぼっち～ずをうまく使って表しています。友人を家に呼ぶと言うと家族にすら驚かれていた彼女ですが、自分の世界を広げていく様子は、劇中を通してぼっち～ずの人数が徐々に減っていくという演出でも表現されていて、視覚的にも成長を感じることができました。

演技もパフォーマンスも　まさに「結束バンド」そのもののキャストが揃う

(C) はまじあき／芳文社・アニプレックス
(C) LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく！」製作委員会

イメージを拡大

今作はLIVE STAGEというだけあり、当初から注目されていたのは生歌唱と生演奏で結束バンドのパフォーマンスが披露されるという点です。後藤ひとりを演じる守乃まもさんは、これが役者デビュー。視線や動き、そしてしゃべり方はまさにファンが思い描いていた後藤ひとりそのものです。初めてバンドとして音を出すときは合わせ方がわからず飛ばしてしまうぼっちちゃんが、最後はメンバーを引っ張るようなギターソロを見せてくれるのですが、過去にバンド経験もあるという守乃さんの説得力のあるパフォーマンスはさすがでした。
　それはバンドメンバーを見ても同様です。バンドを支えるドラムの伊地知虹夏を演じる大竹美希さん、クールビューティーで突飛な行動もキュートなベースの山田リョウを演じる小山内花凜さん、まぶしい笑顔を見せてくれるギターボーカルの喜多郁代を演じる大森未来衣さんと、結束バンドのメンバーみんなが演技だけでなくパフォーマンスでも「ぼっち・ざ・ろっく！」の世界を表現しています。映像演出や構成ではなく、アナログな力で物語の世界への没入感を体験させてくれる作品で、観劇後の満足度がとても高かったのが印象的です。

夢を諦めたくないと一歩を踏み出すぼっちちゃんの姿には、大人の私も勇気づけられました。このキャスト陣だからこそ実現できた熱量と音楽の持つ力は、原作ファンや舞台ファン、音楽ファンにもぜひ体験してもらいたい！　LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく！」は8月20日まで上演中で、千秋楽公演では配信が行われることも決定しています。

大好きなあの人に奥行きが♡この2.5次元がすごい

[筆者紹介]
西岡 舞子（ニシオカ マイコ） オーストラリアのGriffithUniversityでジャーナリズムと犯罪心理学を学び、卒業後は出版やエンタメに携わる。舞台も音楽も仕事のあとの一杯もやっぱり生が好き！ いい舞台は何度もみたいし、記念に公演グッズも買っちゃう派です。好きな動物は猫とペンギンで好きな大福はいちご大福。