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特集・コラム 2018年11月19日(月)19:00

【数土直志の「月刊アニメビジネス」】日本アニメ・マンガのハリウッド実写映画化旋風 「ヒロアカ」「進撃の巨人」も

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■「名探偵ピカチュウ」「アリータ:バトル・エンジェル」、2019年世界公開
 日本とアメリカ、国境を越えた映画のビッグプロジェクトが次々に明らかになっている。日本のマンガ・アニメ・ゲームを原作としたハリウッドの実写映画化だ。
 18年10月30日に講談社は、「進撃の巨人」のハリウッド映画化決定を発表した。製作・配給は大手映画会社のワーナー・ブラザース、監督に「IT/イット“それ”が見えたら、 終わり。」のアンディ・ムスキエティ、制作はハリー・ポッターシリーズのヘイデイ・フィルムズと大がかり。
 この発表のわずか1週間前には「僕のヒーローアカデミア」のハリウッド実写映画企画がアメリカの有力メディアで報じられている。正式発表はないが、製作に「パシフィック・リム」のレジェンダリー、集英社の参加、日本配給は東宝と企業名が言及されており、確度は高そうだ。

驚きは大きいが、いっぽうで「また来た!」との気持ちもある。ここ数年日本コンテンツのハリウッド実写化企画が相次いで浮上しているからだ。
 17年秋には「君の名は。」、今年7月には「機動戦士ガンダム」のハリウッド実写企画が発表されている。16年に発表された「NARUTO」の実写版も、企画の進行が伝えられている。
 すでに製作されたものもある。17年には「攻殻機動隊」の実写リメイク「ゴースト・イン・ザ・シェル」が公開された。19年2月には「銃夢」の実写版「アリータ:バトル・エンジェル」が20世紀フォックス配給で、5月には実写版「名探偵ピカチュウ」がワーナー・ブラザース配給で世界公開する。いまやハリウッドは、日本原作ブームだ。

■原作はメジャータイトル志向に変化
 なぜ日本の作品がハリウッドに注目されるのだろう。実はハリウッドの日本への関心は2000年代にもあった。往年の傑作アニメ「マッハGoGoGo」をウォシャウスキー姉妹が監督した「スピード・レーサー」(08)や「DRAGONBALL EVOLUTION」(09)を覚えている人も多いだろう。
 しかし企画の存在だけが報道され、やがて忘れ去られた作品が圧倒的に多い。そんな経験から今回も結局実現しない企画も多いのでないかと思いがちだ。しかし00年代と現在の大きな違いは、まさにこの点だ。いまある企画は、どうも実現の可能性が高い。
 「君の名は。」「進撃の巨人」「僕のヒーローアカデミア」、いずれも製作・配給会社が決定している。これはハリウッド映画で最大の難関である資金調達と配給をクリアする。「機動戦士ガンダム」のレジェンダリーなどパートナー企業の実績も高い。実現性がより高い、それが現在のブームの特長だ。

こうした変化の理由のひとつは日本アニメの人気拡大だ。インターネット配信の爆発的な普及が世界中で新たなファンを獲得し、それがさらに配信を活発にする。また原作マンガ・小説の知名度もあげる。これに大手映画会社が注目する。
 これまで日本コンテンツの実写企画では、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(14)、「銃夢」などマニアなタイトルも少なくなかった。作品は優れていても世界的な知名度は劣る。であれば、コンセプトのよい作品を選びたいとの面もあった。一方現在は「君の名は。」「進撃の巨人」「NARUTO」「僕のヒーローアカデミア」とメジャータイトルが並ぶ。日本のメジャーは世界のメジャーである。内容だけでなく、そのブランド価値も最大限に活かす。

■アジア市場も視野
 アジア映画市場の拡大も見逃せない。欧米で知名度がなくても、アジアで絶大な人気を誇る日本作品は多い。劇場興行収入で近い将来にアメリカを抜くとされる中国をはじめ、アジアの映画市場はいまやビッグマーケットだ。北米市場で必ずしも製作費を取り返せなくても、アジア市場を加えれば大きな成功も可能との思惑も働くはずだ。
 映画会社の経営陣の世代交代も理由にある。10年、20年前に多くの企画が浮上しながら結局実現しなかった理由のひとつが、最終的に決断をするエグゼクティブが日本コンテンツに懐疑的だったためとも言われる。彼らは自分たちの見知らぬ作品にビジネスの可能性があると信じられなかった。
 しかし世代交代が進んだいま、監督やプロデューサーどころか映画会社の取締役、経営陣にも日本アニメ世代が多い。なかには大ファンもいる。これが企画実現の推進力になる。
 長年噂がありながらなかなか実現しなかった「ゴースト・イン・ザ・シェル」や「アリータ:バトル・エンジェル」が、なぜいま映画化なのかもここから見えてくる。

■もうひとつの実写化、ドラマ企画も急増 「SAO」「ワンピース」「デスノート」
 近年のもうひとつの特長は、映画だけでなくドラマシリーズの企画の増加である。正式発表されただけで「ワンピース」「ソードアート・オンライン」「カウボーイビバップ」と、こちらもビッグタイトルが目白押しだ。
 テレビドラマの製作予算は、日本よりだいぶ高いがそれでも映画よりは少ない。まず短い本数で制作し、人気があれば続編と、よりフレキシブルに対応することもできる。
 そして配信プラッットフォームの急成長がある。NetflixやAmazonなどの配信会社は自社オリジナルドラマに力をいれて、これが世界的なドラマのニーズを拡大している。同時に新たなアイディアは不足気味だ。ここに日本コンテンツの入る余地がある。
 すでに続編製作が噂されているNetflixの「Death Note」といった成功もある。近い将来、日本原作の実写映画は劇場スクリーンだけでなく、配信でもどんどん登場するかもしれない。

■ハリウッド実写化企画のある主要な日本原作作品

企画中

進撃の巨人
諫山創のマンガが原作。アニメも世界的に大ヒット。

僕のヒーローアカデミア
堀越耕平のマンガが原作。ハリウッド実写化企画が広く報道された。

君の名は。
17年秋に東宝が実写化企画を発表。パラマウントが参画。

機動戦士ガンダム
18年7月にサンライズとレジェンダリーがロサンゼルスで発表。

NARUTO
16年12月に集英社が企画発表。原作者・岸本斉史も参加。

ワンピース
17年8月発表。海外ドラマとなる予定。

ソードアート・オンライン
16年8月に発表。KADOKAWAも協力しドラマを目指す。

カウボーイビバップ
当初は映画企画として浮上。現在は海外ドラマとして企画が進む。

すでに公開/公開予定

名探偵ピカチュウ
ポケモンの人気キャラがスピンオフしたゲーム原作。19年公開予定。

アリータ:バトル・エンジェル
木城ゆきとのSFマンガ原作。19年公開。企画浮上は15年前。

ゴースト・イン・ザ・シェル
士郎正宗のSFマンガ原作、スカーレット・ヨハンソン主演。17年公開。

Death Note/デスノート
17年にNetflixで長編映画化。続編の噂も。

オール・ユー・ニード・イズ・キル
桜坂洋のライトノベルをトム・クルーズ主演で映画化。14年公開。

DRAGONBALL EVOLUTION
09年に20世紀フォックスが世界公開。

スピード・レーサー
タツノコの「マッハGoGoGo」を実写化。ウォシャウスキー姉妹監督。08年公開。

数土 直志

数土直志の「月刊アニメビジネス」

[筆者紹介]
数土 直志(スド タダシ)
ジャーナリスト。メキシコ生まれ、横浜育ち。国内外のアニメーションに関する取材・報道・執筆、またアニメーションビジネスの調査・研究をする。2004年に情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立、16年7月に独立。代表的な仕事は「デジタルコンテンツ白書」アニメーションパート、「アニメ産業レポート」の執筆など。主著に「誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命」(星海社新書)。

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