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特集・コラム 2019年3月6日(水)19:00

【数土直志の「月刊アニメビジネス」】「ドラゴンクエスト」「ニノ国」ビッグタイトル激突、ゲーム原作劇場アニメの勝算は

(C)2019「DRAGONQUEST YOUR STORY」製作委員会
(C)1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights

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■夏の劇場アニメの目玉になった「ドラゴンクエスト」と「ニノ国」
 2019年も劇場アニメが賑やかだ。毎週のように新作が公開される風景は、もはやお馴染みである。それでもこの初夏からの話題作、有力作の多さには頭がクラクラする。
 4月26日に原恵一監督「バースデー・ワンダーランド」が公開、5月に今石洋之監督「プロメア」、6月7日にSTUDIO4℃制作で渡辺歩監督「海獣の子供」、6月21日に湯浅政明監督「きみと、波にのれたら」、秋には伊藤智彦監督「HELLO WORLD」と、実力派監督の作品が目白押しだ。
 しかし、こうした期待作が夏休みシーズンでなくその前後に配置されたことに、今年の夏のアニメ映画の過熱が現れている。夏休みのど真ん中には、大きな集客を期待するさらなる大作が並んでいるのだ。

夏の邦画アニメの目玉とされるのは、前作「君の名は。」が空前の大ヒットになった新海誠監督の新作「天気の子」、いまや国民的アニメとなった「ONE PIECE」の最新作「劇場版 ONE PIECE STAMPEDE」だ。
 さらに8月2日公開の「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」、夏公開の「ニノ国」である。両作品で共通するのは、原作がゲームソフトのビッグタイトルであることだ。

(C)2019 映画「二ノ国」製作委員会

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「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」は、原作の堀井雄二氏を監修に迎え、音楽はすぎやまこういち氏とゲームでお馴染みのスタッフが並ぶ。さらに総監督・脚本に「ALWAYS 三丁目の夕日」「STAND BY ME ドラえもん」の山崎貴と強力だ。
 一方「ニノ国」はレベルファイブのビッグタイトルとして、2010年にゲーム第1作がスタート。スタジオジブリの精鋭スタッフが制作に参加したのも話題を呼んだ。今回の百瀬義行監督はゲーム版でもアニメーション監督を務め、音楽の久石譲もゲームからの続投だ。
 「ドラゴンクエスト」も「ニノ国」も、タイトルの大きさを考えればアニメ化に驚きはない。むしろいままで劇場アニメ化されなかったことが驚きだ。

■有名ゲームはビッグ過ぎてアニメ化が難しい
 ではなぜこれまでアニメ化されず、そしていまなのだろうか。その理由は大き過ぎるタイトルだったせいではないだろうか。
 大きなタイトルになればなるほど、アニメ化の時に大きな枠組みが期待される。劇場公開には沢山のスクリーン数、テレビアニメならゴールデンタイムの放映。当然その規模のプロジェクトに相応しい、興行収入や売上が必要になる。
 しかし振り返ってみると、ゲーム原作の単体の劇場アニメは必ずしもヒットが多くない。「ポケットモンスター」や「妖怪ウォッチ」「イナズマイレブン」などテレビシリーズが先行し、そのヒットを受けてのものがほとんどだ。いくら有名なタイトルでもゲーム原作はリスクが大きく、ビジネス関係者も慎重になる。タイトルが大き過ぎるがゆえにアニメ化が実現しない。

状況が変わったのは、2015年頃だ。まず「STAND BY ME ドラえもん」(15)、「君の名は。」(16)、「この世界の片隅に」(16)と、毎年定番のシリーズ以外から、アニメ映画のビッグヒットが誕生した。その牽引力はアニメファン以外の一般層への浸透だ。アニメファン以外にもアピールする作品を考えた時に、一般層に認知度の高いゲームのビッグタイトルの選択は合理的だ。
 一見正しい判断だが、ただ他でも同じことを考えるのは予想外。それが2019年夏の「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」と「ニノ国」の激突になった。

■劇場版ポケモンの大胆な路線変更

(C) Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C) Pokemon (C) 2019 ピカチュウプロジェクト

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実はさらにここに1本、2作品の強力なライバルになる劇場アニメがある。7月12日公開の「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」である。ポケモン映画は、1998年より毎年公開されているので、まさに定番中の定番。「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」や「ニノ国」と別のジャンルにみえる。
 しかし劇場版「ポケモン」シリーズは、この数年で進化を遂げている。長年、劇場版はテレビシリーズを見ている子どもたちのためのスペシャル版としていた。ところが2017年から大胆に方向転換した。テレビシリーズと切り離し、大人も含めた幅広い観客の取り込む内容に変わってきた。これは2011年以降、観客動員数が右肩下がりだったことへの対策もあるだろう。
 2019年は1998年の「ミュウツーの逆襲」をリメイクし、タイトルから“ポケットモンスター”も外す。シリーズ初の3DCGとしており、こちらも3DCG映像で大人層を掴んだ「STAND BY ME ドラえもん」の成功が念頭にあるだろう。

さらに大型ゲームタイトル採用には、海外マーケットを狙えるとの思惑もあるかもしれない。近年のアニメ製作は、当初より海外を意識する傾向が強くなっている。大型ゲームタイトルは海外でもよく知られているから、アニメも受け入れやすい。
 実際に日本の有名ゲームタイトルの取りこみは、むしろ海外の映画業界で活発だ。今年5月には実写映画「名探偵ピカチュウ」が公開、日本のマーザ・アニメーションプラネットも制作参加する「ソニック・ザ・ムービー」が2019年秋に米国公開、その後も「モンスターハンター」、イルミネーション制作の「スーパーマリオ」の映画化企画と続く。

ゲームのアニメ化といえば、昨今はスマホアプリゲームとの連動を狙ったタイトルが注目されてきた。しかし広い一般層、そして世界を狙える点で、ゲーム原作アニメ映画の本命は世代を超えて愛される長寿タイトルなのかもしれない。
 この夏の大作「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」「ニノ国」「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」がどんな結果をだすか。これが今後のゲーム原作アニメの行方も左右するかもしれない。

数土 直志

数土直志の「月刊アニメビジネス」

[筆者紹介]
数土 直志(スド タダシ)
ジャーナリスト。メキシコ生まれ、横浜育ち。国内外のアニメーションに関する取材・報道・執筆、またアニメーションビジネスの調査・研究をする。2004年に情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立、16年7月に独立。代表的な仕事は「デジタルコンテンツ白書」アニメーションパート、「アニメ産業レポート」の執筆など。主著に「誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命」(星海社新書)。

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