2015年1月30日(金)16:15
新作エピソードはTVアニメ2話分!「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐ DC」構成・脚本上江洲誠インタビュー (2)
――お話にもありましたが、新キャラクターとしてヒエイをはじめとした“霧の生徒会”が登場することは、本作の大きなトピックですね。どうして生徒会を登場させることにしたんでしょうか?
上江洲:僕らがテレビシリーズを作っている間に、連載中の原作コミックのほうで、どんどんおもしろいメンタルモデルが増えていったんです。「パート2」を作るにあたり、お客さんが望んでいるのは何かということを考えたときに、一つの大きなポイントは「もっとメンタルモデルを見たいのではないか」という結論に至りました。そこで、楽しく人気のあるメンタルモデルをどんどん登場させるためのシチュエーションを考えたんです。生徒会という集団を使えば、一斉に多数のメンタルモデルを登場させられるということが、このアイディアの最初の着眼点でしたね。
――もしかすると、生徒会以外の新しいメンタルモデルも登場するんですか?
上江洲:おっと、詳しいことは言えませんよ(苦笑)。ただ視聴者のみなさんが「まさか!?」と思うような展開にはしてあります。
――では「DC」の制作を振り返ってみて、いかがでしたか?
上江洲:本当は2作目の「完全新作劇場版」のためにエネルギーを残しておきたかったんですが、「DC」の新作エピソードだけで相当のカロリーを使ってしまいました。「ここでいったん終わって、続きは2~3年後に公開するのでいいんじゃないかな」というくらい、大変な内容にしてしまいました(笑)。
TVシリーズ2話分を使っての「新たな敵、登場!!」なので、それはもう、べらぼうに盛り上がりますよ!
――では、テレビシリーズの再構成パートについても質問させていただきます。テレビシリーズからの変更点はありますか?
上江洲:全12話をわずか60分にまとめなければならないので、何もかもをそのまま残すわけにはいきません。そこで今回はメンタルモデルの物語――「傷ついたコンゴウをケアするイオナの物語」――であることが伝わるよう編集しました。
――上江洲さんはアフレコにも参加されたんですよね。なにかおもしろいエピソードはありましたか?
上江洲:興津和幸さん演じる群像くんが熱血漢になっていたので、演技を抑えてもらいました。テレビシリーズの時も最初は熱かったんですが、控えめにしてもらっていたんです。興津さんは続編が製作決定したときに、一番喜んでくれた人のひとりなので、気合が入りすぎてしまったのかもしれませんね(笑)。イオナは……いつもどおりかわいらしかったです。
――本作の見どころを教えていただけますか?
上江洲:手前味噌ではありますが「DC」はおもしろいです! テレビシリーズでインタビューしていただいたときには、続編の構想についてお話しましたが、心の奥底では「とはいえ、そうそう続編が決定するものではなかろう」とも思っていました。イ401のアルス・ノヴァモード化や暴走コンゴウなど、出し惜しみをせずにテレビシリーズを描き切ったので、続編制作が決まった当初は「(メカ戦がインフレ化していて)作れないんじゃないか」という心配もあったくらいです。でも、敵を生徒会に定め、アメリカに届けた振動弾頭が量産され、戦いの規模が拡大していく状況を描くことで、テレビシリーズから無理なく続編としてつなげられました。そこがシナリオ上の見どころですね。
――テレビシリーズのインタビューでお聞かせいただいた続編の構想は、今回の「パート2」に活かされているのでしょうか?
上江洲:そうですね。その段階で、もし続編をやるなら「振動弾頭が量産され、人類と霧の艦隊が決定的な戦争状態に陥ってしまう」という展開を描くことになるだろうとは思っていました。ただ、当時は原作もここまでキャラクターが増えていなかったので、生徒会ではない別の戦艦を登場させようと考えていましたね。
テレビシリーズの製作から「DC」の脚本執筆までの間に、原作のストーリーがかなり進んでいる、ということについては意識しています。原作で新たに登場したメンタルモデルすべてを登場させることはできませんので、誰を選ぶかは悩みどころでしたが、人気などを精査の上で生徒会を出すことにしました。
また、原作では今コンゴウがパワーアップして大変なことになっていますが、我々としても、更なるアイディアを捻り出さなければなりません。原作「蒼き鋼のアルペジオ」はビジュアル的なクオリティがとても高い作品なので、それを3DCGでアニメ化する我々としては、原作者のArk Performanceさんも驚くような作品に仕上げなければいけない。とても高いハードルでしたが、「DC」ではそれが実現できていると思います。絵が動くという喜びが、たっぷり盛り込まれています。ここも注目ポイントです。
――なるほど。では、その映像面での見どころは?
上江洲:テレビシリーズは視聴者のみなさんから高い評価をいただきましたが、一方で「もっと艦隊戦が見たかった」という声がとても大きかったんです。ですから今回は、艦船同士の戦いをお腹いっぱい堪能できるようにしました。ボディアクションは適度にして、艦としての砲撃戦・メカアクションをたっぷり盛り込んでいます。
――メカアクションですか! そういえばテレビシリーズでは、本作仕様の艦船模型が多数発売されたのが印象的な展開でしたね。
上江洲:そうそこ!テレビシリーズに携わったことで何が一番嬉しかったかというと、プラモデルがわんさか発売されて、立体物に関係する方々が大喜びされているということなんです。メカものを作った身としては、こんなに嬉しいことはありませんね。
先日テングモデラーズさんの第3回作品展「船モケイ」で、暴走コンゴウの模型が展示されたんです。マヤと融合する瞬間を見事に立体化した作品で、まさに圧巻でしたね。こうして我々の手を離れ、モデラーさんによって「アルペジオ」の世界が立体物で再現されることは望外の喜びです。ただ、そのことに関しては、前日にツイッターで知ったため、何の応援もできなかったのが心残りですね。今後「アルペジオ」関連の立体物を作った方は、公式ツイッターにご連絡いただければ取材にうかがいます! 僕もぜひ実物を見てみたいので!!
――では「DC」に登場する艦船の中で、立体化してもらいたいのは?
上江洲:もちろんヒエイですね。「よもやそんな!」というアクション&ギミックを盛り込んであるので、立体にすると迫力があると思いますよ。血沸き肉踊る艦隊戦を描くために、映像表現にとても苦労したところなので、立体化してもらうとテンションが上がりますね!!
――話は変わりますが、本作の「DC」とはどのような意味が込められているのでしょうか?
上江洲:たくさんの意味がありますので、解釈は視聴されたみなさんにお任せします。というより、すでにみなさんが予想されているものが概ね当たりなんです。それらすべてを内包している、という意味合いで「DC」としました。個人的には「ドリームキャスト」がイチオシです(笑)。
当初は仮題として「alarmglocken(アラームグロッケン)」――ドイツ語で“警告”――と銘打っていたんですよ。ですから、本作のシナリオ上のテーマは、より激化していく戦いに対する“警告”なんです。でも「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐ アラームグロッケン」は、タイトルとしては長過ぎるので「DC」に変更しました。「アルス・ノヴァ」を排するという案も出たんですが、それは違うだろうと。原作と展開を異にする「蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐」の続きであることを打ち出さなければ、原作者のArk Performanceさんに対しても失礼になってしまいますからね。
――年内公開予定の完全新作劇場版の制作作業はいかがですか?
上江洲:「DC」がとても盛り上がるので、劇場に足を運んでくださったお客さんは、当然それを上回るものを期待しますよね。お話はもちろん、画的にももっともっとパワーアップさせなければ! 「DC」でも驚きの戦闘ギミックを盛り込んでいますが、続編ではさらにその上をいかなくてはいけません。とても高いハードルですが、それを超えるべく鋭意制作中です!!
――最後に、ファンのみなさまへ一言メッセージを。
上江洲:大変密度のある作品になりました。まずはメンタルモデルたちの可愛らしさと戦艦の格好良さを堪能していただいて、それでその後きっとまた観たくなりますから、劇場に何度も来ていただいて、お友達と考察に花を咲かせてもらえれば嬉しいです。
次の完全新作映画も頑張ります!
――本日はありがとうございました!!
作品情報
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21世紀中盤、温暖化に伴う海面上昇により、人類は地上での版図を大きく失った。
その混乱に呼応するかのように世界各地に現れた【霧の艦隊】にすべての海域を封鎖され、人類は疲弊の一途を辿っていた 。...
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