2015年8月7日(金)20:00
攻殻機動隊25周年リレーインタビュー Production I.G 石川光久 前編「攻殻機動隊」の先見性と器の大きさ (2)
「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のヒットを受けて制作された劇場第2作「イノセンス」(2004年公開)。本作は「執念の映画」だったと石川は語る。
「押井さんが思い描いた美しい映像を作るべく、貪欲かつストイックに作った作品でした。押井さんの凄いところは、目指すべきゴールがみえていることで、常に最短距離でいこうという作り方をしているんです。アニメーションをデジタルで作る時代がくるから、どのスタジオよりも早くコンピューターを入れた方がいいよと言ったのも押井さんでした。そうしたスタジオの環境整備や制作ビジョンが理にかなっていたんだと思います。お客さんに対して、もうちょっと分かりやすい作り方はなかったかなとか、あとから考えればというところもありますが、当時の決意や執念みたいなものはフィルムに焼きついていて、そこはぶれずに作れてよかったんじゃないかと思います」
2002年放送のテレビシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(以下『S.A.C.』)」は、「イノセンス」の後に決まった企画だった。「攻殻機動隊」をテレビアニメという未知の領域で展開することはI.Gにとって大きな挑戦だったという。
「『S.A.C.』は、よくやりましたよね。当時、映画とテレビとゲーム、全てを巻き込んで『攻殻機動隊』のプロジェクトを組んだんですよ。出版社の許諾を得て、権利を一度I.Gに集約させてもらって、それぞれの委員会を作りました。下請けから元請けのアニメスタジオになってまだ10年ぐらいのところで、一気にそこまでいきましたからね。見切り発車だった部分も多かったですし、これで企画が決まらなかったら会社の存続は難しいというところまで追い込んでいったんじゃないですかね。当時の会社の運命は『攻殻』とともにあって、もう後戻りはできないというころまでいった。こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんが、大きな博打のようなものだったんじゃないかと思います」
「S.A.C.」は、神山健治監督を中心にした脚本チームで練り上げられた情報量の多い物語が特徴のひとつ。まるで海外ドラマのような、濃密なドラマを堪能することができる。
「通常、漫画をアニメーションにするときは、漫画の物語に沿って制作していきますが、『攻殻機動隊』ではパラレルな作り方ができたのが大きいですよね。士郎正宗さんの作った設定の骨格がしっかりしていて、ひとつひとつの要素が調べつくされているんですよ。だから、基本的な設定さえ崩さなければ、そこに新しい話をどんどん入れることができる器の大きさがあった。また、それを士郎さんが許していただいたおかげで、『S.A.C.』のような思いきった作品を作ることができたんだと思います」
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