2015年10月24日(土)14:39
富野由悠季監督、“ミノフスキー粒子”の発明を自画自賛「改めて秀逸なアイデア」
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「機動戦士ガンダム35周年プロジェクト」として制作されたテレビアニメ「ガンダム Gのレコンギスタ」が10月23日、開催中の第28回東京国際映画祭の特集企画として上映された。東京・新宿ピカデリーではトークショーが行われ、「∀ガンダム」以来、約15年ぶりにシリーズの制作に携わった富野由悠季監督、メディアアーティストとしても活躍する落合陽一氏がアニメーション論やコンピューター工学、エネルギー問題など多岐にわたる議論を展開した。
CG全盛期を迎えているアニメーション業界だが、今作は手描き作画を主体に構成されている。富野監督はその理由を「偉そうな言い方をすると、20世紀が作り上げた文化があるから、遺産になるような作品を『Gレコ』でやってやる、なぜ悪いという“いきがり”があります」と説明。続けて、「『手描きアニメの方がレアに見える』という言い方で理解されているとすれば、この文化はいちジャンルとして残していきたい」と矜持をのぞかせた。
物語の舞台は「機動戦士ガンダム」で描かれた「宇宙世紀」の延長線上で、無線を無力化する「ミノフスキー粒子」などの設定が引き継がれている。富野監督は「ドラマを作るうえでは、取っ組み合いが出来なければいけない。宇宙で遠隔兵器を使わず、取っ組み合いをするために“無線を遮断”というのを思いついた」としたうえで、「いまだに取っ組み合いの劇ができて、愛し合うためには手が届くところで抱き合わなくてはいけない、という愛憎劇ができる。その原則を絶対に揺るがさないという意味では、改めて秀逸なアイデアだと感動した」と自画自賛した。
さらに、「宇宙開発も含めて、地球上の資源が消費される問題はどうなるかというのを、次の世代の人たちに本気で考えてほしいと思ったから、『Gレコ』の世界を作った」と思いを明かす。劇中に登場する軌道エレベーターなどの構造物は、「あれだけの規模のものを人工的に動かすことは、今でいうクリーンエネルギーでまかなえるかというと、絶対にできない」と断言し、「今の10代の人たちが、これを突破する方法論を見つけてくれるんじゃないか。宇宙工学を含めて、我々がもっと研究する必要があるということを画にするために『Gレコ』を作ったということは、今日初めて話しました。ロボットものとして見ていた人はびっくりすると思いますが、この話は分かってほしい」と力強く呼びかけた。
これを受け、落合氏も「14歳の時に『Zガンダム』を見て、『どうやって人類を革新するかに燃えよう』と血気盛んになりました」と自身の少年期を振り返り、「クリーンエネルギーをやろうだとか、『Gレコ』というアニメを通じて強いメッセージを受け取るというのはものすごく重要なこと」と呼応する。そして富野監督は、「大人にわかってもらう話を作っている暇はなくて、10~15歳の子どもたちへの種まきができるように、『Gレコ』を作りました」と話し、劇場の10代の観客たちに「頑張ってね!」とエールを送った。
第28回東京国際映画祭は、10月31日まで開催。
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