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インタビュー 2016年8月11日(木)20:00

日常と非日常の狭間のリアリティがストーリーの軸に TVアニメ「正解するカド」村田和也総監督&野口光一プロデューサーインタビュー後編 (2)

(C) TOEI ANIMATION/KINOSHITA GROUP/TOEI

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――序盤の脚本を拝見しましたが、「カド」は1辺が2キロメートルの立方体なんだとか。この超巨大なスケールにはなにか意味が?

村田:「1辺2キロメートルの立方体」というのは、野﨑さんからのご提案です。こんな巨大な建造物は、世界に存在していないので、大きさ自体がまず見たこともない存在であること表しています。CGを利用して、(第1話の舞台となる)羽田空港に1辺2キロの立方体を置いて、その見え方を検討したりもしています。それにより、東京都内はおろか、関東一円から「カド」の姿を確認できる、ということがわかりました。もっと大きくもしてみたんですが、これ以上の大きさになると、巨大すぎてカキワリのように感じられてしまう。また、カメラを寄せた時に画面に収まりにくく、ただの壁でしかなくなってしまうので、やはり1辺2キロメートルが適切だという結論に落ち着きました。

――ところで、今作に注目しているファンのみなさんとしては「正解するカド」という作品の全容について、いまだはかりかねている部分があると思います。いったいどんな作品になるのでしょうか?

(C) TOEI ANIMATION/KINOSHITA GROUP/TOEI

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野口:ですよね(苦笑)。これまでティザートレーラーのほかは、ザシュニナと「カド」の3Dフラクタルのメイキングしか公開してきませんでしたから……。僕としては「絶対におもしろい作品になる」ことは確信していますが、じゃあ、ひとことでどんな作品なのかと聞かれると、とても答えにくいですね。村田さん的には、どうですか?

村田:作り手として、この作品で一番重視しているのは「日常感」です。現代の日本を舞台に、人々がそれぞれに暮らしを営んでいて……。そんな中、突如として「カド」という異物が出現したことによって、人々に驚きや動揺が生まれ、非日常的な対応を強いられることになっていきます。そんな人々の日常の変化を、視聴者のみなさんが当事者の一人となって、ありありと感じていただけるのではないかと思っています。

そういう意味では、怪獣ものに通じる部分があり、また天変地異をテーマとした作品にも似たところがあります。手出しをしなければ危害を加えてくることはないのか、意思確認も理解も難しい極めて異質な「高次元の存在」に対して、人類は「交渉」を通じて、その真意を探りだしていく。またその時人類はどう反応するのだろうかというところも、興味深くご覧いただけるのではないかと思います。

そのためには、日常の中で日々を送っている人の「普通」の感覚をしっかり描くことが必要なんです。3Dフラクタルによって、「カド」を不可思議で奇妙な存在として表現できることはわかりました。でも、それを取り巻く人々の側が作り物のように見えてしまっては、その異質さを際立たせることができませんからね。

野口:そうした日常と非日常の狭間のリアリティを追求するために、政府関係者へのリサーチも行っています。

村田:前代未聞の事態が発生した時に、政府のどの組織が管轄するかは、あらかじめ定められているわけではなく、事態を「どう解釈するか」という議論から始めるようです。ですから、害意が明確でなければ「高次元の存在」に対して自衛隊は出動することができず、まずは警察が動くなど、現実に即したシミュレーションも盛り込まれています。

とはいえ、あくまでもザシュニナと人類の「交渉」がストーリーの主軸なので、政府内部の生々しいお話は割愛していますが、スピンオフはいくらでも作れるでしょうね(笑)

――なるほど。なんとなくですが、作品の姿が見えはじめてきたように思います。それでは最後に、放送を楽しみにしているファンのみなさんへメッセージを。

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村田:「正解するカド」は、未知のおもしろさを持った作品だと思います。アニメーションとして今までに作られたことのないタイプの作品なので、作り手としても、果たしてどんなものが生まれるのか、想像がつきかねているくらいです。それでも、おもしろくなるという手応えは確実につかんでいますので、どうぞ楽しみにしていてください!

野口:野﨑さんのシナリオはとてもおもしろいものが仕上がってきたので、あとはそれをどう着地させるかが、我々の腕の見せどころですね。今作を通じて、アニメーションの新しいスタイルが生まれるのではないかと思っていますので、みなさんもご期待ください!

――本日はありがとうございました。

作品情報

正解するカド

正解するカド 34

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