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インタビュー 2021年4月9日(金)19:00

日笠陽子×小西克幸×林原めぐみ「SHAMAN KING」が今よみがえる意味

(C)武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.・テレビ東京

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武井宏之氏による人気漫画「SHAMAN KING」は、神や霊と交流できる麻倉葉が、星の王シャーマンキングを目指して仲間たちとシャーマンファイトに挑む物語。連載当時の2001~02年に一度アニメ化された同作が待望の再アニメ化をはたし、今回のテレビシリーズではKC完結版を原作として最後まで描かれる。
 麻倉葉役の日笠陽子、阿弥陀丸役の小西克幸、恐山アンナ役の林原めぐみの言葉には作品への強い思いがにじみ、3人のやりとりにはそれぞれが演じるキャラクター同士の会話のように見える瞬間もあった。愛のあるツッコミや笑いを交えながら、「SHAMAN KING」に関するさまざまな話をしてもらった。(取材・構成:五所光太郎/アニメハック編集部)

――日笠さんが葉役に決まった経緯を聞かせてください。オーディションを受けられたのでしょうか。

日笠:はい。まずテープオーディション用の音声を事務所でマネージャーと録って提出し、そのあとスタジオオーディションで実際にスタッフの皆さんに見ていただくという2段階でした。最初のテープオーディションのときに資料を拝見して初めて「SHAMAN KING」だと知り、「やるんだ……!」と驚きました。それでスタジオオーディションでは……先輩方の前でこういった話をするのは緊張しますね。

小西:「SHAMAN KING」のことは、もともと知っていたの?

日笠:前のアニメを見ていた世代です。

小西:(当時の自分の演技を見られたことに)はー、恥ずかしい(笑)。

日笠:それでスタジオオーディションでテストをやった直後に、音響監督の三間(雅文)さんから、今小西さんが言われたように「(前のアニメシリーズを見ていた)世代?」と聞かれたんです。そのとき緊張していたためか何を言っているのか聞きとれなくて、「え? 何? 何ですか?」と5回ぐらい聞き返してしまいまして。

一同:(笑)

林原:それで決まったんじゃない?

日笠:ミキサーさんが苦笑いして、「『見ていましたか』って聞いています」とフォローしてくださり、慌てて「あ、見てました、見てました!」と答えるという、そんなやりとりがあったのを覚えています。

(C)武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.・テレビ東京

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――オーディションでは、どんなセリフを演じられたのでしょうか。

日笠:「憑依合体!」など1話のセリフが多くて、ファウストⅧ世と戦うエピソードにでてくる「今すぐそこまで行ってやるからな。まん太!」と呼びかけるセリフもありました。私の地の口調は早口で元気なほうなので、葉君とは真逆の存在かなという自覚があり、オーディションのとき意図的にゆっくりしゃべるようにしたんです。そうしたら三間さんから、「ゆっくりしゃべることに罪悪感を抱いてる?」と言われたことがすごく印象的でした。
 そのときは、罪悪感はないですが、でも自分は早口なのでということを素直にお話して、それがどう作用したかは分からないのですが、「ありのままでいいからやって」と言われました。
 オーディションのときは100パーセントに近い確率で受かることはないだろうと思いこんでいたこともあって、とにかく楽しく受けられたらいいなという気分でした。なので、合格の知らせをいただいたときは、本当に驚きました。

小西:楽しくやったのがよかったんじゃないですか。オーディションでもなんでも、とにかく楽しくやれたほうがいいですよね。

林原:また~小西は、すぐ、テキトーに良さそうなこと言って~。

一同:(笑)

小西:今日は僕もすごく緊張しているんです。林原さんと一緒にインタビューを受けるのはこれが初めてで、イベントのステージでも1、2回ご一緒したぐらいですので。

林原:小西君とは別のシリーズでも昔からの長い付き合いで、愛をこめて、大嫌いな人なんです(笑)。某番組で、私が演じるキャラクターを襲ったり、ほんとーに気持ち悪くやってくれるので。嫌われポケモン……あ、言っちゃった。でしたから。

小西:僕は、そのシリーズだと林原さんが演じるキャラクターを驚かせたり、嫌な気分にさせたりする役ばかりやっていたんですよ(笑)。なので、現場でお会いすることはいっぱいあったんですけど、こうしてインタビューでご一緒する機会は意外となくて。

林原:小西君は何ひとつ悪くなくて、上手にやっている証拠なんですけど、ほんとーに気持ち悪いんです(笑)。

小西:いやもうほんとに先輩たちと目があうと、いつでも新人の気持ちに戻れるというか。ほんとにありがたいです。

林原:分かる、分かる。

(C)武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.・テレビ東京

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――小西さんと林原さんは前のアニメシリーズから同じ役での続投になります。今回新たにアニメ化されて同じ役を演じることになると聞いて、どう思われましたか。

小西:また阿弥陀丸を演じられると知って、本当にうれしかったですね。前のアニメシリーズのとき僕は阿弥陀丸役でオーディションをうけて、実は一回落ちているんですよ。僕視点の話で実際のところはよく分かりませんが、一回落ちて、でも上手くはまる人が誰もいなかったらしくて「じゃあどうする」となったとき、「小西君がいいんじゃない?」と当時の監督が言ってくださったおかげで、阿弥陀丸を演じることになったとうかがいました。
 そこから20年という時がたって再びアニメ化され、また阿弥陀丸役をやらせていただけるということで、うれしくて自然と収録にも力が入ります。今は現場にいってアフレコするのがとにかく楽しくて、ときどき「力入りすぎかな」と思いながらも、めちゃくちゃ好き勝手にやらせてもらっています。

(C)武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.・テレビ東京

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――林原さんはいかがだったでしょうか。いろいろなところで「SHAMAN KING」と恐山アンナに思い入れがあることをお話されていますが。

林原:原作漫画の最終話が描き直されるなど、以前から復活につながる動きがありましたから、「ついにか」という気持ちがありました。約10年前、「恐山ル・ヴォワール」を歌ったこともそのひとつです。武井先生が漫画のなかで書いた詩に当時はファンのおひとりだった、かぴたろうさんが曲をつけた歌を先生が気に入って私に歌ってほしいと依頼してくださって、「恐山アンナが歌ってみた」みたいに名前をふせてニコニコ動画にあげたら、歌っているのは誰なんだとファンの間で大騒ぎになったことがありまして。なかには「高音の伸びがいまいち。本人じゃないだろう」みたいな発言があって、本人だよ! って。

一同:(笑)

林原:「歌唱力はいまいちだけど、表現力はなかなか」みたいな(笑)コメントがざーっと流れて、そのときあらためて、みんなどれだけ「SHAMAN KING」が好きなんだろうと思ったんです。で、そのまま黙っておくのもなと、とにかく私本人が「SHAMAN KING」のことだけ考えて歌ったよということを一応カミングアウトしたのも随分と前の話です。それだけ彼ら彼女らに大きな影響力をあたえた作品で、それは思い出にしてしまうには力が強すぎると感じていたというか。思い出にするには、ちょっとメモリーという箱のなかにはおさまりきれないほどのエネルギーが作品にある気がして、何かのきっかけさえあれば爆発的な勢いでかえってくる気はしていました。
 わたくしごとですが、メインキャストとして関わった作品が続々周年を迎えて、記念プロジェクトがはじまったり、お祭りがあったり、新曲を作ることもあったりと、1980年代、90年代にやっていた作品が息を吹き返してきている予兆のようなものを感じていました。そしてついに! 「SHAMAN KING」、君もでしたかと。そんな気持ちで、再アニメ化されることは本当にありがたい話だと思います。

(C)武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.・テレビ東京

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――日笠さんはキャスト発表時のコメントで、葉役に多大なプレッシャーを感じられていることを述べながら「頑張らないように頑張りながら」「私にしかできない葉を演じたい」とおっしゃられていました。どんな気持ちで、アフレコに臨まれたのでしょうか。

日笠:そうですね……。「頑張らないように頑張りながら」とは書いたものの、たぶんものすごく頑張っていたと思います。第1廻の収録のときも、平常心でいようとか、葉の心でいなければと思いながらも、たぶんどこかに緊張があって、なんとかそれを「今はでてくるな、でてくるな」と押さえつけるような気持ちでした。
 三間さんはディレクションが熱い方で、とにかく序盤の収録はその熱さに付いていくことに必死でした。今思うと最初のころは、「周りの人に葉として認めてもらわなければ」という邪念のようなものがあった気がして、もしかしたら葉になりきれていない部分があったかもしれません。そこから少しずつやっていくなかで、葉を演じていて楽しくなってきた感覚もあったのですが、再び、葉が逃げてしまったような瞬間があって、またすごく悩むというループに陥ってしまって。林原さんに相談させていただく機会があって、助言をいただきました。そこからまた葉が隣に戻ってきてくれて、自分からも寄りそっていけるようになったなと感じています。

――林原さんは、日笠さんにどんな話をされたのでしょうか。

林原:三間さんが言った「世代」というのは、この作品のことを説明しないですむメリットもありますけど、日笠ちゃんのなかで葉君は、どこか見てきたぶん、かっこいい、すごい子だと思っているのかなって――(日笠さんに)そういう話をしたよね。

日笠:はい。

林原:葉の言動はいちいちゆるいけど、ただゆるいだけじゃなく、表にでてこないだけで、例えば(道)蓮に大きな刃をつきつけられて動じていないように見えても、きっと怖いと思っているはずなんです。日笠ちゃんが、この仕事にとりくむのは私でいいのだろうかと怖く思う気持ちと、葉がシャーマンキングになれるだろうかと内心不安で怖く思っている気持ちはつながっている気がして、「ちゃんと怖がっていいんじゃないの」というようなことを日笠ちゃんに話したと思います。
 少年漫画の主人公は勝ち進んでいくもので、結果、絶対的なヒーローになってしまうけれど、それは外側から見た部分にすぎなくて、内面は必ずしもそうではないんじゃないかと思うんです。それこそ、日笠ちゃんにしても小西君にしても林原にしても、ファンの人から見たらすごいと思ってくれているかもしれないけど、全然すごくないですから(笑)。かっこいいとか素敵とか「~みたいになりたい」とかたまに言ってくださる方はいるし、そうした方たちを裏切らないようにしたいとは思っていますが、自分としてはそんなすごくないよねとか、雑談と一緒にそんな話をしたと思います。

作品情報

SHAMAN KING

SHAMAN KING 32

『SHAMAN KING』。それは、森羅万象を司る星の王。神や霊と交流できる「シャーマン」と呼ばれる者達が、500年に一度「シャーマンファイト」でその座を争う。そんなシャーマンの一人である少年・...

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