2023年3月22日(水)22:00
新潟国際アニメーション映画祭コンペ出品作「ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン」「ユニコーン・ウォーズ」「オパール」会見
(左から)アラン・ビダール監督、牧原亮太郎監督、イバン・ミニャンブレスプロデューサー
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「第1回新潟国際アニメーション映画祭」で、コンペティション部門に選出された3作品のサロン会見が3月22日あり、「劇場版『ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン』」の牧原亮太郎監督、「オパール」のアラン・ビダール監督、「ユニコーン・ウォーズ」プロデューサーのイバン・ミニャンブレス氏が出席した。
押井守監督が審査委員長を務めるコンペティション部門で唯一の日本作品である「劇場版『ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン』」は、昨年からNetflixで全世界配信されているアニメシリーズの劇場版。1人の少女とヴァンパイアの女王が出会い、それぞれの街から逃げ出してふたりで旅をする物語。
アニメーターからキャリアを始めた牧原監督が、アニメーターという職業に就く際に反対された実体験からの思いが込められているそうで、「他人の目を通して生きる人生はしんどいことだが、アニメーターとして生きることは幸せだと思っている。自分だけではなく作っている人間も肯定したい、それが小さな出発点だった」と本作のコンセプトを語る。
シリーズ版が既に配信され、高評価を得ていることに「届いている人に届いているようでうれしい」。改めて劇場版を制作した意図を「再編集してまた違う面白さがある形で出したかった。音響も5.1chとこだわったので、是非映画館で見てほしいですし、映画館で見た人の反応が気になります」と言い、「キャラクターデザインは西尾鉄也さん。できるだけ線を減らした絵で表現したかった。アクションではなく微妙なしぐさで困難や葛藤を描きたかった」と語った。
「オパール」
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「オパール」は、夏が永遠に続き、動物も住人も不老不死の魔法の王国のオパールという名の若い王女が主人公。彼女が幸せなら王国は繁栄し、彼女が悲しむと王国は滅びるという伝説をベースにしたダークな物語を美しい映像で描き出す。
ビダール監督は、フランスの海外県のひとつであるカリブ海の島マルチニーク出身。「400年前に奴隷としてきて連れてこられたアフリカの人の文化、それ以前から住んでいたカリブ人たちの文化、そしてフランスの影響もあります」と島の文化を紹介し、「この映画の世界はアフロアメリカンの文化とSF、そしてカリブの伝統だけではなく、アフリカの伝統も融合したものです。カリブやアフリカの神話や昔話の要素を生かして、タブーを子どもでも分かる形で描きました。映画の中での言語はカリブで話されるクレオール語、それは書き言葉ではなく話し言葉で、アフリカから連れてこられた奴隷の言葉です。近親相姦の犠牲者がどのようにつらいのかを伝えることに力を入れました。トラウマとはなにか、それがアニメーションで理解できるようにです」と作品の世界観とテーマを紹介した。
「ユニコーン・ウォーズ」
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スペイン、フランス合作の「ユニコーン・ウォーズ」は、クマの兄弟がユニコーンの群れと戦う物語。昨年スペインで公開され、ゴヤ賞アニメーション賞を受賞している。ミニャンブレス氏は、「この映画ではどのように戦争の始まるかがわかるように描き、そして戦争をなくすためにはどうすればよいかを考えました。アニメの言語を用いると、ユニコーンの世界と考え方、熊の考え方や行動という異なる世界を描くことができます。また女性の地位について、また環境問題にも力を入れました」と説明する。
美しい森の中でかわいらしいキャラクターたちが残忍な行動を起こす本作には、観客から賛否両論あったそうだが「実写でも、アニメでも映画は賛否が分かれるのは当たり前。それがどんな評価でも自分は満足しています」と自信を見せる。
本作を鑑賞した牧原監督は、キャラクター設定に共感し、「私たちの作品の世界とそっくりで共通点を感じています。自分の作品と対になるような、まるできょうだいのようなイメージがあって、そこに感動した」と伝えていた。
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ある冬の時代。人類はヴァンパイアとの戦争に敗れ、地球上にほとんどの居住区を失った。生き残った人々は小さな都市に光の壁を築き、身を守りながら生存圏の再拡大を望んでいた。抑圧された暮らしの中、敵であ...
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アニメ『ヴァンパイア ・ イン ・ ザ ・ ガーデン』Original Soundtrack
¥3,300 ¥1,241
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