水樹奈々も思わずパイルダーオン　「日本の巨大ロボット群像」展で鉄人、マジンガー、ガンダムが集結　フォトレポート

展覧会「日本の巨大ロボット群像」が、12月21日から池袋サンシャインシティで開幕した。本展は福岡市美術館で2023年にスタートし、作品を横断して日本の巨大ロボットイメージ、デザインと映像表現の歴史を紐解き、「巨大ロボットとは何か」を問いかける野心的な企画展だ。

　マジンガーZの発進、搭乗、合体プロセス

本展は日本各地の巨大ロボット立像の紹介に始まり、何度もリメイクされた「鉄人28号」のイメージ変遷、マジンガーZからコンバトラーVまでの搭乗、合体、変形の系譜と玩具的要請、ロボットデザインに大きな影響を与えた「スタジオぬえ」の仕事を紹介する。

　歴代の「鉄人28号」がモノリス状に展示される

　実写映画「鉄人28号」プロップ

　「勇者ライディーン」は神像、ロボット、ゴッドバードの三面で展示
　　後ろは「超電磁ロボ　コンバトラーV」の五体合体　写真外に「ゲッターロボ」の展示もある

　スタジオぬえ、宮武一貴による絵画　マジンガーZ、コンバトラーV、ライディーン

　スタジオぬえ、加藤直之による「宇宙の戦士」の機動歩兵　中央のブースで「着る」ことができる

さらに、設定上のサイズに拡大されたRX-78-2ガンダムや、ロボット兵ラムダの設定画でその大きさを体感できる展示から、ロボットのリアリティを増す内部図解、1990年代の巨大ロボットへの回帰、識者へのインタビューなどで構成される。また「スタジオぬえ」の宮武一貴による巨大絵画2点もみどころだ。
　巨大ロボットの展示らしくロボットイメージは大きく展示され、あたかも「飛び出す絵本」の中を歩くような体感型の展示となっている。

　ガンダムの設定画を18mに拡大したもの　劇中シーンが紹介される

　「機動戦士ガンダム」第1話の分解図
　　　手前に車両や木を置くことでロボットの巨大さを演出していることがわかる

　「ルパン三世　PART2」のロボット兵ラムダ　高さ3.9m　幅7ｍ
　　1980年代にロボットは小さくて乗りやすいサイズになっていく

　「メガゾーン23」のガーランド　「装甲騎兵ボトムズ」のスコープドッグ
　　　スコープドッグはジープの大きさを意識している

　巨大ロボットの内部透視図　奥のマジンガーＺは加藤直之、ライディーンは宮武一貴によるもの

　RX-78-2ガンダムの内部透視図　右が大河原邦男　左が河森正治によるもの
　　ケース内は内部構造を再現した玩具

　「勇者王ガオガイガー」「THE ビッグオー」など巨大ロボットイメージの拡張

　「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日」設定、原画、セル画

音声ガイドでは銀河万丈、水樹奈々が解説してくれる。銀河は「機動戦士ガンダム」ギレン・ザビ役、「装甲騎兵ボトムズ」ジャン・ポール・ロッチナ役などを演じ、水樹は「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」アンジュ役でロボットアニメの主人公を務め（本展では未展示）、自身のライブで巨大ロボットに搭乗して歌うなどロボットアニメに縁の深いふたりだ。
　マジンガーZのコーナーでは水樹が歌手・水木一郎をリスペクトして「パイルダーオン」と叫んだり、装甲騎兵ボトムズのコーナーで急にむせる水樹に銀河が「苦いコーヒーでも」と勧めるなど、ファンが嬉しくなる仕掛けも入っている。

最後のインタビューコーナーでは押井守（映画監督）、中島かずき（劇作家）、亙重郎（ゲーム・プロデューザー）、岩坂照之（前田建設工業）、小俣貴之（日立建機）、オリー・バーダー（Rainmaker Productions/Sola Digital Arts）がそれぞれの巨大ロボット観を語っている。

本展の監修は山口洋三（オフィスゴンチャロフ）、ゲストキュレーターは廣田恵介、タルカス（五十嵐浩二）が務めた。展示は池袋で2025年1月13日まで開催されたあと、愛知県、福島県に巡回が決定している。