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特集・コラム 2018年10月24日(水)19:00

【明田川進の「音物語」】第15回 芝居のあり方を考え直すきっかけになった、永井一郎さんの言葉

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これまで僕は、役者同士の“会話”の大事さについて何度か触れています。これは、芝居づくりにも通じる話なのですが、そう考えるきっかけになった忘れられない出来事があります。虫プロの作品をやっているとき、アフレコ中に永井一郎さんから「アケさん、ここはもう少しリアルにやったほうがよくない?」と言われたことがあって、そこから自分のディレクションをあらためて考え直すようになりました。

永井さんは芝居からきた人で、当時から素っ頓狂な声や、老人から普通の青年の声まで演じることができる、幅の広い役者さんでした。芝居の基礎ができている永井さんだからこそできる、頭のてっぺんからだすようなアニメ的な声が好んで使われていた頃です。

そんな永井さんからの一言で、自分の原点に返った思いがしました。音響監督をしていて、役者さんから、「こうじゃないの?」と言われたのもはじめてで、そこから永井さんと芝居について話すようになりました。永井さんは、「僕が相手に問いかけても、それにたいしてきちっと芝居が返ってこないことが多い。そうした芝居づくりを、あまりみんなやっていないのではないか」というようなことをよく言っていて、僕自身、「たしかに、そうかもしれない」との実感がありました。そこからリアル志向の芝居を考えるようになっていき、「幻魔大戦」のときには近未来が舞台であっても、芝居は現実にそくしたものを強く意識しました。

ただ、いくらリアルな芝居といっても、役者としてキャラクターを演じる場合には、どうしてもキャラクターとしての誇張が必要です。その誇張も、基本の演技ができていればこそ、より良い芝居にすることができる。永井さんがアニメ声で演じていたキャラクターも、全体の流れを見ると、芝居の基礎ができていて、その中でやっているから効果がでていることが分かります。今では「アニメ声」はひとつのジャンルになっていますが、最初からアニメ声でやるのは良くなくて、芝居がきちんとできたうえで、「今回はちょっとアニメ声でやってほしい」みたいなことならいいと思うんです。声優事務所のマネージャーさんも、そうしたことを良く分かっている方が増えてきました。

もうひとつ、芝居に関してよく新人に言っているのが、ちゃんと芝居をしていたら、いくら大声をだしても大丈夫だということです。笑うにしろ怒るにしろ、まずは真剣に感情をのせてボーンと声を出してみる。新人の子には「今、本当に真剣になって声を出していないでしょう。一回、思いきり声をだしてごらん。絶対にダメと言われないから」と言って、やってもらうことがあります。キャラクターの喜怒哀楽を表現しなければいけませんから、上辺の声色ではなく、ベースとなる芝居がまずは大事ということです。

明田川 進

明田川進の「音物語」

[筆者紹介]
明田川 進(アケタガワ ススム)
マジックカプセル代表取締役社長、日本音声製作者連盟理事。日本のアニメ黎明期から音の現場に携わり続け、音響監督を手がけた作品は「リボンの騎士」「AKIRA」「銀河英雄伝説」「カスミン」など多数。

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