2021年11月19日(金)19:00
【「攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争」公開記念】押井守、神山健治、黄瀬和哉ら歴代監督の談話でアニメ「攻殻」26年の歴史を振り返る
アニメ「攻殻機動隊」シリーズの最新作「攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争」が、11月25日までの2週間限定で公開中です。同作は、Netflixで配信中の「攻殻機動隊 SAC_2045」シーズン1に新規カットを加えて再構築した総集編。2022年にはシーズン2の配信も予定されています。
アニメハックでは「攻殻機動隊」誕生25周年の2015年に、押井守、神山健治、黄瀬和哉といった歴代の監督や関係者へのインタビュー特集を実施しました。1995年公開の「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」から現在まで、アニメ「攻殻機動隊」シリーズの26年におよぶ歴史を駆け足で振り返りながら、当時のインタビューの模様をご紹介します。
ハリウッド映画化もされたSFアニメの金字塔「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」

今年4Kリマスター版がIMAX上映された「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」
(C) 1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT
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士郎正宗氏の漫画を原作に、押井守監督とProduction I.Gがアニメ映画化した同作が公開されたのは1995年。「マトリックス」を筆頭にハリウッド映画に多大な影響を与え、17年にはスカーレット・ヨハンソン主演で実際にハリウッド映画化もされました。
押井監督がアニメ化の相談をうけたのは「機動警察パトレイバー 2 the Movie」(93)の制作が終わって熱海に建てたご自宅に引っ越したばかりの頃。インタビューで押井監督は以下のように語ってくれました。
押井監督「作品にはサイバーパンクやSFの要素もあるけれど、僕の中では体をテーマにしようと思った。体が重かったり、自分で自分の身体を壊してしまったりするような世界観ですね。だから、キャラクターも骨格がすけてみえて、筋肉の動きまで描けっていう話をして、その試みは成功したんです。大したアニメーターが集まりましたからね。相当レベルの高いアニメーターでないと、あの身体表現はできない。原画は苦しかったはず。ただ、制作期間は意外と短くて10カ月ぐらいでした」
04年にはバトーにスポットを当てた続編「イノセンス」が公開されました。「攻殻2」としてプロジェクトが動き出した制作経緯や、Production I.G代表取締役の石川光久プロデューサーとのやりとりなどが赤裸々に語られた制作舞台裏は、以下のインタビューをご一読ください。
▽「攻殻機動隊」25周年リレーインタビュー 映画監督 押井守 後編 「攻殻」はI.Gでしか作れないと思う
https://anime.eiga.com/news/101217/
神山健治監督がシリーズ3作を手がけた「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」
「イノセンス」が公開される前の02年、テレビシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(「攻殻機動隊 S.A.C.」)がスカパーで放送されます。同作では、当時新進気鋭のクリエイターだった神山健治監督がテレビアニメ初監督を務めます。当時のことをI.G石川プロデューサーは「大きな博打のようなものだった」と振り返っていました。
石川プロデューサー「『S.A.C.』は、よくやりましたよね。当時、映画とテレビとゲーム、全てを巻き込んで『攻殻機動隊』のプロジェクトを組んだんですよ。出版社の許諾を得て、権利を一度I.Gに集約させてもらって、それぞれの委員会を作りました。下請けから元請けのアニメスタジオになってまだ10年ぐらいのところで、一気にそこまでいきましたからね。見切り発車だった部分も多かったですし、これで企画が決まらなかったら会社の存続は難しいというところまで追い込んでいったんじゃないですかね。当時の会社の運命は『攻殻』とともにあって、もう後戻りはできないというころまでいった。こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんが、大きな博打のようなものだったんじゃないかと思います」
押井監督の「攻殻」と「S.A.C.」の大きな違いのひとつは、タチコマの存在の有無です。人工知能を搭載した多脚戦車で、無邪気でかわいらしい言動が人気を呼び、映像ソフトの特典として短編「タチコマな日々」も制作されました。
「S.A.C.」は、制作のハードルが高い「攻殻機動隊」をテレビシリーズとしてつくりきったすごさに加えて、海外ドラマを思わせる緻密で濃厚なストーリーが大きな魅力です。神山監督の「文芸の部分を一度整備し直したい」という考えのもと脚本チームをつくって合宿を行い、各話完結のエピソードをつむぎながらシリーズをとおして「笑い男事件」を軸にした大きな物語が展開され人気を博しました。
好評につきシリーズ第2期「2nd GIG」(04)の製作も早々に決まり、ストーリーコンセプトの役職で押井監督が脚本開発に参加。06年にはシリーズ第3作「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」が劇場公開されました。52本の映画を作るような気持ちでテレビシリーズをつくり終え、当初考えていたアイデアはほぼ使いつくしていたという状況のなか、神山監督は「ここで作るものでこそ本当の実力が試される」と考えたそうです。
神山監督「(「Solid State Society」は)色々な意味で歯を食いしばって作った作品です。つらいことも多かったですが、シリーズ2本を一緒に作って成熟したスタッフがいたからできた部分も多くて、そこは6年間『S.A.C.』を作り続けてきたからだと思います」
当時の思いを率直に語ってくださった神山監督のインタビューは、以下で読むことができます。
▽「攻殻機動隊」25周年リレーインタビュー 神山健治監督 後編 スタッフを説得し続けた6年間
https://anime.eiga.com/news/101360/

アニメハック編集部コラム
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アニメハック編集部(アニメハックヘンシュウブ) 映画.comが運営する、アニメ総合情報サイト。
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