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特集・コラム 2019年4月1日(月)19:00

【かねやん的アニラジの作り方】第3回 インターネットラジオの出現と多様化するアニラジ

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2003年ごろでした。あるスポンサーから「この春でラジオのスポンサーをやめたい」と突然の電話。「なんで」と聞くと、「今かねやんに出しているお金の半分以下の値段でインターネットを使ったら全国にラジオを届けることができる」とのこと。インターネットラジオという言葉を初めて聞いた瞬間でした。勿論、それまでにもインターネットのホームページなどはありましたが、音声や動画を流すにはデータ量が多くまだまだ普及には時間がかかると思ってました。当時からデジタルリテラシーの高かったアニラジリスナー。僕はおそらく日本のラジオマンのなかでもかなり最初のほうにインターネットを脅威として感じざるを得ない立場に立たされたのです。2004年、「音泉」「ランティスネットラジオ」がスタート。2007年には今の文化放送超A&Gの前身となる地上デジタルラジオがスタートします。インターネットラジオは時間と枠という制約をなくし、またAMラジオより良い音質、また地域という制約もなくしました。枠がなくなるといつでもどこでも番組がきけ、また何番組でも配信でき、さらに誰でも番組を作ることができるようになったのです。僕はそんな状況を見ながら2004年、大阪の本社編成部へ転勤になります。僕のアニラジ人生の第1期はここまで。ここまで書くのに1時間もかかりました。これまでは自慢話ばっかりだったので書くのは簡単でしたが、しんどい話は書くのがしんどいですね。

2008年12月、僕は再び東京支社に戻り、Vステ担当になります。ここからがアニラジ人生第2期。第2期は逆風の中のスタートでした。数年の間に、インターネットラジオなどにスポンサーを奪われ収入は減少。名物企画だった「Vステ夏の陣冬の陣」もできなくなっていました。柱となる番組も「スウィートイグニッション」が唯一気を吐いているぐらいしかなく、正直茫然とした思い出があります。ここからの10年が本当の意味でのアニラジ人生のスタートと言えると思います。
 放送枠の希少性、SNSの出現による情報の速報性、機動力をうばわれたなかでどう魅力を出していくべきか。それはインターネットとうまく付き合っていく番組作りでした。まず、2010年にニコニコ動画に公式チャンネルを開設、「スウィートイグニッション」の配信を開始しました。月額500円の課金ビジネスのスタートです。さらに今まで近畿地方だけに放送していたラジオ局が安価に全国のリスナーに届けることができるようになったことを受け、東京や関西以外の都市でイベントを開催してもリスナーに来ていただけるようになりました。コミックマーケットに参戦するようになったのも「インターネットとうまくつきあう」一環です。よくリスナーの皆さんから「ラジオ大阪」なのに大阪をないがしろにしているといわれますが、逆に「インターネットとうまくつきあう」ために大阪に軸をおいた番組も始めました。大阪出身女性声優の番組「めっちゃすきやねん」です。この番組は全国のリスナーを意識しながら「大阪のかわいさ」を伝えていきました。さらに「インターネットとうまくつきあう」ためにとても地上波のラジオでは流せないエッジの効いた番組も制作しました。興味のあること「ソ連、軍事」という変わった声優・上坂すみれさんと出会い、別のラジオ番組のスタッフだった軍事ライターの鈴木貴昭さんとその現場に呼びもしないのに来ていた金子賢一さんの3人で始めたミリタリー番組「上坂すみれの装甲親衛歩兵連隊放送」は、僕的に初めてラジオ大阪で放送しない番組でした。すみぺの呼びかけに「粛清―――――」という弾幕がニコ生の画面を覆いつくしたときに、当時よく言われた「放送と通信の融合」を僕的に感じ取ったのです。
 2011年、あの東日本大震災がおきた年に、テレビアニメに出資するという事業を始めました。「ゆるゆり」という作品でした。次回はテレビアニメとラジオの関係について考えてみたいと思います。

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 ベルガモの最新情報はをチェック。かねやんTwitterアカウントは@kaneyanmamotan 。

兼田 健一郎 株式会社ベルガモ代表取締役社長

かねやん的アニラジの作り方~体験的アニラジプロデュース論~

[筆者紹介]
兼田 健一郎 株式会社ベルガモ代表取締役社長(カネダ ケンイチロウ)
昭和43年大阪府生まれ。法政大学社会学部を卒業、平成3年ラジオ大阪に入社。報道部記者として大阪府警や国会を担当し、事件事故、55年体制崩壊を取材した。東京支社に転勤後一貫してアニメゲームゾーン1314V-STATION の番組プロデュースに携わる。編成企画部長、編成制作部長、東京支社長などを歴任。平成30年退社。日本の新しい音声コンテンツを創造する株式会社ベルガモを創立。

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