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特集・コラム 2018年5月10日(木)19:00

当日版権フィギュアのシステムと魅力とは? 「トレジャーフェスタ・NEO」レポート

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世界最大の造形イベント、「ワンダーフェスティバル」。年2回の開催で、フィギュアメーカーの新作を中心に多数のフィギュアが展示、発表されています。
 ネットでのレポート等を見ていると、そういったメーカーのフィギュア以外に、当日版権といわれるフィギュアの情報も流れてきます。この当日版権という独特のシステム、基本的に造形イベントのみでしか適応されていないものなので、なんだか分からないという人も多いのではないでしょうか? ということで、あらためて当日版権とは何なのか、どういう魅力があるのかをまとめてみましょう。

当日版権とは、その名の通り当日の1日だけ版権を許諾するということです。版権許諾というのはアニメやマンガ、ゲームや特撮などの商品化を認めるということですが、通常これは企業との正式な契約が必要で、個人を相手にしてくれることはありません。それをイベントの実行委員会を通じて、イベント当日のみ個人に商品化権を正式に与えてくれるというものなのです。
 そこで販売されているものはガレージキットと呼ばれるものが中心(その他ドールや一部グッズ系も)。これはレジン製の組立キットで、商品は未組立未塗装。展示してあるような完成品にするにはそれなりの技術が必要となります。
 昔はPVC製完成品フィギュアは存在せず、模型店やホビーショップでもレジン製組立キットが販売されていました。そして、その商品と同様の素材&クオリティのものが無許諾で同人的にイベント販売も行われており、さらに同じ会場でメーカーの正式許諾品も販売されているという状態でした。こういう状態に対して正式な許諾を受けているメーカーや版権元からクレームがつき、その対策としてできあがったのが当日版権システムです。1日だけ商品化権を許諾するというのは、他に例のないかなりアクロバティック的なシステムですが、アニメ製作会社ガイナックスの前身となるゼネラルプロダクツ(最初の「ワンフェス」主催者)が各所と折衝の末、この当日版権を成立させたのです。

当日のみ版権とはいえ、これは版権元から正式に許諾を受けたもの。だからこその制約もあります。
 まず、当日版権を認めてくれない版権元もあります。かなりイレギュラーなシステムですし、版権元にしてみればとても手間がかかるもので、ファンサービスの一環のようなものなのです。メジャーなところでは原則的に集英社の「週刊少年ジャンプ」系はほぼNG。OKだった作品がアニメ化などをきっかけにしていきなりNGに変わったというのもよくある話。また、イベントによってOK出るもの、出ないものもあります。「ガンダム」などは「C3AFA」では当日版権がおりますが、「ワンフェス」ではNGです。
 当日版権を認めてくれていても、版権元への申請と監修が必要。フィギュアにするキャラクターのポーズやネタがダメだったり、イメージが合ってないということでダメだったり、申請時に未完成だったりクオリティが低かったりでNGが出る場合もあります。中にはエロくつくりすぎてダメなんてこともありますが。
 OKが出ても、版権使用料(多いと10パーセントくらい。一方で不要という版権元も)が必要ですし、さらにはつくっていい上限個数も決まっていることもあります。だいたい1イベント50個くらいというのをよく聞きますが、中には年間で20個なんていうタイトルも。
 さらに再生産はNGで1回しか売ってはいけないというタイトルもあります。
 意外と面倒なのが、サンプルの提出。商品の状態である未組立のキットでの提出ならまだいいのですが、組み立てて塗装した状態での提出が必要な場合もあります。この組立&塗装はかなり大変な作業で1個つくるだけでもけっこう面倒なのに、同じものを3個とか5個提出が必要なんていうことも。
 こういう状態なので、ディーラー間で、この版権はOKが出そうだとか、こういうのはNGらしい、版権料やサンプル提出はこうだったとか、盛んに情報交換も行われています。

この当日版権のバリエーションとして、ガイナックスやニトロプラスなど版権元自らが独自に許諾するシステムもあります。こちらはイベントの1日だけではなく基本1年間、通販も含めてOKというものです。「エヴァンゲリオン」(現在は版権元がカラーに移っていますが、アマチュア版権システムは継続)や「刀剣乱舞」など、フィギュアでも人気のタイトルも許諾されています。

「ワンダーフェスティバル」は、もともとガレージキットが中心のイベントで、現在でも会場の8分の5は個人を中心としたディーラー(「コミケ」ではサークルと呼ばれていますが、「ワンフェス」ではこう呼称されます)が占めています。その数は約2000! メーカー品に負けない造形クイオリティのものあり、最新アニメの最速立体化あり、オリジナリティあふれるデザインあり、ユニークなネタあり。当日版権だからこそのさまざまなアイテムがあります。
 当日版権フィギュアはその他の造形イベントでも適応されており、上記の「C3AFA」は毎年8月に開催されていますし、「ホビーラウンド」というイベントも4月に続いて10月に開催予定。「トレジャーフェスタ」というイベントも年2回、5月と12月に開催されていましたが、この5月から体制が変わり「トレジャーフェスタ・NEO」としてスタートしています。
 5月5日に東京ビッグサイトで開催されたその「トレフェス」の取材もしてきていますので、当日版権フィギュアだからこその魅力とあわせてご覧いただきましょう。

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現在の当日版権でも圧倒的に人気があるのが「Fate/Grand Order」。先日のワンフェスで人気だったフィギュアも再販されていました。左上から右に、水着フランケン(鶴の館)、ネロ・ブライド胸像(スノー☆キャット)、水着オルタ(T's system.)、源頼光(チェリーブロッサム)。

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今回の「トレフェス」での新作&準新作も(マシュは別イベントで発売済み)。左上から右に、マシュ・キリエライト(the poppy puppet)、エリザベート・バートリー〔ブレイブ〕(はむすた工房)、ジャンヌ・ダルク(英霊正装)(硫黄泉)、アビゲイル&ラヴィニア(宴会芸)。
 「FGO」にはサーヴァントが200人以上いますが、一般販売フィギュアではなかなか発売されそうになかったりするキャラも当日版権だと出ることがあります。さらにいち早くフィギュア化されることも。大きなサイズの胸像など、フォーマットとしてユニークなものも。

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「FGO」以外でもいち早い立体化もあれこれ。写真左上「ガールズ&パンツァー 最終章」大波のフリント(アミエ・グラン)、写真右上「ゆるキャン△」薪の妖精しまりん△&鍋の妖精なでしこ△(3×3×3)などは、まさに最新キャラ。写真左下のユニコーン(鶴の館)や写真右下の高雄(五菱重工)など「アズールレーン」からのフィギュア化も注目されています。

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当日版権だからこそのユニークなフィギュアも。「FGO」のオフィシャルでは描かれていない、写真左上の制服姿のジャンヌと邪ンヌ(グリズリーパンダ)や写真右上のバニースーツのジャンヌオルタ(うさPハウス)なども許諾されています。写真左下「エロマンガ先生」和泉紗霧水着Ver.(グラビアンスキー)のようにちょっと大胆なフィギュアや、写真右下「FAガール」「武装神姫」顔パーツセット(R66-AEL)のような改造パーツもあります。

アマチュアが参加するイベントで二次創作物を販売するという共通点から、「コミケット」などの同人誌即売会と比較されることも多い当日版権のホビーイベントですが、1日とは言え個人でも正式な許諾を受けた商品という決定的な違いがあります。これはどっちが良い悪いという話ではなく、その時の状況と流れの結果こうなっているのです。

実際に手に入れて組み立ててみるもよし、じっくりとイベントで見て回るのもよし、フィギュアジャンルならではの当日版権というシステムを意識して楽しんでみてください。

島谷 光弘

ホビー&フィギュア トレンド

[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ)
フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。

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ゆるキャン△ 106

これは、ある冬の日の物語。静岡から山梨に引っ越してきた女子高校生・なでしこは、“千円札の絵にもなっている富士山”を見るために自転車を走らせて本栖湖まで行ったものの、あいにく天気はくもり空。富士山...

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