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特集・コラム 2018年10月4日(木)19:00

「刀剣乱舞」1分の1スケール 三日月宗近 等身大フィギュアの進化

(C) 2015-2019 DMM GAMES/Nitroplus

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等身大、すなわち人間と同じくらいの大きさのフィギュアというと、遊園地だったりイベントだったりでの展示用としてはよく目にするところ。ですがこのところそれらとは異なる、一般販売のコアなファン向けの等身大フィギュアがいろいろと発表されるようになってきています。
 ちょうどいま、グッドスマイルカンパニーが「1分の1スケール 三日月宗近」の抽選応募を受付中。その内覧会を取材してきたので、その紹介とあわせて、等身大フィギュアとは何かについてまとめてみましょう(ちなみに、等身大というのは人間と同じくらいの大きさということで、実物大とは違います。等身大ガンダムといえば人間と同じくらいの大きさになりますし、実物大ガンダムならお台場にあるアレになります。もっとも、人間がモデルの場合は基本的に等身大=実物大になっているのが基本ですが)。

■等身大フィギュアのこれまで

等身大フィギュアというジャンルで最初に大きな話題となったのは、20年以上前に発売された「新世紀エヴァンゲリオン」の綾波レイ。ペーパームーンというホビーメーカー&ショップが発売したもの。等身大フィギュアといっても、布服を着たマネキンのようなもの中心でした。その後も大体30~80万ぐらいの価格で「機動戦艦ナデシコ」ホシノ・ルリや「カードキャプターさくら」木之本桜など多数のシリーズ展開をして、1990年代後半にはひとつのジャンルになっていました。
 その後たまに等身大フィギュアが発表されることはあっても、かつてのようなジャンルにはなりえなかったのですが、それが大きく変わったきっかけになったのがアニプレックスから2016年に発売された「冴えない彼女の育てかた」加藤恵の等身大フィギュア。造形密度も塗装も、一線を画すハイクオリティな仕上がり(スカートの下とかも!)で大きな話題となったのです。価格は約200万、抽選による限定個数という販売方法でした。
 その後、100~300万で限定個数販売という等身大フィギュアが続々と登場するようになり、ついにグッドスマイルカンパニーからも三日月宗近が発表された、というわけです。

この造形、販売個数、価格帯になったのはデジタル造形&3Dプリンターの発展と大きな関わりがあります。デジタル造形で作ったものは3Dプリンターを使ってその出力サイズを自由に変更できるのです。つまり1/8スケール用に作ったデジタルの原型を等身大に出力すれば1/1フィギュアにすることも可能ということ。ただし話はそんなに簡単ではないのです。
 等身大として必要なディテールやバランス、塗装方法などは小さなスケールフィギュアとは異なります。また、3Dプリンターで出力したものをそのまま使った比較的安価なものもありますが、耐久性や経時変化については未知数であり不安が残るのです。出力品からさらに型を起こしてFRPという素材にすると耐久性はグッと増すのですが、価格はその分高くなり200万~300万コースになるのです。

■1分の1スケール 三日月宗近をチェック!

この「1分の1スケール 三日月宗近」の企画がスタートしたのは3年以上前。等身大フィギュアだからこそのグッドスマイルカンパニーのこだわりがうかがえる、この物理的にも企画的にも金額的にも第一級のフィギュアです。

(C) 2015-2019 DMM GAMES/Nitroplus

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配送時は分割されているパーツを、組み立てて設置することでこの三日月宗近が見参!
 サイズは設定通りの180センチ。フィギュアそのものの素材はFRPとABSなので耐久性についても安心です。フィギュア本体は基本的に中空なので、重量は台座込みで約45キロと一般家庭にも置ける重さです。台座は重量のある鉄製で倒れにくいようになっています。

(C) 2015-2019 DMM GAMES/Nitroplus

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ポーズは発売中の1/8スケールフィギュアと同じくゲーム中のイラストから。ただし、これは1/8スケールフィギュアをそのまま拡大したものではありません。等身大フィギュアとしての造形が行われているのです。
 1/8スケールではそのサイズなりのデフォルメが必要になります。それをそのまま等身大にすると頭が大きすぎたり全体のバランスが変だったりするのです。また、髪の毛の細さや繊細なディテールなども同様で、そのまま拡大すると太くなってシャープさがなくなります。
 この三日月宗近はもともと衣装や鎧などディテールが多いデザインなのですが、このサイズでもその緻密さの印象は変わりません。過剰にならず実物大だからこその密度。

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ちょっと面白いこだわりとして、腰に差した刀の三日月宗近のサイズも。イラストのイメージだと少し長めになっていて、1/8スケールフィギュアではそれにあわせているのですが、この等身大では実際の日本刀の三日月宗近の大きさに合わせてあるそうです。もちろん鞘や拵えなどの再現度もパーフェクト! ちなみに刃は仕込まれていないので抜いたりすることはできません。

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造形ではアナログ的な手法も使われています。とてもリアルでホンモノにしか見えない紐類は実物を型取りして再現したそうですし、着物の凸模様は手で貼り込んでいったそうです。

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塗装も等身大フィギュアでは難しいポイント。通常のフィギュアでは肌は素材の色を活かしてそのまま使い、そこに影やハイライトを塗装しています。こうするとPVCという素材の透明感が活かせるのです。ですが等身大フィギュアで使うFRPという素材ではそういう使い方はできないので、すべて塗る必要があります。なるべく透明感が出るように顔料から開発し専用塗料を作り上げています。そのために岡山の工場に何度も通ったのだとか。このサイズ、この価格だと経時変化、耐久性も重要なのです。
 なお、瞳は1/8スケールフィギュアでは顔パーツにそのまま印刷しているのですが、等身大フィギュアでは別パーツ化して、クリアー素材を使っています。まぶたと瞳のスキマや瞳の輝きなどは等身大フィギュアならでは。

(C) 2015-2019 DMM GAMES/Nitroplus

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装束には三層の重塗装が施されています。これはできれば実物を見て欲しいのですが、絹のような微妙な輝きが美しい仕上がりになっています。通常の1/8スケールフィギュアだと、各所に影を塗装で入れるのですが、等身大だと自然に出来る影を活かせるのでそういった処理はかなり抑えめ。このあたりも等身大フィギュアならではのポイントです。

この「1分の1スケール 三日月宗近」で特に注目していることが1点。これまでの等身大フィギュアは男性ファン向けのものが中心で、女性ファン向けのものはこれがほぼ初めて(90年代には「キング・オブ・ファイターズ」庵や京などもありましたが)。フィギュアに対しての女性ファンの意識はかなり変わってきましたが、等身大フィギュアに対しての反響はどうなるのか、というのは非常に興味深いところなのです。

価格は300万円(税込・送料、設置料別)で、10体のみの抽選販売。応募締め切りは10月24日まで。詳細は→

島谷 光弘

ホビー&フィギュア トレンド

[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ)
フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。

作品情報

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