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特集・コラム 2020年6月20日(土)19:00

中止・オンライン開催が相次ぐホビーイベントの最新動向と“版権残酷物語”

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今回もまずは新型コロナウイルスのホビーイベントへの影響関係から。
 この2カ月の間に、今年の秋までのホビー系イベントがほぼ壊滅ということが確定しました。なんといっても一番大きいのは11月に予定されていた「ワンダーフェスティバル」の中止決定。中止発表は5月12日とイベントのほぼ半年前、かなり早い段階での判断ですが、当日版権という非常に手間のかかるシステムで成り立っているイベントだけにその判断も妥当なところ。また、秋冬連続体制ではなくなったため、当日版権の締切りは変更されています。現時点では詳細発表はありませんが、通常の締切りに近いことになると思われます。
 当日版権イベントでは、「ガンダム」系の許諾が降りる「C3AFA」も10月の幕張メッセを使ったリアルイベントの中止が発表されています。オンラインイベント等を検討すると告知はされているのですが、当日版権申し込みの締切りが過ぎた現時点でも詳細発表はまだ行われていません。
 メーカー系では8月末に予定されていた「メガホビEXPO」も中止。そうなると例年同日開催だった「ワンホビギャラリー」も開催はなさそうです(正式に日程告知はされてなかったので、中止になっても告知はありそうにはないですが)。追記:ワンホビギャラリーはオンラインに加えてオフラインのイベントが7月4日、5日に開催されることが発表されました。
 一方で8月2日に延期された「AK-GARDEN」と「キャラフェス神戸」、8月29日の「ホビーラウンド」、11月末の「全日本模型ホビーショー」は現時点では中止等の告知はありません。開催の場合、入場制限などなかなか大変そうではありますが……。
 春の開催が中止された問屋系の「宮沢模型商談会」や「プライズフェア」など、業者系の展示会は今後開催予定になっているものもありますが、その体制などは不明。いつもグッドスマイルカンパニーが「ワンフェス」後に開催している業者向けの「ホビーメーカー合同展示会」もどうなるか、今後の発表待ちです。

こうなると俄然注目が高まっているのがオンラインイベント&販売。
 最近増えているのが、ディーラーが独自に行う通販。ディーラーのオリジナル造形や、「エヴァンゲリオン」「刀剣乱舞」のように独自の版権システムがあるもの、「アズールレーン」のように通販を含む二次創作販売が認められているものなどいくつも出てきて、かなりの人気を博している例も。
 オンラインイベントでは、すでに受付け中の「トレフェスオンライン」に加え、先述したように検討中という「C3AFA」、さらには6月開催が無期延期となった「エヴァンゲリオンワンフェス」も今夏に「エヴァンゲリオンワンフェス・オンライン」開催を発表しています。いずれも本格的な運用は初の試みとなるだけに、通販につきもののアクセス負荷やトラブルなどが心配なところ(正確には「C3AFA」は開催最初期にイベント後に当日版権ガレージキットのネット通販を行ったことはありますが、2001年とかの話なので状況も違えばノウハウも残ってないと思われます)。
 さらにいえば、単独版権を扱う「エヴァワンフェス」以外は当日版権の申請がなかなか大変なはず。イベント会場限定で特別に許可をする当日版権ですが、それがオンラインというある意味開けた場所で開催するイベントには認められないという判断も出るでしょうし、各社大変な状況下ではそれどころではないという版権元もあるでしょう。こればっかりはやってみないとわからないところで、なんとか上手くいくことを期待したいです。

ことほどさように造形イベントでは重要な“版権”というシステムですが、イベントに限らずいろいろとあるのです。今回はそのあたりからいろいろ見聞きしたこと、体験したことをこぼれ話的にまとめてみましょう。

版権残酷物語

本連載ではよく当日版権について書いていますが、では当日ではない版権が何かと言えば、要するに一般販売される商品への版権許諾。テレビアニメの誕生時から(もっと言えばディズニーのミッキーマウスの時代から)版権許諾によるマーチャンダイジングは、作品継続のために非常に重要な要素です。昔ロボットアニメなどがオモチャの宣伝番組と揶揄されるようなこともありました。90年代くらいから、そういったオモチャではなく、コアなファン層に映像ソフトや音楽ソフトを売ることを中心とした、いわゆるオタク層向け作品も多く生まれてくるようになります。そういった作品群(だけではなく本来一般向けのものがマニアにも人気が出た「美少女戦士セーラームーン」のようなものもありますが)から、ガレージキットを始まりとするフィギュア商品が登場するようになりました。
 ただ、ガレージキットというコア中のコアなアイテムだった90年代はもちろん、PVC製完成品フィギュアがブームになってきた00年代前半も、まだ全体の中でいえばフィギュアはそんなに注目度は高くないアイテムでした。
 それが現在、フィギュアはプロジェクトとしてのアニメやゲームの中でも比較的重要な位置を占めるようになっています。物理的な存在感も大きく目立つアイテムで、何よりも単価が高いので、ブルーレイやDVDなど映像ソフトの売れ行きが落ちた現在では(特に海外で)ある種のフラッグシップ的なアイテムにもなっています(高価になりすぎて、勢いは昔に比べると落ちている感じはしますが)。
 そうなってくると、その扱いも変化してきます。製作委員会的なことでいえば、口を出したがる人が増えるのです。得てしてそういう人は、文句を言わないと仕事をした気にならない、でも立体の事が分かっているわけではない(見方が分からない)のでとんちんかんな意味のないことを言ってくるわけです。ありがちなのは、もとのイラストや写真と並べてここが違うという指摘。これは誰にでもできること(並べて比較するだけですから)で一見正しいように思われますが、立体だと成り立たない構図、一方から見たときはそれっぽく見えても角度を変えると破綻してしまうもとになることも多いのです。二次元のイラストは二次元としてのデフォルメがかかっているので、そのまま三次元に置きかえても駄目。そういう絵のウソ、デフォルメをいかにして立体にするかというのがこの数十年かけて進歩してきた造形技術なのですが、それを理解しないまま無茶無理な指摘を行うわけです。髪の毛の輪郭を細くしてくれ(立体には輪郭はありません)、背中から見た角度で胸がもっと見えるように(それやると腰が外れます)etc.etc.……。意味の分からない指示もあるようで、そういうときには何も直さずに直しましたともっていたら、良くなったと言われたという話も。ミケランジェロの逸話で、クライアントから鼻を直せと言われて削る振りをして手の中に忍ばせた粉を落としただけで実際には何も直さなかったなんていうのがありますが、そのあたり何も変わっていません。
 文句をつける人が組織の中でも偉い人や、そこからもっと偉いともいえる原作者だったりするとさらに面倒なことになることも。そういった立場の人の監修があまりに理不尽で厳しい場合、どんなに人気がある作品でもメーカーがフィギュアを出すのを嫌がったり、版権窓口の方から止めた方がいいですよとメーカーに忠告することがあったりなかったり。フィギュアが好きな原作者が必ずしもフィギュアのことを理解できるわけではないのです。
 版権窓口の担当者は担当者で、その作品を管理する会社に所属して自分の判断で商品化の許諾を取り仕切る立場になったことで、自分が偉くなったと勘違いする人も。これはこれでなかなか根深い問題で、担当者が異動になるまで待つしかない場合もあります。

一方で、もちろんちゃんとしたスゴイ監修というのも存在します。有名なところでは「新世紀エヴァンゲリオン」。00年代頃、特に監修が厳しいことで知られていた作品なのですが、厳しいと言っても無茶理不尽ではなく、その指摘がことごとく正しくその修整を入れることでより良いものになっていったのです。何よりもまず版権窓口の担当者の目利きが素晴らしかったのですが、加えてキャラクターデザイナーの貞本義行氏が行う監修はだれもが納得のものでした。貞本氏は自分でもフィギュアを作っているのですが、その空間把握能力が素晴らしいのです。監修に立ち会ったこともありますが、1枚の絵の別角度の想定から導き出されるフィギュアの造形を指示し、こう直した方がいいとさらさらと絵を描きつつ、監修を行っていました。その描いた直筆メモは各メーカーの担当者がお宝のように喜んで持って帰っていったものです。
 良い監修というのは間違いなくフィギュアの進歩に大きく寄与しているのです。

なお、監修に伴う修整作業やその後もまたいろいろ大変なことがあるのですが、またそれは稿をあらためて。

島谷 光弘

ホビー&フィギュア トレンド

[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ)
フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。

作品情報

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