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特集・コラム 2021年2月18日(木)19:00

まつもと泉先生とフィギュアと“もうひとりのまつもと泉”

まずは今年になってからのホビー系の状況から。
 なんといっても一番大きなトピックは、2月に予定されていた1年ぶりのワンダーフェスティバルが、1月に出た非常事態宣言の影響によって急きょ中止になったこと。非常に残念ですが、こればっかりはどうしようもないところ。参加費や当日版権料に関して減免するなど、ディーラーの負担がなるべく減るように実行委員会が動いたのも特筆すべきことでした。さらに開催予定日だった2月7日には、ネット上で各ディーラーやメーカーのリンクを集めてウェブWFを開催、Twitterなどで盛り上がっていました。次回は9月20日の予定ですが、今度こそ何事もなく開催されてほしいものです。
 ワンフェスの中止を受けて、各メーカーのオンラインイベントも2月にいろいろ開催されます。なかでもグッドスマイルカンパニー&マックスファクトリーが中心となるワンホビはオンライン展示&販売と同時に、秋葉原でリアルイベントも予約制で開催しました、ただ、その初日に新型コロナ罹患者が同じビルで出たことが分かり、急きょ初日&2日目のリアルイベントが中止になるという騒動も。
 いつも書く話ですが、立体は実物を目の前で見るのが何よりも大事なこと。早く普通にイベントが開催できるようになってほしいものです。

というところで、今回のネタ。
 昨年10月に、「きまぐれオレンジ☆ロード」などで知られるマンガ家のまつもと泉先生がお亡くなりになりました。「きまぐれオレンジ☆ロード」は「週刊少年ジャンプ」のラブコメマンガとして、その後のさまざまなマンガシーンに大きな影響を与えた作品です。テレビアニメも世界的な人気を博し、当時海外のパソコン通信のアニメ系フォーラムでは「KOR」という略称でよく語られていた物でした。
 この「きまぐれオレンジ☆ロード」はフィギュアでも非常に大きな意味をもつ作品です。1980年代後半、レジン製のガレージキットで「きまぐれオレンジ☆ロード」ヒロインの鮎川まどかが大人気となり、さまざまなメーカーから続々とフィギュアが発表されていたのです。この時期のフィギュア化人気としては間違いなくトップクラスの勢いでした。ですが、それがある日突然商品化NGとなったのです。それもすでにホビー誌に情報を掲載していたものもダメになったとか急激な変化で業界は大混乱となりました。当時、まどかに限らずフィギュアでは水着姿が人気だったのですが、あまりに水着フィギュアだらけになり、さらには1/2スケールくらいの大きなフィギュアが出るにいたって、版権元が「水泳選手じゃないんだぞ」と怒ったという噂話も。その後また版権がおりるようにはなったのですが。
 そのあたりの噂話はともかく、「きまぐれオレンジ☆ロード」鮎川まどかというキャラクターが、フィギュア黎明期に大きな役割を果たしたキャラであるというのは間違いありません。

そして、じつは「まつもと泉」という名前とフィギュアは、知られていないもうひとつ別の関わりがあります。
 この1月に、まつもと泉先生の元アシスタントや関係者が集って追悼本「金色のミラージュ」が同人誌として発売されました(収益はすべてご遺族にわたるという本で、とらのあな専売になっています)。この本に「もうひとりのまつもと泉」という方が寄稿しています。その文章であかされているのは、もともと「まつもと泉」というマンガ家のペンネームは、同級生2人によるユニットだったこと(しかも藤子不二雄先生と同じ出身校!)、そしてそのもうひとりはデビュー前後に離れて別ジャンルに進んだこと。そういったことがアマチュア時代の貴重な画稿とともに語られていました。「まつもと泉」がもともとは2人組のユニットだったことは一部では知られていましたが、その詳細が明らかになったのはこれが初めてのことだと思います。
 で、その「もうひとりのまつもと泉」さんは雑誌や書籍などのデザイナーの道へ進んだのですが、実は私個人として、2000年頃からいろいろとお仕事をお願いしていたのです(そのころは「もうひとりのまつもと泉」であることは知りませんでした)。メディアワークスのホビー雑誌「電撃ホビーマガジン」のフィギュアコーナーをお願いし、その後フィギュア専門ムックの「フィギュアマニアックス」もほぼまるまる1冊お願いし、「フィギュアマニアックス」関係は13年までに50冊以上出て、その後もホビージャパンから出たフィギュア専門ムックの「フィギュアJAPANマニアックス」もデザインしてもらいました。フィギュア雑誌、フィギュア記事の誌面をデザインしたページ数ではもしかすると日本一かもと言えるくらいで、この人がいなければ私の本作りはここまで続けられなかったと思います。
 この方が「もうひとりのまつもと泉」であるというのを知ったのはけっこう後になって、何か雑談の際にぽろっと聞いた話からでした。そのころはもうひとりいたということも知らなかったので、かなり驚いたものです。
 その後、かなり久々に鮎川まどかのフィギュアがメガハウスから発売されることになったのですが、ホビージャパンでの記事を私が書き、「もうひとりのまつもと泉」さんがデザインをすることになりました。これ幸いと、まつもと泉先生にコメントをいただいて、昔発売中止騒動があったことは全然知らなかったこと、今後当日版権については積極的に許可したいということなどを誌面に掲載したのです。これももちろん「もうひとりのまつもと泉」さんを通じて(ユニット解消した後もずっと親しい友人で連絡を取り続けていた)いただいたものでした。

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16年に発売されたメガハウスの「ヒロインメモリーズ きまぐれオレンジ☆ロード 鮎川まどか」。写真は16年5月のメガホビEXPOで展示されたときのもの。

この「もうひとりのまつもと泉」さんがいなければ、「フィギュアマニアックス」もあそこまで続けられたかどうか。まつもと泉先生と「もうひとりのまつもと泉」さん、それぞれ立場は違いつつフィギュアというジャンルに与えた影響には、あらためて不思議な巡り合わせを感じます。

島谷 光弘

ホビー&フィギュア トレンド

[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ)
フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。

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