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特集・コラム 2019年1月28日(月)19:00

【前Qの「いいアニメを見にいこう」】第13回 「けものフレンズ2」と「ケムリクサ」

(C) KFP2A

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けものフレンズ2」が始まりましたなぁ。放映前にはいろいろとあったわけですが、2話まで見て、個人的には「思ったより悪くないんじゃない?」みたいな感触を持っています。もともと前作で謎解きがどうこう、考察がうんぬんをやってこなかった視聴者だったのもあるかもしれませんが。動物モチーフの可愛いキャラクターたちが繰り広げる他愛もないやりとりと、終盤の熱く燃える展開が好きだった派なのです。そういう視点で見ると、シリーズの後半に向けて盛り上がりがちゃんとあるといいな……くらいしか、現時点では言えることはないのであった。まる。東京だと放映は月曜の深夜2時過ぎ。1週間の始まりを慌ただしくバタバタと過ごして疲れた頭と心に、負荷のかからない作風は好ましいな、くらいでしょうか。先日ちょっと体調を崩してしまったんですが、そのときに食べたおかゆが美味かったのなんの。そんなことを思い出させる味わい。

で、これに触れたからには、こっちにも言及しておきたい「ケムリクサ」です。いやぁ、強烈ですなあ。「けものフレンズ」のたつき監督が満を持して送り出すオリジナル作品ということで、放映前から注目の的だったわけですが、蓋を開けてみた感想は……とにかく「濃い」。いわゆるマニアックに作り込まれているという意味での「濃い」ではなく、「けものフレンズ」と比較したときの、相対的にたつき監督というクリエイターの個性が強く感じられるという意味での「濃い」。ロックとハイボールくらい違うというか。ダークなテイスト、不穏な空気のSFアニメ。その昔、2000年前後くらいの深夜アニメのノリを思い出しますわ。「聖ルミナス女学院」とか「DTエイトロン」とか……って、無意識にタイトルを並べてしまったけど、どっちもアミノテツロー監督じゃないの。好きなのか。はい。

(C)ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

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さておき、たつき監督はきっと、何かが一度滅び去ったあとの、「明るい地獄」みたいな舞台で、キュートなキャラクターがミステリアスな旅をするのがお好きなんでしょうね。「ケムリクサ」を経由することで、「けものフレンズ」にたつき監督が持ち込んだであろう要素が、透けて見えてくる感じ。そして、それを踏まえて「けものフレンズ2」を見ると、「けものフレンズ」というプロジェクト自体がもともと持っていたのだろう魅力であるとか、「2」の監督であるところの木村隆一さんの持ち味だろうものが見えてくる気もして、こういうの、おもしろいですよね。作品ってのはやはり「人」が作るものなんだなぁ、なんて気がして。まあ、あまり安易に属人性に結びつけるのも危ういところはあるんですが。アニメのおもしろさって、関係者のいろいろな綱引きの果てに生まれるものなので。

ま、ともあれ。そんな感じで、こういう複雑な経緯をたどった作品が同時に世に出る状況もそうそうない(あったら困る)わけですし、派閥を作って闘争に明け暮れたりするよりかは、ちょっと距離をとって、両方楽しんでしまうのがいいのではないかと思う次第でありました。では、本日はこのへんで、さようなら~。

前田 久

前Qの「いいアニメを見に行こう」

[筆者紹介]
前田 久(マエダ ヒサシ)
1982年生。ライター。「電撃萌王」(KADOKAWA)でコラム「俺の萌えキャラ王国」連載中。NHK-FM「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演者。

作品情報

けものフレンズ2

けものフレンズ2 38

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