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特集・コラム 2019年12月12日(木)19:00

【前Qの「いいアニメを見にいこう」】第24回 エンタメと社会問題と「ぼくらの7日間戦争」

(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

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アニメに社会問題をいかにして持ち込むか。そんなことをふと、考え込んでしまうことがある。「いやいや、アニメを見ているときくらい、現実のめんどくさいことを忘れたくないですか?」なーんて物言いもわかるんだけどさ。というか、ワタクシもそういう気分のときはありますけれど。でもやっぱり、今、自分たちの生きている社会の抱えた問題がまったく反映されていないような作品ばかりだと、それはそれで寂しいじゃないですか。つうか、「機動警察パトレイバー 2 the Movie」っておもしろいでしょ!? ああいうアニメがもっと見たくない!? 見たいよ~~~~~!!

……ってな話の流れで、「ぼくらの7日間戦争」を今回は取り上げるわけです。編集部に無理を言って試写に行ったんですけども、正直、おっかなびっくりなとこはあったんですよ。1988年に公開されて大ヒットした実写映画版ですら、原作小説にある当時の時勢を反映した学生運動の生々しい名残りの部分を削ぎ落としてた。さて、アニメ版はどうなってしまうのか? と。原作の構造だけを使った、爽やかなひと夏の冒険譚で終わってしまっていたらどうしよう? と。

杞憂でしたね。事前に公開された作品の宣伝で、主要キャラクターに不法滞在中のタイ人の子供がいて、入国管理局がその子を捕まえようとしている……みたいな文章を読んだときから、そんな予感はしてましたけど。外国人労働者に対する日本社会の酷い仕打ちに触れるのはもちろん、インターネットの可能性と問題点、地方の貧困、政治の腐敗、そして……どれも安易には触れづらい題材を、丁寧にエンターテイメントに昇華している。しびれましたよ。

試写に足を運ぶ前、もうひとつ危惧していたのが、社会派要素があるのはいいけど、逆におじさんたちのノスタルジーに塗れた、説教映画になっていること。「若者たちよ、なぜ不正と戦わないのか!?」みたいな、上から目線の映画になっていたら、それはそれでサムいなぁ、と。そこのところも、子供と大人、そして、子供でも大人でもない、どこか青臭さを残してしまっている中年(ライクミー)の目線を丁寧に盛り込んで、絶妙なバランスで描き出していてホッとしました。たぶん、年齢によって見え方が大きく変わる映画になっているんじゃないかと。世代問題といえば、実写映画とのリンクのさせ方も、やりすぎず、浅すぎずのナイスな塩梅。知らなくてもまったく問題ないし、知っていると思わず涙。

とにもかくにも、スタッフの匠の技が光る映画。今年、アニメ映画の本数は尋常じゃなく多い。そんな状況で、どうかこうした秀作を埋もれさせないでほしいと、切に願うワタクシでございます。といったところで、また次回!

前田 久

前Qの「いいアニメを見に行こう」

[筆者紹介]
前田 久(マエダ ヒサシ)
1982年生。ライター。「電撃萌王」(KADOKAWA)でコラム「俺の萌えキャラ王国」連載中。NHK-FM「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演者。

作品情報

ぼくらの7日間戦争

ぼくらの7日間戦争 Check-in5

いつもひとりで本ばかり読んでいる、鈴原守。話し相手といえば、同じ歴史マニアが集うチャットのメンバー。「青春時代は、人生の解放区よ」。平均年齢還暦越えと思われるその場所で、今日もメンバーの一人が、...

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