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特集・コラム 2020年11月23日(月)19:00

【前Qの「いいアニメを見にいこう」】第33回 やるべきことを丁寧に「いわかける! - Sport Climbing Girls -」

(C)石坂リューダイ・サイコミ / 花宮女子クライミング部応援団

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いやー、2020年10月クールのテレビアニメは豊作ですわ。そんな中から、ワタクシの偏愛しているタイトルを挙げるなら、なんといっても「いわかける! - Sport Climbing Girls -」であります。
 スポーツクライミングという、足場の配置された壁面をルールに則って登る、アニメで扱われることが珍しい競技を題材にしてはいるものの、物語の内容は直球。ひょんなことからその競技の存在を知り、花宮女子高校クライミング部に入部した女子高校生・笠原好は、天才パズルゲーマーとしての才能を競技と結びつけ、めきめきと頭角を現していく。そんな好の姿に部の仲間たちも活気づき、勢いに乗ったまま迎えた関東ボルダリング選手権。好は常人ではありえない競技スタイルで、初心者とは思えない驚異的な成績を収め、強豪選手やマスコミらを震撼させる。そんな面々の中には、長年に渡ってストイックに競技に打ち込み、好がスポーツクライミングを始めるきっかけにもなった、部の仲間である上原隼もいて……というのが、このコラムの執筆時点で放映済の、7話までの展開。競技の概要を順を追って説明し、主人公の才能の開花を描き、仲間たちとの心の距離も縮めた上で、モーツァルトとサリエリ、スマイルとアクマ、芸術やスポーツの世界にはどうしてもついてまわる、天才と秀才の壁の問題へと雪崩込んだわけです。
 そんな物語の太い幹を作り、しっかりと進行しながら、コミカルな描写もバランスよく挟み込んで映像に緩急をつけ、アクの強いキャラクターたち(語尾が「~でやんす」の娘がいるのが、たまらない……)もしっかりと印象づける。ストーリー面でも演出面でも、やるべきことを丁寧にやっていて、余計なストレスを感じさせない。あえていえば、2000年代前半ぐらいの美少女アニメのテイストを漂わせたキャラクターデザインと色彩設計が、現在放映中の他作品と並べたときに引っかかる人はいるかもしれないですが、ワタクシとしてはそこもまたグッと来るポイント。いい。すごくいい。
 尖ったアニメ、濃厚なアニメが、今期はがっつりある。そういうのも、もちろん楽しんでほしい。けれども、ワタクシとしては今作のようなすっきりとした、それでいてツボを押さえた味わいの作品が「テレビアニメらしいアニメ」だと思うところであり、そうした作品を見逃さず、愛でる人がもっと増えてほしいのです。
 では、そんな感じで、また2カ月後にお会いしましょう~。

前田 久

前Qの「いいアニメを見に行こう」

[筆者紹介]
前田 久(マエダ ヒサシ)
1982年生。ライター。「電撃萌王」(KADOKAWA)でコラム「俺の萌えキャラ王国」連載中。NHK-FM「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演者。

作品情報

いわかける! - Sport Climbing Girls -

いわかける! - Sport Climbing Girls - 22

――「スポーツクライミング」。それは、頭脳と肉体を駆使し、己の身体一つで壁を登る競技。パズルゲームの天才・笠原好(かさはら・このみ)が偶然出会った、校内名物のクライミングウォール! まるで、色と...

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