2024年8月3日(土)19:00
【前Qの「いいアニメを見にいこう」】第55回 ちょっと懐かしいよさがある「しかのこのこのここしたんたん」
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(C)おしおしお・講談社/日野南高校シカ部
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のつ! 今回取り上げるのは「しかのこのこのここしたんたん」です。優等生を擬装している(元)ヤンキー女子高生の虎視虎子(こし・とらこ)と、シカなのか人間なのか他の何かなのか今ひとつ判然としないツノの生えたおもしれー女の鹿乃子のこ(通称“のこたん”)を中心に、ヤンデレ妹、天然大食漢、ツンデレライバル、ド級ネガティブ後輩、ややボケ気味クーデレ(……これ、死語?)と、一癖も二癖もある美少女たちが繰り広げるシュールでスラップスティックなやりとりが魅力の学園ギャグアニメ。ちなみに、ちょっとややこしいタイトル、あえてコピペせずに書いてみました。一発で間違えずに打てましたよ。歌詞で何度も繰り返してくれるOPテーマの「シカ色デイズ」さまさま。こういう刷り込みって大事だよなと、あらためて感じた次第。他のアニメでもやってほしい。記憶力のめっきり衰えてきた中年のために。半ば冗談、半ば本気のお願い。ホント、覚えられないんだもん。特に長文系タイトルは無理です。よく似たようなのもたくさんあるし……。
他の点でもとにかく中年に優しいんですよ、このアニメ。見てるとホッとします。何もかもみな懐かしい。2010年代前半くらいのノリが濃厚。今作の監督は太田雅彦さん、副監督は大隈孝晴さん、シリーズ構成はあおしまたかしさん。このトリオの仕事を最初に広くアニメファンに印象付けた「ゆるゆり」の第1期が放送されたのが2011年なわけですが、まさにその時代を駆け抜けたオタクたちが愛した深夜の美少女アニメの空気が感じられます(キャラが処女かどうかをイジったりする、今となってはあまり褒められたものではない、ちょっぴり品がないところも含めて……)。私がこのコラム連載でたびたび語っているところの、テレビアニメならではの「ほどよい」感じがあってたまらんのです。ナウなヤングたちから批判があるのならば甘んじて受けますが、やっぱこうねー、抗えないものがあるんですよ。ごめんしてちょ。
……何を卑屈になっているのか。
しっかし、ホント、1話アバンのナレーション(アニメのオリジナル要素)が某少女小説原作アニメのパロディだった時点で、もう、がっつりハートをつかまれまくりなわけですよ。基本的に原作のエピソードやボケ・ツッコミの流れをなぞっているのですが、随所に細かくパロディを入れたり、はたまた画面にやたらと存在感のある3DCGのシカを出してみたり、ダイナミックなカメラワークでの動きを入れてみたり、アニメでの要素の足し方が絶妙なんですよね。アニメで興味を持って原作を読んでも違和感がないかたちにノリはそろえてあるものの、細部は盛り盛り。まさに練達の仕事ぶり。
匠の業といえば声もですね。ハマり役揃いで、全員ノッて演じているのが伝わってきますが、とりわけ耳を惹きつけられるのは虎子役の藤田咲さんの芝居。あまりにも快調なコメディエンヌぶりに痺れます。優等生モードの清楚さ、ヤンキーの地金が出たときのガラの悪さ。他のキャラの破天荒なボケに多彩なツッコミを入れまくりつつ、時には派手にボケる。それぞれの局面で見せる芝居の緩急の見事さ。おまけに第3話で披露されたユニーク過ぎる挿入歌はアドリブで作曲までされたそうです。ひたすらにすごい(小並感)。
劇場作品でもない。OVAでもない。基本は無料で、気軽に自宅で見られるもの……そんなテレビアニメならではの楽しさって、こういうものだと小生、あらためて愚考する次第であります。そこんところを理解してくれる人が、世の中にもっと増えてくれたら、ハッピーなんだけどなあ。というわけで、折に触れて何度も繰り返しアピールしていきたい所存でございます。
![前田 久](https://eiga.k-img.com/images/anime/column_series/1002/704e3cbb9e0c5c36.jpg?1518081211)
前Qの「いいアニメを見に行こう」
[筆者紹介]
前田 久(マエダ ヒサシ) 1982年生。ライター。「電撃萌王」(KADOKAWA)でコラム「俺の萌えキャラ王国」連載中。NHK-FM「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演者。
作品情報
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都立日野南高校に通う女子高生、虎視虎子。ある日の登校中、彼女は顔に冷たいものが当たるのを感じた。ふと上を見ると、そこには鼻水をたらし、ツノが電線に引っかかって身動きが取れなくなっている女の子が―...
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