2015年9月18日(金)20:00
「攻殻機動隊」25周年リレーインタビュー 野村和也監督 前編 「攻殻」のムックを読んでアニメ業界に (2)
「電脳コイル」以降、演出の仕事を手がけるようになった野村監督が、演出家としてProduction I.Gで初めて仕事をしたのは「戦国BASARA」。11話とエンディングの絵コンテ・演出。その後、シリーズ2期の監督に大抜てきされる。
「すごくビックリしました。『BASARA』では11話とエンディングの2つしか仕事をしていませんでしたからね。ただ、2期があるという話はうっすら聞いていて、もしかしたら助監督のようなかたちで声がかかることはあるかもな……ぐらいには思っていたんです。そしたらいきなり監督をと言われて。他にも候補はいたそうですが、プロデューサーの中武さん(中武哲也氏。現WIT STUDIOプロデューサー)が推してくれたからだと聞きました」
「戦国BASARA」2期で初めて務めた監督業は、振り返ってみれば「戦場を駆け抜けて、やっと生き残った気分」だったという。その後、「劇場版 戦国BASARA -The Last Party-」で、劇場アニメを初監督。同シリーズでキャラクターデザイン・総作画監督を手がけた大久保徹氏とは、「攻殻機動隊 新劇場版」でもコンビを組んでいる。
「とにかく大久保さんの絵がかっこよくて、好きだったんです。仕事に対する姿勢も、本当にプロフェッショルナルというか職人気質な方で。もし自分が『攻殻』をやるのであれば、作画監督は大久保さんに是非お願いしたいというのは、最初にお話をいただいたときから思っていたことでした。もうひとつ、これは僕の勝手な思いですが、できるだけI.G生え抜きの方にメインスタッフに立っていただきたかったというのもあって、その点でも大久保さんは適任でした」
野村監督が「攻殻機動隊」新シリーズの話を聞いたのは、「ロボティクス・ノーツ」の制作中。最初は劇場版の監督という話ではなく、「攻殻機動隊ARISE」の1本を監督する予定だったそうだ。
「当時、『ARISE』は全部で6本作ると言われていて、自分は最終回前の5話をやるという話でした。最終回でなければ気が楽だろうと思いましたし、その時点では、お話自体も今よりもっとオムニバス的に作る企画だと聞いていたので、だったらやりやすいんじゃないかなと。それがめぐりめぐって劇場版という話になったんです」
5話の作業が始まっていない状況のなか、野村監督が「新劇場版」の話を聞いたのは、社内で宴会をしているときだった。
「新年会かお花見だかで、I.Gの1階のフロアにみんなで集まってお酒を飲んでいたことがあったんですよ。そこに石川さん(石川光久氏。株式会社プロダクション・アイジー代表取締役社長・プロデューサー)もいらしたので挨拶にいったんです。そうしたら、『あ、そういえば、「ARISE」の5、6話はセットで劇場になったからよろしくお願いします』と言われて、一瞬きょとんとしてしまって……。軽い口調で『じゃ、よろしく!』みたいな感じだったので、『ええっ、嘘でしょう。本当に?』と思いました。そこからは、まるで最初から決まっていたかのように劇場を作る話になっていって。あの時は、石川さんのことをけっこう恨みましたね(笑)」
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