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インタビュー 2018年1月2日(火)19:00

新春アニメプロデューサー放談(2)KADOKAWA田村淳一郎氏 「お色気ものは、年1本ぐらい作っていこうと思っています」

「BEATLESS」キービジュアル

BEATLESS」キービジュアル

(C) 2018 長谷敏司・redjuice・monochrom/KADOKAWA/BEATLESS製作委員会

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アニメメーカーのプロデューサーたちに、2017年を振り返ってもらいながら、今年の展望を語ってもらう新春特別企画。第2回(※)は、1月12日放送の「BEATLESS(ビートレス)」を手がけるKADOKAWA田村淳一郎プロデューサーに、出版社の強みを生かした企画の立て方や、アニメ作りのなかで、ここ数年強く感じていることなどを、ざっくばらんに語ってもらった。

※放談の掲載は、原則取材を行った順

取材・構成/五所光太郎(アニメハック編集部)

――2017年を振り返って、ご自身としては、どんな1年だったと思われますか。

田村:毎年言われていることですが、アニメーションの作り手が不足していることを痛感した1年でした。これからを考えると、18年もその先も、もっと厳しくなっていくだろうなと。これは16年あたりから特に目立ってきている印象ですが、制作スケジュールや制作会社のキャパシティの部分で大変なことになっていると実感した1年でした。

――田村さんは、KADOKAWAのアニメ部門で企画第一課のシニアマネージャーとして、ご自身でも作品を手がけながら、現場のプロデューサーを取りまとめているお立場ですよね。そうしたなかで、作り手が不足している問題を実感されていると。

田村:視聴者の方も感じてらっしゃるはずですが、「アニメ(の本数)が多い」という状況のなか、制作会社の数は増えていますが、実際に制作する人間の数はそれほど増えているわけではありません。ありがたいことにアニメ自体が注目されているので、作りたい会社さんは多くなってきて、企画の数は増えてきている。一方、アニメーターの数をはじめ、アニメ制作のあらゆるリソースがどんどん厳しくなっているのが現状だと思います。自分自身、作品を作っていて直面したことですが、例えば自分たちの作品でシナリオもコンテも終わっているけど、関係会社さんが前に抱えている作品をやっているため、僕らの作品に入れない。そうやって、ちょっとずつスケジュールが遅れていくみたいなことがあって、なかなかスケジュールをコントロールしきれない。自分の作品だけの問題ではなくなっているんですよね。しょっぱなから渋い話で申し訳ないのですが、ちょうどここにくるまでも、宣伝プロデューサーとそんな話をしていたところでして、2017年は本当にそうしたことを痛感した年でした。

――第二課の田中(翔)プロデューサーのお話にもありましたが、映像ソフトが売れなくなってきているなか、KADOKAWAさんの作品はテレビシリーズを先行して劇場にかけるなど、いろいろなことをやられている印象です。

田村:ビジネス面においては、一昨年から昨年にかけて制作した作品に比較的よいものが多く、テレビアニメ放送後、映画化していくスキームがうまくいきました。田中がいる第二課の「ノーゲーム・ノーライフ ゼロ」も、我々第一課が手がけた「プリズマ☆イリヤ」(「劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い」)も、おかげさまで非常に好評をいただけて。そういう意味では、お客さんのニーズにうまく応えることができたのかなと思っています。映像ソフトの売り上げが下がっているという話は、おそらくどこで話しても変わらない話だと自分は思っています。つい先日、シンガポールの「C3AFA」(「C3 AFA SINGAPORE 2017」)に行ってきたのですが、海外での日本アニメのニーズの伸び方は、バブルではなく、ある程度定着しているんですよね。90年代の「これからはジャパニメーションだ」と盛りあがったときとは違って、配信できちんと見ている人がいるという手ごたえが、すごくありました。今後はよりいっそう、日本のアニメをいろいろな国の人たちに見てもらう努力をしていかなければいけないと思っています。

――田村さんは、もともと「コンプティーク」「ガンダムエース」などの編集者をされていて、メディアとして伝える立場でもありました。長いスパンでアニメ業界を見てこられたと思いますが、ここ10年ぐらいの変化をどのように感じていますか。

田村:そうですねえ。ここ10年ぐらいの変化でいうと、やっぱり制作本数が膨大になってきたのが大きいと思います。僕らも作っている側ですが、そこは棚にあげてお話すると、作品数が増えて選択肢が広がりすぎたことによって、お客さんがどれを見たらいいのか分からないところまできている。そういったなかで、媒体(メディア)の方からの情報が、より大事になってくるのかなと。僕が媒体をやっていた頃は、紙がメインの時代で、もちろん今も紙媒体は頑張っているのですが、SNSの連動などもあって、ウェブ媒体の存在感がどんどん増してきているなと日々感じています。「情報を伝える」という意味において、インターネットがメインになっているのは明白だと思うので、そこに関しては僕らも、もっと活用していかなければいけないと考えています。そして、紙の媒体は、例えば版権のイラストをきれいに見せるなど、紙ならではの強みを生かして、うまく住みわけていく。そのあたりが、お客さんに作品を伝えるポイントなのかなと思っています。

――田中さんにもお聞きしましたが、第一課で現場のプロデューサーの方が企画をだされてくるさい、田村さんはどんな基準でジャッジをされているのでしょうか。出版社ならではの企画をされている印象があります。

田村:おっしゃるとおりですね。ウチは基本的に旧・角川書店系のアニメチームで、メディアファクトリーや電撃文庫のアスキー・メディアワークス、エンターブレインらが統合したKADOKAWAの出版物との連動を、まずは、いちばん大事に考えています。そのなかでも、KADOKAWAの強みであるライトノベルや漫画、そして「なろう系」(「小説家になろう」サイト投稿作品)の出版も強いので、そのあたりをメインに、各編集部の方と普段からコミュニケーションをとることを大事にしています。編集の方から、「これを売りたい」「これが売れている」という話を聞くのはもちろん、すでに結果がでているタイトルの情報をキャッチしたら、すぐに分析して出版と映像をうまく連動させていく。身内ですから、当然そういった情報は他のビデオメーカーより先に手に入れられますし、そこをきちんとやっていくのが僕らのテーマだと思っています。企画の選び方も、今申し上げたような流れで、これから売れるであろうものをチョイスしながら各プロデューサーが手がけていくという感じです。

――田村さん自身が手がけられた「ツインエンジェル」のように、自社の出版物が原作でないものもやられていますよね。

田村:担当するプロデューサーにやる気があって、スケジュールのコントロールさえうまくできれば、自社の原作にかぎらず、いろいろな作品をやっていけたらと思っています。

作品情報

BEATLESS

BEATLESS 54

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