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インタビュー 2018年1月5日(金)19:00

新春アニメプロデューサー放談(5)東宝 吉澤隆氏 「既存のフォーマットを一回疑ってみる」 (2)

「GODZILLA 怪獣惑星」ポスター

「GODZILLA 怪獣惑星」ポスター

(C) 2017 TOHO CO.,LTD.

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――東宝さんは劇場を使ったイベント上映を積極的にやるなど、ビジネスの枠組みとしても、いろいろ新しいことをやられていると思います。そうした点については、どうお考えですか。

吉澤:ネットにおされてテレビが厳しいみたいな話を聞くこともありますが、ネットとテレビはある意味、共棲(きょうせい)関係にあって、もはやどちらかだけで勝負する時代ではないと感じています。さっきの3DCGとセルの話と同じような感じかなと。なので、テレビアニメには、まだまだ可能性があると感じていますが、クールごとの本数が多くて、お客さんの時間の取りあいになっている状況はある。そのなかで、いかにお客さんにリーチしていくかを真剣に考えなければいけないなと思っています。これは企画の問題だけではなく、もしかしたらフォーマットの立てつけから見直さなければいけないのかもしれません。尊敬する同年代のプロデューサーが手がけた「リゼロ」(「Re:ゼロから始める異世界生活」)なんかは、第1話を60分でやっていて、ああいうことは僕も積極的にやっていきたいなと思っています。僕自身、「orange」という作品の最終話で同じようなことをやりましたので。

――なるほど。テレビアニメに可能性はあるけれど、これまでの形式を踏襲しなくてもいいのではないかと。

吉澤:1話あたりの尺を誰が20分に決めたかというと、編成上の都合が大きいのですが、例えばシリーズ構成の段階から、この話数は尺を増やしたほうがお客さんに刺さるとなれば、前もってテレビ局さんに交渉して、枠を空けていただくことも可能かもしれない。また、作品によりますが、第1話を20分で描くということは、けっこう難しいお題だと感じていまして、気を抜くと順番にキャラクターにカメラをあてたあとに、無理やり事件を繋げるだけの第1話ができあがりそうになるときも、僕なんかはあります。実写のドラマのように60分という尺のなかでキャラクターの紹介をして、きちんと次の話数の引きも作る枠組みがあってもいいと思います。
 全体の話数についても同じで、全12話や13話ではなく、原作によっては例えば全7話が適正かもしれない。そうやって既存のフォーマットを一回疑ってみることが、今は求められているのかもしれないと思っています。オープニングやエンディングの尺も同じですよね。誰が90秒に決めたんだっていう。

――言われてみると、たしかにそうですね。

吉澤:楽曲としても、テレビサイズでは、もしかしたら楽曲本来のいいところを切り取っているのかもしれない。そう考えていくと、いろいろきりがないのですが、少なくとも、前例がこうだからという理由だけで思考停止状態におちいるわけにはいかないと思っています。ただ、無理にやって作品が壊れてしまったら本末転倒ですので、自分としては、そういうことができる作品を作る機会を虎視眈々とねらっている感じです(笑)。

――2018年の展望について聞かせてください。

吉澤:今は過渡期といいますか、スタジオをふくめ、業界全体に疲労感が蓄積しているなと感じることが多いです。数年間に比べて、テレビシリーズに求められているクオリティも上がっていることも、ひとつの要因かもしれません。また、ビデオメーカー以外にも、いろいろと新しいプレイヤーが参入してきて、そういう方たちは、僕たちとは違った景色がみえているのかなと。18年以降は、例えばアニメファン以外のお客さんに向けたアニメとか、多様化な価値観から生まれた企画が、たくさんでてくると思います。そうした変化をポジティブにとらえて、業界全体の視野が広がっていくといいなと思っています。ただ、作品が多すぎる点については、1本1本をより丁寧に作っていきたいというニーズとは矛盾した方向に進んでいかざるをえないというか、誰かがやめても、他の人がそのぶん作ることになると思うんですよね。

――おっしゃるとおりだと思います。

吉澤:そこは変わらないと思うので、やっぱりそこに作り手の疲労感みたいなものは残ります。お客さんの側も、かぎられた時間を使って作品を鑑賞されますので、作品数が多いと疲労していく。アニメ映画はこれからますます増えていくと思いますし、テレビアニメも、おそらく数は減らないでしょう。そうやってお客さんの選択肢が増えること自体は、いいことだと思うんですけどね。

――作り手側の疲労感という話がでましたが、「GODZILLA 怪獣惑星」を制作するポリゴン・ピクチュアズは、海外のシリーズを制作した経験をいかして、非常にシステマチックな制作をされているという話をよくききます。「シドニアの騎士」の最初のシリーズなどは、普通は最終回直前まで制作しているところを、放送がはじまって早々に全話数を完成させていましたよね。実際にご一緒してみて、いかがでしたか。

吉澤:「GODZILLA 怪獣惑星」は、現場の皆さんの、いいものを作りたいという熱意で本当にギリギリまでやっていただいて、「シドニア」のときのように、かなり前に納品したってことはなかったですね(笑)。
 アニメスタジオを、よく工場に例える方もいらっしゃいますが、仮にそうだとして、他の業界の工場と決定的に違うのは、部品が機械ではなく人間なんです。「工場だ」「ラインだ」と言いきって作ることが、いちがいにあてはまらないのではないかと思うことがよくあります。そんななか、ポリゴンさんは、瀬下(寛之)監督のもと、メインプロダクションのラインとは別に、プリプロ専門のチームが中にあるんですよ。セルアニメの現場を見渡しても、そうしたプリプロ部隊がいるスタジオは、あまりないと思います。老舗のスタジオさんにあった文芸部など、今はほとんどなくなってしまいましたから。ポリゴンさんは、組織としてシステマチックにやっているだけでなく、そうした部門も抱えられている。だから、あれだけのフィルムが作れるのだと思います。

――最後に、5月に公開される「GODZILLA 決戦機動増殖都市」について、お話できる範囲で見どころを聞かせてください。

吉澤:より激化していくバトルシーンでしょうか。第1作「怪獣惑星」では、人類は体がむき出しで、ほとんど生身のホバーバイクにまたがり、土木建築用に開発されたパワードスーツに武器をもたせてゴジラに特攻作戦をしかけました。ありあわせの武器で戦わざるをえなかった彼らですが、第2章では、対ゴジラ戦略に有効な大きな武器を見つけることになります。はたしてそれがどのようなものなのか、そんなところを楽しみにしていただければと思います。

――続けて制作していくなかで、さらに映像面がパワーアップすることも期待しています。

吉澤:やっぱり作るのに慣れていくなかで、効率よくできるようになり、今までできなかったところにも手が届くみたいなことはでてくると思います。今、現場の皆さんが頑張って作っているところですが、アクションシーンの尺は「怪獣惑星」より長くなりそうでして……。

――大変そうですね。でも、楽しみです!

吉澤:かなり気合いをいれて作っています。ぜひ全3章を見ていただいて、アニメ版の「ゴジラ」を堪能していただければと思います。

作品情報

GODZILLA 決戦機動増殖都市

GODZILLA 決戦機動増殖都市 7

21 世紀初頭、人類はゴジラに蹂躙された地球に多くの人命を残し、選ばれし者達だけで恒星間移民船・アラトラム号に乗って移住可能な「約束の地=タウ星 e」を目指した。しかし計画は失敗し、人類は再び地...

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