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インタビュー 2018年9月28日(金)19:00

神谷浩史&井上和彦「夏目友人帳」との10年間 スタッフ&キャストの思いが結実した劇場版 (2)

■劇場版への不安を払拭した、純度の高い脚本

――アニメ化10周年の節目に制作された、シリーズ初の劇場版。台本を初めて読んだ時、どのような感想を抱きましたか。

(C) 緑川ゆき・白泉社/夏目友人帳プロジェクト

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神谷:完全オリジナルストーリーということもあり、不安に感じる部分もありました。緑川先生以外の方が「夏目友人帳」の世界を表現するということに対するハードルの高さも感じていました。でも台本を読むと、なんの違和感もなくすっと入ってくるような内容で、オリジナルストーリーであることを忘れて読んでしまいました。

井上:とても自然で、無理なところがまったくない。なんの違和感もなかった。ただ「ニャンコ先生、3匹になるのか。大変だなあ。誰がやるんだろう……あ、俺か」みたいな思いはありました(笑)。

――(笑)。おっしゃる通り、今作ではニャンコ先生が3匹に分裂した「トリプルニャンコ先生」が登場しますが、ニャンコ先生1~3号をどのように演じ分けたのでしょうか。

井上:1号、2号、3号の役割というか、性格の住み分けがあるので、その辺は若干意識しましたが、実際演じている時はそこまで(演じ分けることを)意識しませんでした。ただ、声のトーンは一番つらいところでした(笑)。トリプルニャンコ先生は、最初は(言葉を)しゃべらないので、そこをどう表現しようかなと。第一声は、見ている方がキュンとして、かわいいと思ってもらえたらうれしいなと思いながら演じました。

■劇場版の醍醐味 キャラの心に寄り添う“ゆるやかな時間”と豪華ゲスト声優

――今作は、謎の妖が潜む町を訪れた夏目が、祖母レイコと面識のある切り絵作家の女性・津村容莉枝、その息子・椋雄に出会ったことから、物語の幕が上がります。今作において「劇場版ならではの要素」はどこにあると思われますか。

津村容莉枝(CV:島本須美)

津村容莉枝(CV:島本須美

(C) 緑川ゆき・白泉社/夏目友人帳プロジェクト

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井上:せせこましくない(笑)。テレビシリーズでは(短い尺に)収めなくてはいけないような描写を、劇場版では時間をかけてきっちり描いています。例えば容莉枝さんが木の前に座り、悲しみのあまり膝をつく場面。容莉枝さんが立ち上がるまでの間がすごく長いのですが、その間が成立しちゃう。“心の間”がきちんと描かれています。

神谷:テレビシリーズは、1話で完結するものでないと今の視聴スタイルには合わなくなってきています。本来であれば、時間をかけて前後編や前中後編で描かなければならないエピソードを、30分というフォーマットに落とし込んでいるため、セリフ、モノローグ、ナレーションを瞬時に切り替えて表現しなければいけませんでした。

でも劇場版は、(キャラクターの)気持ちの切り替えを、時間をかけて描いているので、それに合わせていけば自然と“音”が出てくる。気持ちに寄り添う映像作りになっていたので、とても心地良いなかでアフレコができました。

――劇場版といえば、豪華なゲスト声優。今作では、容莉枝役の島本須美さん、椋雄役の高良健吾さんをはじめ、お笑いコンビ「バイきんぐ」、村瀬歩さんが出演しています。

椋雄(CV:高良健吾)

椋雄(CV:高良健吾)

(C) 緑川ゆき・白泉社/夏目友人帳プロジェクト

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神谷:俳優さんや芸人さんが出演するのは、劇場版ならではですよね。高良さんが出演された劇場アニメを拝見していたので、巧みな方だということは存じ上げていました。椋雄というキャラクターがとても自然に、同時にとても不自然に存在していて、不思議な存在感を放っていました。そして、それを受け入れる容莉枝さん。島本須美さんが演じた容莉枝という役は、テレビシリーズの第1話からいたのではと思うくらい自然に存在していました。

■シリーズが10年続いた「ひとつの答えが劇場版」

――「夏目友人帳」を応援し続けているファン、劇場版をご覧になる方に向けてメッセージをお願いします。

(C) 緑川ゆき・白泉社/夏目友人帳プロジェクト

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井上:「夏目友人帳」の持っている優しさ、そういったものをたくさん感じてください。この映画を見ると「生きるってどういうことなんだろう」と考えるんです。「自分がいなくなった時ってどうなるんだろう」とか、「人の記憶のなかに残りたいな」というようなことを思うようになったんですよね。いろんなことを感じていただけたらうれしいなと思います。

神谷:絶対的に自信のある劇場版ができたので、「夏目友人帳」をご存じの方には「劇場に足を運んでください」くらいしか言うことはなくて。まったく知らないという方、なんとなく知っているという方に向けて言うべきことがあるとすれば、「『夏目友人帳』というアニメーションを10年やらせていただいています、原作漫画はもっと続いています。なぜこんなに続いているのかということに対する、ひとつの答えが劇場版だと思っています」と。「夏目友人帳」のいろんな要素が104分という時間に詰まっています。1コマ、一言、1シーン、もしくは全部かもしれない……どこかに刺さるところ、感じる部分があると思うし、あってほしい。

劇場版で初めて「夏目友人帳」を見る方に、何かを感じ取っていただけたら本当にうれしい。もしも感じ取ることができなかったとしても、テレビシリーズをひも解いていけば、琴線に触れるエピソードが必ずあるはず。そうなった時、全てのエピソードが急に輝いて見えるようになると思う。そんな不思議な体験を提供できるきっかけが、劇場版なのだと思います。

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作品情報

劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~

劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~ 18

小さい頃から、他の人には見えない妖(あやかし)を目に映すことができた夏目貴志。亡き祖母レイコが勝負をしかけ、負かした妖に名前を書かせた契約書の束「友人帳」を継いで以来、自称用心棒・ニャンコ先生と...

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