2024年4月24日(水)19:00
「ルプなな」インタビューこぼれ話【「ルプなな」リレーインタビュー最終回】
シリーズ形式でお届けしている、テレビアニメ「ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する」のリレーインタビュー。最終回の第14回では、各位が取材時に語っていたものの、放送日程の関係などで掲載されなかった言葉の数々に着目。それら「こぼれ話」を紹介する。(取材・構成:揚田カツオ)
●原作者・雨川透子インタビューより
運命の敵同士であるリーシェとアルノルトだが、2人の距離が縮まり、「イチャイチャする」シーンがアニメ版で存在するのか、話を聞いた。
(C)雨川透子・オーバーラップ/ループ 7 回目製作委員会
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――リーシェとアルノルトの2人がイチャイチャするシーンも見られるのでしょうか。
雨川:イチャイチャします。
――はい。
雨川:イチャイチャ……する。
――(笑)
雨川:原作小説1巻の範囲内でキスシーンがあるのですが、小説ではこの場面で、リーシェの心の動きを読者さまに見えるようには描写しませんでした。距離が近いキスシーンであっても、イチャイチャした感じは出さないようにとおさえたのですが、アニメでもどちらかというと神聖なシーンとして描いていただいているように感じます。
そしてこのシーンを書いて、主人公の心情をどのくらい描写するかで、読んでくださる方々の心情もかなり変わってくるという手応えを感じました。
原作小説2巻のラストではその学びをいかして、イチャイチャを存分に書きこんだのですが、アニメでとても素敵なシーンにしていただいています。すごくイチャイチャします!
●チーフプロデューサー・上間康弘インタビューより
サブキャラクターのキャストについて話を聞いた。
(C)雨川透子・オーバーラップ/ループ 7 回目製作委員会
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――長谷川育美さん、島崎信長さん以外のゲストキャラクターについて、上間さんからの提言はあったのですか。
上間:むしろゲストキャラクターのほうが、わりと強めに意見を言うほうなんです。そこをおろそかにすると、細部に神が宿らないと言いますか……。たとえば宝石商のミヒャエラは、自分から冬馬(由美)さんにお願いしたいとお話ししたんです。
――そうだったんですね。どのような理由でキャスティングに至ったのですか。
上間:ミヒャエラは、お城にも出入りしていて、王妃とも渡り合っていた強さと品のよさを持つ人で。貴族諸侯からも一目を置かれるほどの才覚や人徳、そして流儀のある人なのだろうと。それが表現できる方にお願いしたくて、ご縁あって冬馬さんにお引き受けいただいたんです。
――なるほど。そういう意味では非常に適したキャスティングでした。
上間:あと、思考の過程で(「機動戦士ガンダムF91」の)セシリー・フェアチャイルド役を思いおこしまして。侯爵家つながりではなかったでしたっけ。
――(笑)。ほかに後半の配役では、ローヴァイン役の井上和彦さんにも驚かされました。
(C)雨川透子・オーバーラップ/ループ 7 回目製作委員会
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上間:井上さんは、(アニメーションプロデューサーの)HORNETSの八田(正宣)さんがぜひにと。井上さんの初回アフレコの第一声で、アフレコブースのこちら(調整室)側全員の息をのむ音が聞こえるんですよ。身がすくむ、と言いますか。これに応えられる画づくりをしなければならないと。
――いい意味で、ある種のプレッシャーがあったんですね。
上間:音響監督の森下(広人)さんが我々絵作りチームに居直って目で語るんですよ。「こんなのをいただきましたけど、皆さん大丈夫ですか?」って(笑)。ゾクゾクしましたね。
――それぐらい素晴らしいお芝居だった。
上間 そうなんです。ローヴァインも、ほかのキャラクターたちと同様にハードボイルドな生き様のキャラクターだと思っていて。演歌と言い換えてもいいかもしれない。だからお芝居に説得力が必要で。井上さんが受けてくださって本当にありがたかったです。
●アルノルト・ハイン役・島崎信長インタビューより
「アフレコではとくに物語後半のカイルとのやりとりが印象的だった」と言う島崎さん。どのような点に面白さを見出したのかを聞いた。
(C)雨川透子・オーバーラップ/ループ 7 回目製作委員会
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――アフレコ後半のカイルとの掛け合いが印象的だったとのことでしたが、9話や11話での会話ですか。
島崎:そうですね。本当にすごくイラッとしたんですよ。
――アルノルトとして、カイルに苛立ちを覚えたんですか。
島崎:カイルってまっすぐなんですよね。言っていることも、志も、間違っているわけではない。だからこそ視聴者側からは、アルノルトが少し悪くも見えると思うのですが、ちゃんとアルノルトにはアルノルトの正義があるんです。カイルの覚悟や思考の足りなさについて、「お前の一挙手一投足で国が傾くんだぞ」という苛立ちがすごくあって。アルノルトにしては珍しいですし、面白かったですね。年齢設定がある程度近いのもあって、より(苛立ちが)出たのかなって。
――そうかもしれないですね。
島崎:軍務伯といった年齢も上の人を冷たく切り捨てたりとか、逆に上手に流したりすることもありますが、カイルにはもう少し愛をぶつけていたように思うんです。だって、事務的に対応してもよかったわけじゃないですか。「こいつダメだ」で何も言わずに立ち去っても不思議じゃないところを、怒りや苛立ちをあらわにしたりするのは、やっぱりどこか引っかかるものがアルノルト側にもあったからだと思うんです。期待してなかったら、そもそも怒らないですよ。だからあれは(アルノルトの感情が)こぼれちゃっているんでしょうね。皇太子の立場にいるアルノルトが、リーシェ以外の人間にどこか感情も出ていた。そういうのは、演っていて面白いし、本当によかったです。
また福原(かつみ)さんのお芝居が若々しくまっすぐで。自分の想定を超えていたんですよ。すごくイライラしたもん(笑)。現実って、理想だけじゃ進めないから。最善ではなく最良の未来を目指すため、異常なくらい突き詰めて生きてきた人がアルノルトで。とはいえアルノルトも、カイルのような純粋さが初心にはあったはずだと思いますし。だからこそ、彼の気持ちもどこかでわかるんでしょうね。
……あ、ごめんなさい。いまのはあくまで僕の解釈ですよ! 設定でそう書いてあったりしたわけじゃなくて。僕はそう思ってイラッとしていたんです(笑)
●美術設定・滝沢麻菜美、美術ボード・金井眞悟インタビューより
離宮の厨房、宝石店、ミシェルがいる花園について、それぞれ話を聞いた。
(C)雨川透子・オーバーラップ/ループ 7 回目製作委員会
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――4話でリーシェとアルノルトが食事をする離宮の厨房についてお聞かせください。
金井:ここはそもそも偉い人が来る想定の構造になっていないんです。それで全体がちょっと薄暗いのですが、これはあとから全体を少し明るくしたんですよね。本来は窓が小さくて、光源が入ってこないはずなんです。
――なるほど。光源がしっかりあること自体がおかしいから、むしろ全体を明るくしたんですね。
金井:そうです。入射光だけにすると、全員影中でずっと暗い芝居が続いてしまうので、修正されたんです。こんなふうに部屋を使う人の身分によっても美術に変化をつけていたんですよね。
(C)雨川透子・オーバーラップ/ループ 7 回目製作委員会
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――8話に登場する宝石店についてお聞かせください。
金井:宝石店は手元の宝石を見せたいから、本来は明るい場所なのですが、あえて暗めにしているんです。原作からそうなのですが、半地下になっているので、その設定をうまく利用していて。「ひっそりやっている割に明確に違う感じ」を出したつもりなんです。貴族がやっているお店想定と監督はおっしゃっていて。いくつか置いてあるものは王城のそれよりお金がかかっているぐらいでいいと。キラキラさせないけど豪華な感じと言われてやりました。カウンターなんかは重くて、普通の家に置いたら底が抜けそうな感じですが(笑)
(C)雨川透子・オーバーラップ/ループ 7 回目製作委員会
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――11話ラストから12話前半でミシェルがいる花園についてお聞かせください。
金井:ここも非常に監督がこだわられていたんですよ。花の種類も監督がきっちり設定で詰められていて、資料として花を全部貼ってくださっていて。自分も大事な場所として、ボードの段階から情報量を入れこむように意識しました。また、これも監督のこだわりですが、光源からの光が及ぼす範囲をあえて狭くして、キャラクターには当てないようにしていましたね。
「ルプなな」リレーインタビュー
[筆者紹介]
揚田 カツオ(アゲタ カツオ) テレビアニメ「ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する」のリレーインタビューの取材・構成を担当。
作品情報
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ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する
公爵令嬢リーシェ・イルムガルド・ヴェルツナーには秘密があった。それは『20 歳で命を落としては5年前の婚約破棄の瞬間に戻る』こと。商人、薬師、侍女、騎士など様々な生き方を存分に満喫してきたが、7...
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