2020年9月10日（木）19:00

「映画クレヨンしんちゃん」神谷浩史が明かす、役へと導いた“つながり”や“受け継いだもの”

「映画クレヨンしんちゃん」神谷浩史インタビュー

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テレビアニメ「クレヨンしんちゃん」の2016年5月13日放送回で、人気キャラクター・ぶりぶりざえもんが16年ぶりに声を発した――。同キャラクターのキャストが神谷浩史に引き継がれてから約4年。劇場版シリーズ最新作「映画クレヨンしんちゃん激突！ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」で、スクリーンにもぶりぶりざえもんが帰ってきた。劇場版への参加を心待ちにしていたという神谷に話を聞くと、出演のよろこびや今作の見どころはもちろん、“2代目ぶりぶりざえもん”という重責とどのように向き合ってきたのか、演じるうえでの心境の変化や“現場で受け継いだもの”を教えてくれた。（取材・文・写真／編集部）

“2代目ぶりぶりざえもん”までの道すじ
「人と人とのつながりでたどり着いた役」

――ぶりぶりざえもん役をバトンタッチしてから4年経ちましたが、今現在、どのような心境で演じていらっしゃいますか。

(C)臼井儀人／双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020

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楽しいですね。ぶりぶりざえもんを任せていただいた当初は、プレッシャーがひどすぎて、楽しくなかったですが（笑）。16年間一言もしゃべらず、誰もが「そういうもんだ」と思っていたなかで急にしゃべりはじめたので、「どういう風に演じたらいいんだろう」という思いがありました。また弊社（青二プロダクション）の大先輩である塩沢兼人さんが担っていた役なので、任せていただいてありがたいのと同時に「どうアプローチすればいいんだろう」と。でも、今「しんちゃん」を楽しんでくれている子どもたちは、僕が演じるぶりぶりざえもんがスタンダードになっていく。だから、僕が悩みながら、卑屈になりながらやっていてもしょうがないなと思いましたし、ムトウ（ユージ）監督が「君が好きにやればいいよ」と背中を押してくれました。今となっては楽しくてしょうがないですね。大人が子どもに向けて真剣に作っている作品って、エネルギーがいるし（演じていて）楽しいんです。

――どのような役作りをされているのでしょうか。

(C)臼井儀人／双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020

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ぶりぶりざえもんって中身はとてもかっこいいんです。自称貴族出身で品が良く、だけど見た目がブタという（笑）。そのうえ裸にタイツ、ちとせ飴を腰に下げてますから（笑）。だからなんでこういう役作りになったのかわからないんですよね。オーディションでは、兼人さんがやっていらしてものを踏襲しながら、プラスアルファ「僕がやるからにはこういうものを足していこう」みたいな流れで今の役作りになったので、ベーシックな部分は兼人さんがやってらしたものがあります。だから、「兼人さん、なんでこういう役作りをしたんですか？」って聞きたいです。

ヒントとしては、「よんでますよ、アザゼルさん。」という作品でベルゼブブ優一という役をやらせていただいた時、水島努監督に「もっとかっこよくやってください」と言われたんです。だいぶ経ってから「なんでああいう役作りにしろって言ったの？」と聞いたら、「僕にとってベルゼブブ優一はぶりぶりざえもんなんです」と言われて、「見た目なりの芝居」ではなく「見た目とはまったく違う芝居」をさせることの面白さを水島監督はほしがったんだなと。その後に「しんちゃん」のお話をいただいたという流れがあったので、この役に関しては、この業界で築いた信頼関係、人とのつながりがあるなと思っています。

「つながり」という意味では、初めてレギュラーをいただいた「コレクター・ユイ」の監督だったムトウユージさんがテレビシリーズの「しんちゃん」の監督だったというつながりもあります。これまでの自分のキャリア、人と人とのつながりでたどり着いた役だと思っているので、すごく大切な役です。