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特集・コラム 2019年1月1日(火)19:00

【明田川進の「音物語」】新春特別編 僕が見てきた映画

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あけましておめでとうございます。今回は編集部からのリクエストで、いつもとは趣向を変えて僕が見てきた映画についてお話したいと思います。

僕は自宅で月に20~30本ぐらい映画を見ています。ブルーレイやDVDを買って見ることが圧倒的に多くて、新作は会社にもっていって仕事用のライブラリにしています。僕が外で教えるときに、「この映画のこんな部分が面白かったよ」と説明するときに見せるときにも役立っています。

お勧めを挙げるとキリがありませんが、わりと人に言うのは「アラビアのロレンス」(1962)や「ゴッドファーザー」3部作(1972~90)でしょうか。どちらも大変な製作費をかけて当時の舞台やファッションを再現していて、いい役者の素晴らしい演技を見ることができる、今ではなかなかないタイプの映画だと思います。りんたろうがよく言っていましたが、日の出や日の入りのいい場面がほしいと思ったとき、今の映画ならCGでいくらでもできてしまいますが、当時の映画でそれを撮るためには何日も待つしかないわけです。そうした手間をかけたからこその壮大さや美しさは、当時の映画ならではの醍醐味ではないかと思います。「アラビアのロレンス」は4時間近くありますが、機会があったらぜひ見てもらいたいです。

最近の映画だと、アカデミー賞をとった「アーティスト」(2011)はよかったですね。セリフが一切なく、映像だけで意味合いを伝えていく昔の映画によくあった表現が用いられていて、ああした手法はアニメーターの仕事にも通じるところがあるんじゃないかと思います。授業の教材にもよく使っていて、アニメの仕事を目指している人に見てほしい1本です。

学生のときに見て衝撃をうけたアニメといえば、やはり「ファンタジア」(1940)になります。その前に学校の映画教室みたいなところで野外上映された「バンビ」(1942)を見てすごいと思い、次に見たのがこの作品でした。映像と音がシンクロしているのが本当に素晴らしくて、アニメでこんなことができるんだと思いました。振り返ると、この映画を見たことがアニメの道に進むきっかけになっていると思います。

国内の映画だと、「人間の條件」(1959~61)などが強烈に印象に残っています。あと、やっぱり黒澤明さんの映画ですかね。今挙げたものとは毛色が違いますが、虫プロ時代には高倉健さんや鶴田浩二さんがでている東映のヤクザものをたくさん見ていました。どの作品も大体同じパターンなのですが最後の格好よさが見たくて、満杯の劇場によく足を運んでいました。一連の作品で深作欣二さんの演出の面白さを知りましたし、沢島忠さんという監督がつくるものもアクションが面白くて好きでした。大島渚さんが白土三平さんの「忍者武芸帳」の漫画を撮った映画(1967)も面白かったですね。あれは、アニメーターではない実写の人のつくり方だなと思いました。

今度新作(※「男はつらいよ50周年プロジェクト」)がつくられる山田洋次さんの「男はつらいよ」シリーズも全部見ています。これも東映ヤクザものと一緒で型は毎回同じなのですが、つくりこみの素晴らしさと、渥美清さんをはじめとする役者の人たちが亡くなるまで出続けたことにすごみを感じます。今年で平成の元号が終わりますが、同時代で見てきた役者や監督がどんどんいなくなっていくことを、さみしく思うことがあります。

明田川 進

明田川進の「音物語」

[筆者紹介]
明田川 進(アケタガワ ススム)
マジックカプセル代表取締役社長、日本音声製作者連盟理事。日本のアニメ黎明期から音の現場に携わり続け、音響監督を手がけた作品は「リボンの騎士」「AKIRA」「銀河英雄伝説」「カスミン」など多数。

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