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特集・コラム 2019年6月20日(木)19:00

【明田川進の「音物語」】第25回 「AKIRA」で描かれた“未来”の2019年を迎えて

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「AKIRA」で描かれた“未来”が2019年です。まさか現実でも東京オリンピックが開催されることになるとは思いませんでした。他にも作品で描かれていることがシンクロしているようなところがあって、大友克洋さんはすごい人だとあらためて感じています。これまで何度かふれていますが、あらためて音響監督を担当した「AKIRA」を振り返ってみたいと思います。

大友さんとの関わりは、大友さんがキャラクターデザインを手がけた「幻魔大戦」(1983)からです。「AKIRA」がアニメになることをはじめて聞いたのは、当時、東京ムービー新社(現トムス・エンタテインメント)にいて、のちにテレコム(・アニメーションフィルム)の社長もやられた竹内孝次さんから一度会ってほしいと言われ、「実は大友さんの作品でこういうものをやるのだけれど」と聞いたのが最初だったと思います。その後、吉祥寺の喫茶店で大友さんと音の打ち合わせをしたときに「レクイエム」というキーワードをいただき、僕から芸能山城組に音楽をやってもらうことを提案した話 は以前しました。

山城祥二先生との仕事は、僕にとって大きな経験でした。話をしていくなかでこれまでの音づくりや、映像への音の付け方にたいする考えが一度ゼロになり、いろいろなことを考えさせられました。山城先生の音楽づくりは従来の作曲のセオリーとは大きくちがっていて、当時は「音楽ではない」という言い方をしていた人もいたぐらいです。音自体が人間の脳に与える影響を独自に研究しながらできあがった音がたくさんあって、先生はそれを「ハイパーソニック・エフェクト」と呼んでいます。僕自身なんだかよく分からないけれど聴いているだけで心地よくなってくるという不思議な体験を何度もしました。

山城先生の率いる芸能山城組には、普段は学校の先生や市役所の職員、広告代理店に勤めている人などもいて、いざ「AKIRA」の音楽をやるとなったら全国各地から集まってくるんです。だから、録音するのは夜なんですよね。夜から朝方までかけてやっていました。

「AKIRA」は映像ソフトを出すたびに音楽と効果音をつくり直していますが、山城先生のなかでは自分の音楽がまだ完全に「AKIRA」の映像のなかでだしきれていないとの思いがあるようです。ひょっとしたら、いずれまた音をつくりなおすことがあるかもしれません。

明田川 進

明田川進の「音物語」

[筆者紹介]
明田川 進(アケタガワ ススム)
マジックカプセル代表取締役社長、日本音声製作者連盟理事。日本のアニメ黎明期から音の現場に携わり続け、音響監督を手がけた作品は「リボンの騎士」「AKIRA」「銀河英雄伝説」「カスミン」など多数。

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