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特集・コラム 2020年12月17日(木)19:00

【明田川進の「音物語」】第44回 「ポプテピピック」と芝居を変える難しさ

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編集部の方に勧められてアニメ「ポプテピピック」を見ました。こんなにマニアックなものがよくオンエアできたなと驚きながらも面白いなと思いました(編注:明田川さんにはテレビスペシャルのブルーレイを見ていただきました)。

以前アドリブの話をしたときに(https://anime.eiga.com/news/column/aketagawa_oto/111730/ )、この作品のことが話題にあがりました。そのとき、僕が声優事務所の新人たちに行っている授業と似ているねという話になったんです。

見はじめたときはキャラクターの部分でやや入りこみにくいところがありましたが、すぐに慣れて役者の皆さんの演技を楽しむことができました。誰も同じパターンでやろうと思っていなくて、アドリブを交えながら自分のカラーを出していく面白い芝居が多かったです。また、「この人だったらこうやるだろう」というセルフイメージさえも裏切っていく、普段とはまったく違うかたちで演じている方も多かったと感じました。記号的なキャラクターだからこそ、どんなふうにやっても成立させられるし、そうしたことを大いにやったほうが面白みがでてくる作品ですよね。

僕の授業では完パケした映像をもとに、男女関係なくみんなにすべてのキャラクターを持ちまわりで演じてもらっています(https://anime.eiga.com/news/column/aketagawa_oto/106956/ )。そうすると、最初の人がやった演技を参考に「その人にならえ」となってしまうことが多いんです。そこで、自分なりにこのキャラクターはこうだと考えて演じていく人は面白くなっていくんですけどね。

それぐらい芝居を変えるのは難しくて、まず自分がもったイメージから変えようという意識をもち、そしてそこから実際に変えていくというのは本当に大変なことです。「ポプテピピック」では、プロ中のプロの方々が同じ映像をもとに、自分ならではの芝居をやりたいようにやっているものを沢山のパターンで聴くことができます。声の仕事を目指している人には勉強になるでしょうし、実際に自分でやってみる良い素材にもなると思います。

明田川 進

明田川進の「音物語」

[筆者紹介]
明田川 進(アケタガワ ススム)
マジックカプセル代表取締役社長、日本音声製作者連盟理事。日本のアニメ黎明期から音の現場に携わり続け、音響監督を手がけた作品は「リボンの騎士」「AKIRA」「銀河英雄伝説」「カスミン」など多数。

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