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特集・コラム 2019年10月19日(土)19:00

「全日本模型ホビーショー」Figure-rise LABO 南ことりに見る美少女プラモデルの活況と進化

9月末に東京ビッグサイトで開催された「全日本模型ホビーショー」では、例年のごとく各種プラモデルの新製品が発表されています。市場の中心であるガンプラはもちろん、ミリタリー系やラジコン、エアガンなどなど、多種多様なものが発表されていますが、そんな中、この数年で存在感を大きく増してきているのが、美少女をモチーフにしたプラモデル。今回、定番のシリーズに加えて驚きのアイテムの発表などもありました。そのあたりをピックアップして、現在の情勢をお送りしましょう。

美少女可動プラモデル市場そのものを生み出したと言っても良いコトブキヤ。「フレームアームズ・ガール」「メガミデバイス」「アリス・ギア・アイギス」など、新作がいろいろと展示されています。

マックスファクトリーは「Guilty Proncess」と「プロジェクト天空騎士」という、それぞれTony氏、あきまん氏と組んだプロジェクトを展開。

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グッドスマイルカンパニーのPVC製フィギュアとプラモデルを組み合わせた「ミオ & Type15 Ver.2」。

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ウェーブブースには、中国で生まれた美少女可動プラモデルの展示が行われていました。

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ホビーべースのフィギュア自作の素材になるボディパーツは種類が揃ってきました。

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アオシマのバルキリー少女シリーズはコンスタントに新作が発表されています。

とまあ、このジャンル自体はますますの活況を見せているのですが、そんな中でも一番気になる展示を行っていたのが、BANDAI SPIRITSブース。
 ガンプラを中心にして多数のアイテムが並んでいるのですが、こちら的に大注目はFigure-rise LABOの「ラブライブ!」南ことりのプラモデル。ホビーショーの数日前にウェブサイトで写真とともに簡単な情報が発表されたものです。

Figure-rise LABOは毎作、ある種実験的な技術を投入して、これまでのプラモデルでは出来なかった表現を実現してきました。1作目の「ガンダムビルドダイバーズ」のホシノフミナで赤みを帯びた肌を再現し、2作目の初音ミクではクリアーパーツとのグラデーションを再現しています。
 そしてこの3作目、ことりでテーマとなっているのは衣装。これまでのFigure-rise LABOが水着とミクのコスチュームという身体のラインが出ているものだったのに対して、今回のことりの衣装はふんわりと膨らんだシルエットになっています。さらに、衣装もアクセサリーも非常に細かい装飾が入っているのが特徴。これはこれまで数々の「ラブライブ!」フィギュアを出してきたアルターの原型協力のもと製作されているのです。
 「ラブライブ!」を始めとするアイドルもののアルターのフィギュアは、その造形の細かさと塗装の精細さは群を抜いていて、肉眼では判別できない(撮った写真を拡大してやっとわかる)とさえ言えるレベルのものを送り出しています。そのアルターの原型をどのようにプラモデルにしたのか、興味は尽きませんでした。

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ということで会場にあったのがこちら。展示してあったものは塗装見本品ですが、顔パーツとスカート背面のクリアーパーツに関しては製品と同じ素材を使ったテストショットでした。

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プラモデルのポーズはホビーショーのイメージガールイラストをもとにしています。

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衣装には花やリボンなど飾りがいっぱい! このプラモデルは基本的に塗装せず組み立てるだけで完成するというのが基本(一部シールを使う場合もあります)なので、流石にアルターのフィギュアのような細部の塗り分けはありませんが、スカートに入ったシワなど造形も非常に細かいものになっています。

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風船、服、肌とそれぞれ異なる艶ですが、現在のバンダイのプラモデル技術なら未塗装のパーツを組み立てるだけでこれを完全に再現できるのです。

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各所に使用されているクリアーパーツは非常に効果的(スカートの下にちらりと見える部分とか)。さらに背中の大きなクリアーパーツは偏光パール差材を使用しています。前述の通り、このパーツは実際の製品版と同じ素材での展示なのですが、独特の輝きは一見の価値あり。さらに彫刻も細かく施されています。

各タイトルでの研究テーマとは別個に、Figure-rise LABOシリーズそのものの最注目ポイントなのがその瞳パーツ。フィギュアを自分で塗るときの最難関となるのが細かい瞳の塗装ですが、Figure-rise LABOではそれを成形で再現しているのです。クリアー含め何色もの成形色のパーツを組み合わせるという驚きのこの技術、ことりではさらに進化しています。瞳内の白のハイライト部分、ここがグラデーションでぼけている表現を実現しているのです。
 また、肌色パーツの下に赤を成形で重ねるという技術を使って、頬の赤みの表現も塗装抜きで再現。さらに美少女キャラの定番表現である目の下に入るタッチまで入っている事にも注目! これ、ゼロコンマミリ単位の細さなのです。

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現時点の最新作であることりの他に、肌の赤みを研究テーマにした第1作のフミナ、グラデーションをテーマにした初音ミクの展示もありました。さらに、写真撮影はNGでしたが、可動性能の高さをうたうFigure-rise Standardの「ソードアート・オンライン」アスナも。
 これら一連の美少女プラモデルのもうひとつの大きな注目ポイントとして、その価格の安さということもあります。現在のPVC製完成品フィギュアは一般的な1/8スケールのもので、1万円台半ばからヘタすれば後半。それに対してFigure-rise LABOは6000円程度。さらに、1/12スケールのPVC製可動フィギュアは7000~8000円(ものによっては1万円越え)のところ、Figure-rise Standardのアスナは3000円。なお、他社の同スケールの美少女可動プラモデルは5000円程度なので、その価格の安さは一段と驚異的(他メーカーにとっては脅威)なことでもあるのです。

バンダイブース内には他に気になるアイテムも。

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「Fate/Grand Order」のデフォルメキャラのプラモデル「ぷちりっつ」もシリーズ展開中。新作としてマスター/女主人公とセイバー/宮本武蔵を展示。

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「スター・ウォーズ」のキャラプラモデルでは、プラパーツそのものに精細なプリントを行ったものが。Figure-rise LABOの瞳はある程度の大きさがないと作れないのですが、この方式だと1/12スケールくらいの大きさの顔パーツも実現可能。そのうち美少女系で使われないかなぁと期待しているのですが……。

プラモデルを中心に展開するホビー事業部と、フィギュアを中心に展開するコレクターズ事業部の合作によるオリジナル商品の「HG蒼流丸」と「S.H.Figuarts TAMASHII GIRL AOI」。ロボと美少女を組み合わせて遊ぶことができます。昔は別事業部だと別会社のようなものと揶揄されるくらい、部署間での連動はあまりなかったのですが、こういった商品が出るようになったのは面白いところですし、今後どうなっていくのか楽しみです。

実験的な技術研究の積み重ねが行えたり、商品への独特の取り組みが行えたりするというのは、バンダイだからこその強さ。このノウハウの集積によって、どのような商品が生まれ、どのような市場が創設されるのか、注目したいところでもあるのです。

島谷 光弘

ホビー&フィギュア トレンド

[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ)
フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。

作品情報

ラブライブ! School idol project

ラブライブ! School idol project 50

ここは東京、千代田区。秋葉原と神田と神保町という3つの街のはざまに――統廃合の危機に瀕した1つの学校がある。進化し続ける最新カルチャーの街・秋葉原と、歴史と伝統の街・神田、そして静かな大人の本の...

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