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特集・コラム 2020年2月8日(土)19:00

【藤津亮太の「新・主人公の条件」】第14回 「スター☆トゥインクルプリキュア」星奈ひかる

(C) ABC-A・東映アニメーション

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キッズアニメの主人公には「典型的な性格」というのがある。成績はイマイチだけど、明るくてわけへだてのない性格。おっちょこちょいだけれど、一番大事なことは見失わない。なにより、いつも元気いっぱい。こういう性格だからこそ、視聴者の共感を呼び、物語を牽引することができる。もちろん作品ごとにいろいろな差異はあるが、その差異も、こうした「典型」があればこそだ。「スター☆トゥインクルプリキュア」の星奈ひかるもこの「典型」から生まれた主人公のうちのひとりだ。
 「スター☆トゥインクルプリキュア」はタイトルの通り“星”をモチーフにしたプリキュア。本作はその“星”というモチーフに対してぐっと踏み込み、プリキュア5人のうち2人が宇宙人という大胆な設定を採用した。宇宙人が登場する以上、宇宙(我々の宇宙よりはるか遠方にある宇宙“星空界”が主に舞台になる)も登場する。歴代の中でも異色の設定といえる。
 ひかるはそんな「プリキュア」の主人公にふさわしく、幼いころから星座と宇宙に興味があり、さらに父親の影響などでUMA、オカルトなどにも詳しいという設定だ。
 だが、ひかるを本作の主人公たらしめているのはこの設定ではない。この設定が、ひかるの性格と見事に結びついて、作品の主題を浮かび上がらせているからこそ、ひかるは本作の主人公なのだ。
 ひかるが好きなものは“未知の世界”に属するものが中心だ。そしてひかるは典型的な主人公タイプなので、わけへだてをすることがない。つまり“未知のもの”をそのまま受けとめることができるのがひかるというキャラクターなのだ。ひかるのこの姿勢は、第1話で宇宙人ララと出会った時から一貫している。第8話ではじめて星空界に赴き、イヌによく似た宇宙人の住むケンネル星でその星独特の挨拶(吠えた後に逆立ちして名乗るというもの)を、無理矢理にでも真似しようとしたことからも、彼女の性格はよくわかる。
 彼女のように“未知の世界”を受け入れるには想像力が不可欠だ。“未知の世界”はどのようなものであるのかを、ワクワク、ドキドキしながら考える力。本作で「イマジネーション」がキーワードとして使われているのは、ここに理由がある。
 直感的に行動するひかるは、実は自分の行動の根底にイマジネーションの働きがあることに気づいていない。彼女は、星空界のさまざまな文化を持つ宇宙人と出会いながら、自分の中に潜む「イマジネーション」の力を発見していく。そして視聴者は、そんなひかるの姿を通じて、“未知のもの”のあり方を想像する科学的イマジネーションも、多様な他者のあり方を理解するイマジネーションも根本は同じであることを理解していく。根本にあるのは、ひかるの口癖「キラやば~っ☆」の精神。未知のものと出会った喜びなのだ。

藤津 亮太

藤津亮太の「新・主人公の条件」

[筆者紹介]
藤津 亮太(フジツ リョウタ)
1968年生まれ。アニメ評論家。2000年よりWEB、雑誌、Blu-rayブックレットなどで執筆するほか、カルチャーセンターなどで講座も行っている。また月1回の配信「アニメの門チャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/animenomon)も行っている。主な著書に「チャンネルはいつもアニメ」(NTT出版)、「声優語」(一迅社)、「アニメ研究入門【応用編】」(共著、現代書館)などがある。東京工芸大学非常勤講師。

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