【この2.5次元がすごい】魂で繋がれたアッシュと英二の絆に涙　「『BANANA FISH』The Stage -後編-」

(C)吉田秋生・小学館／「BANANA FISH」The Stage製作委員会

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子どもの頃に家の屋根裏部屋で見つけたのが「BANANA FISH」との出合いでした。黄色と黒のスタイリッシュな表紙やおしゃれな絵が気になって手にとるも、まだ当時の私には内容が難しく、最後まで読むことはできませんでした。そして2018年にアニメ化されたのをきっかけにようやく「BANANA FISH」の魅力に気が付くことができ、時を超えても色褪せない作品の力を感じました。そんな「BANANA FISH」が舞台化されたのが「『BANANA FISH』The Stage」です。今回は品川プリンスホテル ステラボールで上演中の「『BANANA FISH』The Stage -後編-」について紹介します。

「バナナフィッシュ」に翻弄されるこの物語の主人公は、頭も良く美しいストリートギャングのボスであるアッシュ・リンクスと、日本から来た大学生・奥村英二。血生臭い戦いや陰謀に巻き込まれながらも、決して壊れない2人の心の絆が作品の大きな魅力です。

■難しいキャラクターと物語を演じるキャストの魅力

アッシュと英二を演じるのは、水江建太さんと岡宮来夢さんです。「アッシュ・リンクスの死亡が確認された」というニュースからはじまる後編。実際は国立精神衛生センターに拘束されていました。舞台の冒頭から重要なシーンが続くため、どの瞬間も見逃せないという印象でした。

(C)吉田秋生・小学館／「BANANA FISH」The Stage製作委員会

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アッシュは頭も良く冷静な判断力を持ちながらも、英二を何にかえても守ろうとします。水江さんが見せてくれるクールな表情と英二へ向ける優しい表情がまさにアッシュを表しているようでした。

また、目を引かれたのは英二を演じる岡宮さんです。大学生の英二は年下のアッシュたちに幼く見られる童顔で、周囲を明るくする笑顔が印象的。岡宮さんが舞台の上で見せてくれる表情は、ハードな物語を優しく照らしてくれます。アッシュも英二に、こんなあたたかさを感じたんじゃないかと思わせてくれました。アッシュと比べるとごく普通の若者に見える英二ですが、いざという時は危険を顧みず前に進む強さもあり物語を引っ張っていました。特に終盤のアッシュは執拗に追いつめられ、見ていて辛い場面も多くありますが、英二の存在がどれだけ救いになったのか……。劇場でも多くの人が涙を浮かべていたように思います。

(C)吉田秋生・小学館／「BANANA FISH」The Stage製作委員会

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■高さのあるセットで行われるアクションシーン

物語が進むと同時に激しさも増すアクションシーンも大きな見どころです。3層になっている高さのあるセットのなかで戦うキャストの皆さんの動きは圧巻。動きに華やかさのある水江さんや、高い身体能力を披露するシン・スウ・リンを演じる椎名鯛造さんらが、熱量の高いシーンの連続でステージを盛り上げていました。少女漫画でありながらハードボイルドな魅力をもつ原作だけに胸が痛くなるような演出もありますが、それすらエモーショナルに描かれています。

登場人物はそれぞれ思惑をもって動くため、単純に敵と味方と区別することはできません。心の動きやその時の立場を追いながら見るスピード感のある舞台。それでも物語に振り落とされず、夢中にさせてくれるのはさすがです。悲しいだけではない美しく優しい物語を完結させてくれる「『BANANA FISH』The Stage -後編-」は2月6日まで上演されます。2月6日の公演はライブ配信および見逃し配信も予定されているので、自宅でしっかり泣きたいという人はチェックしてみてはいかがでしょう。

※「『BANANA FISH』The Stage -後編-」2月1～6日の公演（ライブ配信含む）は中止となりました（2022.1.31）

大好きなあの人に奥行きが♡この2.5次元がすごい

[筆者紹介]
西岡 舞子（ニシオカ マイコ） オーストラリアのGriffithUniversityでジャーナリズムと犯罪心理学を学び、卒業後は出版やエンタメに携わる。舞台も音楽も仕事のあとの一杯もやっぱり生が好き！ いい舞台は何度もみたいし、記念に公演グッズも買っちゃう派です。好きな動物は猫とペンギンで好きな大福はいちご大福。