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特集・コラム 2019年12月14日(土)19:00

【数土直志の「月刊アニメビジネス」】「日本アニメ産業市場」史上最高も、ターニングポイントに

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■鈍化した海外市場の成長率の意味
 日本アニメの国内外のユーザーが、2018年にアニメに支払った総額は2兆1800億円に達する。12月9日に「アニメ産業レポート2019」を刊行した日本動画協会の発表した「アニメ産業市場」からの数字である。
 6年連続で過去最高記録を更新は、「盛り上がるアニメ人気」「海外に広がる日本アニメ」といった華々しい言葉を彷彿させる。長年多くの国内産業が伸び悩むなかで、アニメが成長産業と思われる理由でもある。

「アニメ産業レポート2019」には僕自身も執筆に参加しているのだが、できればじっくりと読み込んでもらえるとありがたいなと思っている。実際はそこには明るい見通しばかりでなく、今後への厳しい課題があるからだ。特に今回はむしろ日本アニメ産業が新たなターニングポイントに差しかかっていることが分かる。それは過去数年間の成長局面とは対照的である。

レポートのポイントのひとつは、「成長の鈍化」だ。2018年の市場規模2兆1800億円は前年比0.9%増、ほぼ横ばいである。3年連続で続いた国内市場の減少は、小幅増加に転じた。一方で海外市場は1.4%増だった。こちらも小幅増加だが、近年の市場拡大を支えてきた分野だけに、成長率の大幅鈍化が鮮明である。
 ブームの様相を呈していた中国向けのライセンス販売が一息ついたのが大きい。同国での配信企業の競争環境変化や、国内作品重視といった流れが影響しているとみられる。そうした傾向はますます強まっており、今後も海外動向に影響を与えるだろう。
他地域でも、配信普及をきっかけにした日本アニメの人気拡大は一息ついた感はある。今後は日本アニメに対抗する各国作品の登場が予想される。これまでのような海外主導型の成長は、曲がり角に差しかかっている。

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■アニメ製作・制作企業の収入は8.9%増だが
 もうひとつ同時発表された「アニメ業界市場」の動向もポイントだ。こちらは国内アニメ製作・制作企業の売上高を集計した数字である。2018年の2671億円は前年比8.9%の増加、「アニメ産業市場」の成長率を大きく上回り好調に見える。
 もちろん製作会社、制作会社の収入が増えることはよいことだが、気になる部分がある。テレビアニメとアニメ映画の制作収入の伸びが目立つからだ。アニメ市場全体が伸び悩むなかで、アニメ製作・制作の量だけが増えているとすれば、それは市場ニーズを超える作品が供給されているのでないだろうか。現在はよくても、それが今後マイナスの影響を与えるのでないかとは、考え過ぎだろうか?

2018年はビデオグラム(DVD・ブルーレイ)市場が前年比30%超の減少となったこともあり、アニメ製作投資の回収(リクープ)手段はますます不透明になっている。期待された海外市場は頭打ち。サブスクリプション型の映像プラットフォームも期待のひとつであったが、配信権は購入しても製作費をカバーするほどの金額はNetflixの一部の作品と、後に続かない。
 もちろん暗い話ばかりではない。アニメ映画興行は明確に上方トレンドにある。映画館のチケット販売はリクープの大きな手段のひとつになりつつある。
 ライブエンターテイメントも急成長している。市場規模は774億円と全体シェアは小さいながら前年比23%増だ。アニソンアーティストや声優のライブイベント、2.5次元次元ステージ、展示会、コラボカフェなどが含まれるが、2.5次元ステージの226億円、ライブビューイングの85億円はそれぞれ3年前の倍以上、コラボカフェは4年間で4倍80億円と驚異的な伸びだ。

■収益分散型の投資回収モデル
 伸びる市場と縮小する市場があるが、結果としてビジネスの収益を得る方法はかつてなく多角化している。「ラブライブ!」や「うたの☆プリンスさまっ♪」といったいくつものタイトルが好調なアイドルアニメは、新旧の様々なビジネスを組み合わせることで製作を成立させる成功例だろう。
 収益分散型の回収モデルは、新たなアニメビジネスモデルのひとつかもしれない。ただそれが唯一つの方法でもない。作品のタイプに合わせた新たな投資回収の方法が必要とされている。
 確かなのはアニメ市場ではビシネス環境変化がまた大きく変わり、それに対応することが迫られていることだ。そうした意味で現在アニメビジネスはターニングポイントにある。

数土 直志

数土直志の「月刊アニメビジネス」

[筆者紹介]
数土 直志(スド タダシ)
ジャーナリスト。メキシコ生まれ、横浜育ち。国内外のアニメーションに関する取材・報道・執筆、またアニメーションビジネスの調査・研究をする。2004年に情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立、16年7月に独立。代表的な仕事は「デジタルコンテンツ白書」アニメーションパート、「アニメ産業レポート」の執筆など。主著に「誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命」(星海社新書)。

作品情報

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