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インタビュー 2015年8月28日(金)20:00

「攻殻機動隊」25周年企画 「攻殻機動隊」が背負った時代性 後編 寄稿・氷川竜介

攻殻機動隊25周年記念ビジュアル

攻殻機動隊25周年記念ビジュアル

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■日本のハイテクイメージを映像で具現化

押井守監督の映画「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」は、世界から日本製アニメに大きな注目を集め、“Anime”と日本式略語のまま各国で流通するきっかけとなりました。児童向けタイトルの「ポケットモンスター」と並び、米国・欧州を中心に「クール」と呼ばれて世紀末の日本コンテンツブームに発展します。

1980年代後半、筆者は「日本のハイテク・アニメーション」という表現を見た記憶があります。つまり諸外国からは日本が「近未来を先取りしたハイテク社会」に見えていた。その未来的なイメージをビジュアルで具現化したことこそが、「攻殻」を世界的話題作にした要因のはずです。1987年にハイテク機器輸出のためエンジニアとしてアメリカで暮らし、90年代後半にはIT系標準化のため数十回の海外出張を経験して「日本にどういう期待がかかっていたか」を肌で実感した筆者には、どことなく分かる感覚です。

映画「攻殻」公開の1995年(北米公開は翌年)はOS「Windows 95」が発売された年。パソコンが急激に低廉化して大衆に普及し、生活を一変させるタイミングの良さも大きな要因です。「インターネット」が通信インフラとして整備され、モデムによるアナログ接続からブロードバンド化で常時接続、モバイル化、スマフォによる高度なアクセスまであっという間でした。これは世の中が「攻殻ワールド」に塗り変わる20年と言ってよく、映画はその原点にあたるものです。

「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」で登場した光学迷彩装備

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」で登場した光学迷彩装備

(C)1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT

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作中で多用されるデジタル映像も、実に象徴的に思えます。公安9課の光学迷彩装備がハイテクCG表現、テロリストの装備はフィルムのローテク撮影技術と、この対比が「劇中装備のコスト差」になっている。草薙素子が水上で不安を覚えるカットや水没都市を行くシークエンス、新たな義体を得るラストではデジタル撮影による「見たことのないカメラワーク」が、不思議な感覚を触発させます。

つまり、アナログの手描きセルアニメーションが「生身」だとしたら、そこにデジタル映像という「機械」を組み込み、技法の変容によって出てくる不思議な妙味を劇中サイボーグが覚える違和感に重ねている。これが「アニメのサイボーグ」と言った意味です。「サイバーパンク」が単なる設定や道具だてではなく、「意識のレベル」で実践され、映像に埋め込まれているからこそ、アニメ版「攻殻機動隊」はすごいのです。

この思想は続く作品群でも、形を変えながら徹底されていくことになります。

作品情報

攻殻機動隊 新劇場版

攻殻機動隊 新劇場版 12

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