2015年11月7日(土)20:30
3DCGは「Cadenza」でジャパニメーションのこだわりを表現できる高みに進化した 「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐Cadenza」脚本チーム座談会 前編
「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐Cadenza」キービジュアル
(C) Ark Performance/少年画報社・アルペジオパートナーズ
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現在劇場公開中の「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐Cadenza」は、本邦初の全編セルルック3DCGによるテレビアニメとして話題をさらった「蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐」の続編となる完全オリジナルストーリーの劇場版アニメだ。霧の艦隊の精鋭“霧の生徒会”や、彼女たちを束ねる最大の強敵・超戦艦ムサシとの壮絶な戦いを通じ、霧の艦隊を裏切り人類側についた潜水艦・イ401ことイオナの正体が明らかにされるという、まさにシリーズの集大成と呼ぶにふさわしい内容に仕上がっている。
今回は、本作の構成を担当した上江洲誠、SF考証としてもクレジットされているスタジオぬえの森田繁、脚本の中村浩二郎という脚本チーム3人を招いて座談会を開催。公開後の今だからこそ明かせる赤裸々な制作の舞台裏を、全2回に分けて語ってもらった。
――さっそくですが「Cadenza」公開後の反響はいかがですか?
上江洲:こんなに良い反響ばかりでいいのかと、怖いくらいです。ファンのみなさまが応援してくださったおかげで、幸せな作品が作れました。
森田:脚本家は最初に制作から離脱するポジションなので、ある意味、作品を客観的に見ることができる。そうした立場からも、十分おもしろい作品に仕上がりました。
中村:もし自分が作品に携わっていなくても、劇場に足を運んだと思います(笑)。
上江洲:試写会を見るまではとても不安だったんですよ。次々とセンス・オブ・ワンダーに溢れるできごとが起きるストーリーなので、画の力が絶対に不可欠なんです。それが、実際すばらしい仕上がりで……。本当におもしろい映画になっていました。
――「Cadenza」についてお話いただく前に、2013年に放送されたテレビシリーズを振り返って、今だから明かせるこぼれ話などはありますか?
中村:テレビシリーズは、書きながら作っていった作品でしたね。たとえば、自分が担当した第4話の戦闘シーンは、発注段階では「合体戦艦との戦闘」という大枠しか決まっていませんでした。原作コミックでイ401と共闘した「白鯨」がアニメでは登場しないので、その代替案が必要。そこで横須賀が舞台ということからの発想で、三笠を囮に使うプロットを考えたんです
上江洲:中村さんは戦闘シーンが得意な方なので、4話の戦闘の内容は一任しました。戦艦三笠を使うというのはいいアイディアでしたね。皆が「臆さずにおもしろいことをやっていいんだ」という確信が持てました。
中村:第6話で、ハルナとキリシマ、蒔絵がイ401に同乗するか否かは議論になりましたね。原作通りに別行動させるという案もありましたが、こんなにおいしいキャラを退場させてしまうのはもったいないということで現在の形になりました。
森田:蒔絵を瀕死の重体にして、硫黄島で治療させるという(名目で、ハルナとキリシマを同行させる)案もありましたね。
上江洲:原作と違う展開になることにためらいはあったんですが、その辺の判断は監督の岸(誠二)さんが気丈に割りきっていましたね。「目の前においしい展開があるなら、なぜそうしないのか」と。この、決して出し惜しみをしない姿勢は「Cadenza」でも変わっていません。
「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐Cadenza」場面カット
(C) Ark Performance/少年画報社・アルペジオパートナーズ
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――本作「Cadenza」ではみなさん、どのように作業を分担されたのでしょうか?
上江洲:SF考証としての森田さんには、本編映像中では語られないけれども、演出・作画スタッフにとって必要な設定……人類のインフラの設定、兵器のスペックなど……といったことを文面化してもらっています。脚本家としては、「DC」では振動弾頭実験のシーンを、「Cadenza」では生徒会との艦隊戦シーンを担当してもらいました。それ以外にも、軍事専門用語や政治的な会話などを、監修してもらっています。そうしたシリアスなシーンは、最終的なフィルムではほとんどなくなってしまったんですが(笑)。中村さんには、アシガラ戦をまるっとお任せしました。
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